「全粒粉パン」ってどんなパン? 健康上のメリットや注意点、基本のレシピを紹介

パン屋さんなどで「全粒粉パン」と書かれたものを目にすると思います。全粒粉と聞くと、ヘルシーなイメージはあるものの、実際どんな粉なのか、一般的な小麦粉のパンとどう違うのか、詳しく知らないという方も多いのでは? そこで本記事では、全粒粉パンについて紹介していきます。

そもそも全粒粉パンってどんなパン?

全粒粉パンとは全粒粉を使ったパンのこと。一般的なパンは強力粉が用いられることが多いでしょう。その粉の分量の一部、または全てを全粒粉にしたものを「全粒粉パン」または、「全粒粉入りパン」と言われています。

一般的な小麦粉を使ったパンは白っぽい色ですが、全粒粉を使用したパンはうすい茶色をしているのが特徴です。まずはこの全粒粉とは一体、どんな粉なのか見ていきましょう。

全粒粉とは?

全粒粉は、小麦を挽いたものですが、一般的な薄力粉や強力粉では取り除かれてしまう、表皮(ふすまと呼ばれるもの)、胚芽を取り除かずに粉にしたものです。全粒粉のうす茶色は、この表皮や胚芽の色。そのため、全粒粉は茶色っぽい色をしているというわけです。

パンやパスタ、クラッカーなどに多く使われていますが、クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子に使うこともできます。

全粒粉は一般的な小麦粉と味が違う?

前述した通り、全粒粉には表皮や胚芽が含まれているため、香ばしい小麦の風味と、ほのかな酸味と苦味があるのが特徴です。全粒粉は噛めば噛むほどに小麦の旨みを感じることができます。

全粒粉パンのメリットは?

全粒粉といえば、身体に良いというイメージがありますよね。小麦の表皮や胚芽を含んでいるため、一般的な白い小麦粉よりも栄養価が豊富に含まれていたり、食後の血糖値の上昇が緩やかというメリットがあります。

全粒粉パンを食べるメリットをチェックしていきましょう。

低GI値

GI値」とは、食べ物を食べたあと、血糖値の上昇を示すもの。血糖値が急上昇すると、大量のインスリンが分泌され、糖尿病や肥満の原因にもなります。

全粒粉パンは、一般的な小麦粉のパンよりもGI値が低いため、血糖値の上昇が緩やかになるといわれています。

ビタミン・ミネラルなどが白い小麦粉より豊富

全粒粉パンには、白い小麦粉よりもビタミンやミネラルが豊富に含まれています。ビタミンの中では特にビタミンB1・B2・B6が多く含まれ、ミネラルは鉄やカルシウム、カリウムが豊富なのが特徴です。

食物繊維が豊富

全粒粉は100gあたり11.2gの食物繊維が含まれています。これは、一般的な小麦粉の約4倍もの値です。

食物繊維には腸内環境を整えてくれる効果が期待できるほか、噛み応えがあり、満腹中枢を刺激して満腹感を感じやすくなるでしょう。そのため、「ダイエット中だけど、ついついパンを食べ過ぎてしまう…」という方にも全粒粉パンはおすすめです。

全粒粉パンの注意したいポイントは?

栄養価が高く、低GI値の全粒粉パンですが、注意したいポイントもあります。

食べ過ぎには注意

全粒粉には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は適量を摂取することで腸内環境を整えてくれますが、食べ過ぎると胃腸に負担がかかることも。消化不良を起こす原因になるので、身体に良いからといって食べ過ぎるのは良くないようです。

酸化に注意

全粒粉は小麦の表皮や胚芽が含まれたままのもの。その表皮や胚芽は、酸化しやすいという特徴があります。そのため、全粒粉、全粒粉を使ったパンの保存は注意が必要です。

全粒粉は、冷暗所で保存し、開封後はなるべく早く使い切るのが良いでしょう。また食べるのが翌日以降になる全粒粉パンについては、冷凍保存がおすすめです。

全粒粉パンを作るコツ

全粒粉パンは、一般的な小麦粉と、風味や膨らみ方が異なります。ここからは、全粒粉パン作りが初めてでも上手に作るコツなどをチェックしていきましょう。

全粒粉の割合は強力粉などに対して10~30%にすると食べやすい

パンに全粒粉を使うと膨らみにくく、重たい生地になります。そのため、はじめは小麦粉に対して全粒粉を混ぜるのがおすすめです。

その割合は10~30%の間であればOK。ほとんどのパンのレシピで置き換えることができます。

発酵は十分時間をかける

食物繊維を多く含む全粒粉は、発酵が進みにくい場合があります。そのため、十分に生地が発酵しているのかを確認することが重要です。

基本的に発酵は2回行ない、加えて成形する前に生地を寝かせるベンチタイムをとります。1回目の発酵は生地が2倍に膨らむまで、2回目の発酵では1.5倍の大きさになるまで発酵させるのが理想です。

ふわふわのパン作りにはむかない

全粒粉は前述した通り、膨らみにくく、噛み応えがある重めのパンに仕上がりがちです。そのため、ふわふわした食感のパンを作るのには全粒粉はむかないと言えるでしょう。

初心者さんも大丈夫! 全粒粉の丸パンレシピを紹介

パン作りは難しそうと敬遠しがちですが、本記事では初めてでも上手に作れる、全粒粉の丸パンのレシピを紹介していきます。まずは材料から見ていきましょう。

材料(8個分)

・全粒粉… 50g
・強力粉… 150g
・砂糖… 10g
・塩… 小さじ1/2
・ドライイースト… 3g
・お湯(35℃くらい)… 140cc

作り方

1、ドライイーストをぬるま湯で溶かす

カップにぬるま湯(35℃程度)を用意し、ドライイーストを入れ溶かします。

2、粉を混ぜ合わせる

ボウルに強力粉、全粒粉、塩、砂糖を入れ混ぜ合わせます。

3、生地をこねる

2のボウルにドライイーストを溶かしたぬるま湯を入れ、ボウルの中で生地がまとまるまで、こねていきます。

4、1次発酵させる

ボウルの中心に生地をひとまとめにし、ラップをかけて約50分発酵させます。生地が2倍くらいに膨らむまでが目安です。

5、形を作る

打ち粉をした台に生地を出し、伸ばしていきます。生地を8等分にしたら丸めます。

6、2次発酵させる

クッキングシートを敷いた天板に、5の生地をのせ、上からラップをして生地が1.5倍になるまで2次発酵(約40分)させます。

7、オーブンを220℃に予熱

オーブンを220℃で予熱しておきましょう。

8、生地を焼く

2次発酵が終わったら、生地の中心にキッチンバサミで切れ込みを入れ、220℃のオーブンで15分焼いたら完成です。

栄養価が高くて美味しい全粒粉パン

全粒粉は、通常の小麦粉よりビタミンや食物繊維、ミネラルなどが豊富に含まれています。また食後の血糖値も緩やかになるという効果も。そのため、パンが好きだけれど「栄養や血糖値の上昇が気になる!」という方は全粒粉パンに置き換えてみてみるのもおすすめです。

弾力があって、噛めば噛むほど小麦の味わいを感じ、パン好きにはたまらないでしょう。自宅でも作ることができるので、ぜひお試しください。

こちらの記事もおすすめ

注目の“こねないパン”レシピ【ほったらかし低温発酵】の秘密とおいしさのコツ。毎朝焼きたてパンが楽しめる!
お家で焼いたパンを食べたいけど、パンの生地をこねる作業が苦痛… 。そんな方にもおすすめできるのが「こねないパン」。これなら気軽に続けられそう...

構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

編集部おすすめ

関連記事