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SDGsってなあに?と聞かれたら
SDGsって何?とお子さんに聞かれたら、どのように説明しますか?
SDGsは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」といいます。社会が成り立つための資源やエネルギーを、あなたの子どもや孫、ずっと先の世代まで使い続けられるようにしようということです。
SDGsは、国際連合(国連)によって2015年に決められ、国連に加盟する世界193カ国が、2030年までに17の目標を達成することを目指しています。
目標は「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「気候変動に具体的な対策を」「働きがいも経済成長も」「平和と公正をすべての人に」など、とても難しいものばかりです。
なぜ今、SDGsをやる必要があるの?
今のやり方を続けていたのでは、人々が安定した生活を送るのがむずかしいことがわかってきました。それどころか、人間以外の生き物を含め、生きることさえ危うくなるかもしれません。よく言われる、地球温暖化による気候変動のためです。
その大きな原因は、人間の「豊かな生活」にあります。そしてまた、豊かな生活の恵みを受け取っているのが、主に日本を含む先進国の一部の人だけだというのも問題です(近年では急速に豊かになった中国やインドなどの新興国と呼ばれる国も加わりました)。
そのひとにぎりの人だけのために、資源を使い、エネルギーを消費し続けて、地球環境が大きく変わってしまいました。これまでにない大規模な自然災害や、新型コロナウイルス感染症など新しい病気の流行にもつながっているのです。
SDGsの達成度。2022年、過去最低の日本は世界19位
さて、SDGsの達成度を国別に見ると、1位フィンランド、2位デンマークから、10位エストニアに至るまで、ヨーロッパの国々がトップ10を占めています。日本はというと、2017年は11位にアップしたものの、それ以降ジリジリ下がり、2022年は19位と過去最低となりました。
日本は教育や平和についての目標は達成していますが、二酸化炭素の排出量や男女不平等、貧困や海や森の環境破壊などの分野で目標を達成できていません。
「持続可能」ってどういうこと?
SDGsと言えば、色分けされた17個のパネルが有名です。
このイメージが強すぎるのか、それぞれが独立した目標だと思う人が多いようですが、それは間違いです。17の目標は大きく「経済」「社会」「環境」の3つに分けられ、これらがお互いに関係し合いながら、全体の目標である「持続可能な開発」の実現を目指しているのです。
人は働いてお金を得て生きています。やりがいのある仕事に能力を発揮して幸せな人生を歩みたければ、経済の安定が必要です(経済)。
そのためには、貧しさとは無縁で健康、十分な教育を受けられ、差別されることなく、もちろん戦争もない社会が必要ですね(社会)。
そういう社会の実現に、絶対に必要な条件があります。海も陸も豊かな資源を提供し、地球全体の環境が安定していることです(環境)。
これらがすべて達成されて初めて、何世代にもわたって豊かな発展を続けられる可能性が出てくるのです。
達成目標は2030年。壮大な目標をどうやって達成するの?
「貧困をなくそう」「不平等をなくそう」「海の豊かさを守ろう」など17の目標はどれも壮大。では具体的に何をすればいいのか、考えてみるとよくわかりません。実は、17の目標(ゴール)には、全部で169項目の「ターゲット」と呼ばれる、より具体的な目標が設定されています。ターゲットを実現させることで、最終的に17の目標が達成できるというわけです。
SDGsの達成目標は2030年ですから、あと10年もありません。すべての国が169のターゲットを達成するのは実はかなり大変な道のりなのです。
達成できなかったらどうなるの?
SDGsが達成できないと、最悪の場合は「人類に未来はない」ということになりかねません。
たとえば、「気候変動に具体的な対策を」が実現できなければどうなるか? 温暖化が今よりもっと進めば、大きな災害や未知の感染症がいっそうふえるでしょう。海水温や気温が上がって絶滅する生物もふえ、海や陸の豊かさが失われます。社会の発達に必要な資源も、大量に失われることでしょう。
また、影響を受けるのは環境だけではありません。温暖化で海面が上昇して陸地が減少し、住む土地を失う人がたくさん出てきます。住みにくい土地がふえれば、立場の弱い人たちはますます追い詰められます。社会全体が不安定となり、争いが絶えなくなるかもしれません。
気候変動の問題はすべての中心にあるので特に大きな話になりますが、他の目標も、達成できなければ未来を奪われる人がたくさん出てきます。17の目標は遠い未来のゴールではなく、一刻も早く実現しなければならないことばかりなのです。
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