二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
今日5月21日は二十四節気「小満」です
小満(しょうまん)
黄緑色だった草木が濃い緑色に変わり、勢いよく茂っていく頃。「小満」は、いろいろな生き物が満ち始める、という意味に由来する言葉です。春から夏へと移り変わる季節の中で自然を見渡せば、あちらこちらから命のエネルギーが湧き上がることを感じることができ、元気をもらえます。麦は収穫時期を迎え、蚕は食欲旺盛にムシャムシャと音を立てて桑の葉を食べています。梅雨に入る前の気持ちのいい季節。親子で散歩をしながら、自然からのエネルギーをたっぷり受け取りましょう。
梅を愛でながら季節の変化を感じることのできる「梅暦」
季節はあっという間に過ぎ、5月になると木々は実をつけ始める頃を迎えます。
梅の実もその一つ。まだ大きくなりきらない姿がかわいらしく、じっと見ていたいような気分にさせられます。初春に咲いたあのきゃしゃな花が受粉して、もうこんな色の実になったのかと思うと、一本の木が持つけなげな生命力をあらためて知る思いです。
「梅暦」とは、梅の開花が春を知らせる暦代わりになるとして昔から使われてきた言葉ですが、咲いた後も追いかけて観察していくと、季節の変化がより豊かに感じられることでしょう。
梅の実をいただくときの気持ちも、随分と違うものになります。収穫が待ち遠しいですね。
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
口福だより
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子