元プロキックボクサーが始めた豚革事業が話題!食肉加工の副産物を加工することでSDGsにもつながる、豚革の魅力とは

豚革を知っていますか?馴染みがない人がいるかもしれませんが、豚革を使うと、SDGsに貢献できるとか。今回は、元プロキックボクサーで豚革を広める活動をしている児嶋真人さんに豚革の魅力や取り組みなどをお伺いしました。

プロキックボクサーが豚革事業をはじめたきっかけは?

元プロキックボクサーで、日本チャンピオンに手が届きそうだった児嶋さん。最近は、豚革事業の創業者として、テレビや新聞にも取り上げられて注目されています。まず、豚革でなぜ創業しようと思ったのか、聞いてみました。

豚革との出会い

児嶋さん:現役時代からメンズアパレルに興味があり、仲間と一緒に靴やミニバッグを作っていました。あるとき、牛革を仕入れた革加工会社から、豚革を紹介してもらいました。当時は豚革を全く知らず、あまりの肌触りのよさにびっくり!私は、引退後のセカンドライフとしてアパレルの開発・販売を考えていました。革製品って、ちょっと形を変えるだけだと差別化が難しいですよね。ならば、素材から思い切って変えちゃえと、豚革の製品が周りに少ないこともあり、豚革でやっていくと決めました。

キックボクシングの試合で戦う児嶋さん
キックボクシングの試合で戦う児嶋さん

キックボクサー時代に学んだことが生かされている

児嶋さん:現役時代は、うまくいかないことが多く、何度もあきらめかけました。私は体重の割に身長が低く、同じ階級では自分より身長の高い人と対戦していたため、リーチの長さが違い過ぎて、圧倒的に不利な戦いもありました。それでも、間合いの取り方を工夫したり、基礎体力を上げたりして、何とか勝って続けてきました。
キックボクシングで培った、創意工夫する姿勢や挑戦心は、今の豚革事業でも生かされています。今は、厳しい職人の世界に飛び込んで一緒に豚革づくりをしたり、名だたる企業に営業をかけたりと日々奮闘中ですね。

キックボクシング試合終了後の児嶋さん
キックボクシング試合終了後の児嶋さん

豚革がSDGsにつながるわけとは

馴染みがない人が多いと思われる豚革について、詳しく教えてもらいました。

豚革製品はどうやってできるの?

児嶋さん:まず、食肉加工の過程で得られた豚さんの皮をなめし、革に変えます。その後、革を染色し、縫製をすると製品になります。生の皮を腐らせないように加工するのがポイント。それぞれの工程を担当する職人さんがいて、丹精込めて豚革製品を作っています。職人さんと話すと、ものづくりにかける思いは半端なく、私も気が引き締まりますね。

豚革製品の加工の様子
豚革製品の加工の様子

豚革の魅力は、優しい肌触り

児嶋さん:何と言っても、人肌に近い優しい肌触り。他にも通気性の良さ摩擦に強い薄くて軽いことが挙げられます。豚革は柔らかいので、よく手に馴染みますね。また、豚さんの皮を日本で調達できるのも魅力。牛革は海外から生の牛皮を輸入したり、合成皮革は大量の石油を使ったりしています。豚革は環境にやさしいと思います。

児嶋さんが手がけた豚革の長財布
児嶋さんが手がけた豚革の長財布

筆者が豚革を実際に手に取ったところ、あまりの柔らかさに驚きました。製品の発色もとてもきれい!

豚革はSDGsにも貢献

児嶋さん豚革は食肉加工の副産物である豚の皮を捨てずにに有効活用しているので、SDGs12の目標「つくる責任、つかう責任」の実現に貢献しています。豚さんの命を無駄なく大切にし、廃棄物を削減しています。豚肉を食べ続ける限り、豚の皮が得られますので、豚革を使うのは持続可能ではないでしょうか。今、SDGsの取り組みとして自治体や学校からもお声がかかります。

豚革を使った、幼児・小学生向けイベントを開催

全国各地で開催している、子ども向けイベントについてお聞きしました。

実際に手に取ってものづくりをする体験を

児嶋さん:先日、エシカル消費をテーマに、計120人の小学生以下のお子さんを対象にワークショップを開きました。豚肉を大事に食べるように豚革も大切に使っていこう、と伝えました。また、お子さんたちと一緒に豚革の巾着をつくり、とてもかわいく個性的なものがたくさんできました。実際に手に取ってつくると、豚革の魅力がわかってもらえますね。

※エシカル消費……人や社会、環境に配慮した、自分以外のことも考えた消費行動

SDGsのワークショップで講演する児嶋さん
SDGsのワークショップで講演する児嶋さん

参加者の声

実際にワークショップに参加したお子さんの声を一部紹介します。

・普段食べている豚さんのお肉以外がどうなっているか考えたことがなかった。
・食肉用の豚さんは180日しか生きられないなんて知らなかった。
・豚さんの革ってこんなに柔らかいんですね。
・豚さんの革をもっと大事に使おうと思った。
ワークショップで豚革の巾着をつくる子ども
ワークショップで豚革の巾着をつくる子ども

このワークショップは親御さんからも大好評で、他の企業や自治体からも引き合いが多くきているとか。今後は47都道府県でのワークショップと子どもたちと「豚革の魅力のいかし方会議」を開きたい、と児嶋さんは言っていました。

ちなみに筆者も食肉用の豚の寿命が180日と短いことを知りませんでした。豚さんにもっと感謝しないと。

常設店をオープン

クラウドファンディングで資金を集め、墨田区にカフェ併設の豚革製品の常設店を2023年12月にオープン。ここでは、コーヒーやお酒などを楽しみながら、豚革製品を手に取ることができます。筆者が先日訪問したときは、豚革の椅子に座って、豚皮のチップを食べました(くせになる味でお酒にあいそう)。また、製品のラインナップが豊富で、実際に購入するお客さんもけっこういるそう。今後はここでも子ども向けのワークショップを開く予定とのこと。

牛革や合成皮革と比較すると、豚革はマイナーかもしれません。しかし、他にはない優しい肌触りやSDGs貢献の点から今後普及していく可能性が。一度、豚革製品に触れてみるのはいかがでしょうか。

こちらの記事もおすすめ

【池上彰さんに聞くSDGs】日本の達成度は世界で何番目か知ってる?達成できなかったらどうなる?
SDGsってなあに?と聞かれたら SDGsって何?とお子さんに聞かれたら、どのように説明しますか?  SDGsは「持続可能な...

常設店のホームぺージ>>

お話をうかがったのは

児嶋真人(こじま まさひと)|豚革プロデューサー

キックボクシング歴 8年 Japan Kick Boxing Innovation Sフェザー級2

キックボクサー時代に出会った豚革に惹かれ、キックボクシングを引退して豚革の魅力を伝える活動をスタート。

子供向けのワークショップから、商品の販売まで幅広い世代に「豚革の魅力提案」を行っている。

取材・文/峯あきら

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 12 つくる責任つかう責任

SDGsとは?

編集部おすすめ

関連記事