乳幼児教育保育実践研究家の井桁容子先生が、子育て中のママのお悩みに答えます。今回は引っ込み思案でおとなしい子供の対応についてお話を伺いました。
大人しくて引っ込み思案な子供にはどう接する?
Q.3歳の娘は、おとなしいタイプ。仲よしの子はいるけれど、大勢で遊んでいるところに入っていけないようなのですが……。
なぜ、仲間入りしないのか?という理由が大切です
日ごろからおとなしくて自己主張が少ない、友だちの輪の中になかなか入っていけない……。子どものこんな様子を気にする親がいます。でも、「引っ込み思案=改善したほうがよい欠点」というわけではありません。生まれもった気質は、人それぞれ。もともと積極的な子もいれば、そうでない子だっています。引っ込み思案な様子が気になる場合は、まずその理由を考えてみることが大切です。
「したいけれどできない」ときは、親が手助けを
みんなは鬼ごっこをしてはしゃいでいるのに、少し離れたところからひとりでそれを眺めている……。「引っ込み思案」に見えるこんな行動の理由には、ふたつのタイプがあります。
ひとつめが、「したくないからしない」。みんなと一緒に走りまわるより、それを見ていたほうが楽しい、というものです。本人が仲間入りすることを望んでいないのですから、大人はそのまま見守ればOK。「引っ込み思案」というより、観察したり考えたりすることが好きな「静かに楽しむ子」といったほうが当たっているかもしれません。
ふたつめが、「したいけれどできない」。なんとなく自信がないために、しり込みしてしまうものです。この場合は、大人のサポートが必要です。まずは、子どもが何に不安を感じているのかを探ります。そして、その不安を解消する方法を考えましょう。大勢の中に入っていけないのなら、まずは少人数で遊べる場に行ってみる。走ることに苦手意識があるなら、家でかけっこの練習をしてみる……。
「やってみたらできた!」という気持ちは、子どもにとって大きな自信になります。そして自分に自信がもてるようになれば、やりたいことにどんどん挑戦していけるようになるのです。
経験することで子どもは自信をつけていく
自信は、経験によってつくられます。興味をもったら、実際にやってみる。やりたいことに挑戦し、成功してうれしかった! または、失敗したけれどしかられなかった! こんな経験が、本当の自信をつくるのです。
「失敗させないように」「早く答えがわかるように」などと親が先回りして答えを教えてしまうのは避けたいもの。ただ正解を「知る」だけでは、自分に自信をもてるようにならないからです。
また、他の子とくらべたり、積極的に見えないからと「やる気がない」と決めつけたりするのもよくありません。親からの評価を気にする子は、失敗を恐れるようになります。そして、「失敗するぐらいなら挑戦しないほうがよい」と思い、ますます引っ込み思案になってしまう可能性もあります。
人には、好き・きらいや、得意・不得意があります。だから、「なんでもできる子」にしようとする必要はありません。
「引っ込み思案」は、見方をかえれば「観察したり考えたりする習慣がある」ということ。「もっと積極的にならないと……」なんて心配をする前に、「よく考える力」があることをほめてあげなくては!(笑)「頑張る意欲」は、自分がしたいことを楽しんでいるときに湧いてくるもの。親の「こうあるべき」という思いにこだわるのはやめ、子ども自身がどうしたいと思っているのか? に注目していきましょう。
記事監修
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。
出典/めばえ イラスト/小泉直子 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。