高卒シングルマザーの娘が全米No.1公立大学“UCLA”の特待生に!子どものポテンシャルが爆伸びする【アメリカ式子育て】を母・高松ますみさんに聞いた!

偏差値一辺倒では戦えないと言われているこれからの時代。コミュニケーション力や創造力を持った子に育てるにはどうしたらいいでしょうか。今回は、『高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45の方法』(かんき出版)の著者、高松ますみさんに、乳幼児期の子育てメソッドをお伺いしました。

高松ますみさんとは?

高松ますみさんは、元夫の赴任先の米国・バージニア州で出産と子育てを経験した男女2人のお子さんを持つお母さんです。米国滞在中に垣間見たアメリカのハイクラス家庭が実践する‶子どもを尊重する子育て〟に感銘を受けて、その子育ての仕方を習得。そして、それを帰国後、日本の子育て事情に即した形にアレンジして、高松さん独自の子育ての手法「マミーメソッド®」を確立しました。

2020年には、そのノウハウを多くの人に役立ててもらいたいと「株式会社スパークリングキッズ」を設立してメソッドの普及に努め、さらに昨年9月に著書『高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45』(かんき出版)を出版しています。

今回は、そんな高松さんに乳幼児を持つ「HugKum」読者のママたちに向けて、子育ての秘訣を伺いました。

アメリカ滞在中に垣間見たママたちの子育てが「マミーメソッド®」を確立したきっかけ

――そもそも高松さんが「マミーメソッド®」を確立して、「スパークリングキッズ」を立ち上げられたのはどうしてですか?

高松さん:私はアメリカから帰国後、長男が6歳、長女が2歳のときに離婚をしまして、子どもをひとりで育てることになったんです。そのため、親子でアルバムを作るスクラップブッキングの講師をしたり、元F1ドライバーの片山右京さんが主催するチャレンジスクールのマネージャーをしたりして働いていました。

そのような環境に身を置いておりましたので、自然にたくさんの親子と関わりを持つようになりまして、その方たちとお付き合いを重ねていくうちに、親御さんたちから子育てに関するさまざまな相談を持ちかけられるようになったのです。

それで、私がアメリカで学んだ子育てや、自ら実践していた子育ての仕方を元にアドバイスをしていたのですが、それが徐々に口コミで評判になりまして……。私の子育てに対する考え方が、皆さんにそんなに求められているものなら体系化してみようと思ったのです。それが「マミーメソッド®」を確立したきっかけです。

「スパークリングキッズ」を立ち上げ、多くの親子の悩みを解決しているそう
「スパークリングキッズ」を立ち上げ、多くの親子の悩みを解決しているそう

「スパークリングキッズ」は、そのメソッドを多くの人に役立ててもらいたいと立ち上げました。2020年に設立したのですが、現在までに国内外から受講の申し込みを受けまして、これまでに延べ1万人以上の親子の悩みを解決しています。

「マミーメソッド®」は、子どもの生きる力を育む子育てメソッド

――「マミーメソッド®」とは、ひと言でいうとどんな子育てメソッドなのでしょうか?

高松さん「子どもの心を満たし、子どもの潜在的な生きる力を育む子育て法」です。

アメリカで私の周囲にいたママたちの実践していた子育ては、「愛情たっぷりで、子どものポテンシャルをのばし、自己実現に導く」ものでした。そうした子育てによって成長した子どもたちは、どの子も自己肯定感が高く、周りの人たちへの優しさや感謝の気持ちが強く、自分のやりたいこと、進むべき道がはっきりしていて、塾に通っているわけではないのに、学業もみんな優秀で次々にエリート校に進学し、独立していったんですよ。そうした実例を見ていて「私もこんな親子になりたい」と思いまして、自分なりにアメリカのママたちの子育てをアレンジして子どもたちに実践してみたのです。

その結果、息子も娘も自己肯定感が強く、自己実現のために自らの意志で自分の人生を切り開く人間に育ったのではないかと自負しています。

高松さんの息子さんと娘さん
高松さんの息子さんと娘さん

娘は日本の公立中学を卒業後、基礎の英語力しかなかったのですが、自らの意志でアメリカの高校へ入学。その後、勉学に励み、優秀な成績を収めました。高校卒業後は近隣の大学に進学し、そこでトップの成績を収め、3年生のときにアメリカのナンバーワン公立大学「カリフォルニア大学ロサンゼルス校」(UCLA)へ特待生として編入。卒業した現在は、ニューヨークにある日系企業に勤めています。

また、上の息子は野球のクラブ活動に専念していたので日本で学んでいましたが、早稲田大学に入学しまして、その後、交換留学生としてUCLAで学び、現在は大手企業をあえて選ばず、自分が楽しく仕事ができる場だと確信したベンチャー企業で働いています。現在は上場企業に成長しています。

子どもたちと現在は離れて暮らしていますが、ふたりとも楽しそうに生きているので、とてもうれしく思っています。

子どもの願いを受け入れて甘えさせてあげることが、子どもの自己肯定感を育む

――高松さんが日本の親御さんたちから相談を受けるなかで、アメリカの子育てと日本の子育ての違いを感じたのはどのような点でしょうか?

高松さんアメリカ人の親も日本人の親も、子どもを思いやる気持ちに変わりはありません。誰もが子どもを愛していて、子どもが幸せに生きていくことを願っています。

ただ、日本の親御さんは、子どもをどんな人間に育てたいかという明確なビジョンを持っていても、子どもへの接し方、声がけの仕方がわからずに迷っている人が多い気がします。アメリカ人の親御さんたちは、宗教的なものもあるかと思いますが、子どもをどう育てたいかがとても明確で、その上でどのようにしたら自分が願う人物に子どもを育てられるかを、しっかり理解して子育てに臨んでいるんですよね。

当時アメリカで子育てをする高松さん
当時アメリカでのお写真

――具体的に、アメリカ人のママたちはどんな子育てをしているのでしょうか?

高松さん多くのママたちが何より大切にしているのは「自己肯定感が強く、自己実現ができる人間に育てること」です。そして、そのためには「子どもの願いを極力受け入れて、甘えさせています」

 たとえば、日本の場合、ある程度大きくなった子どもが抱っこをせがんできたら、「我慢しなさい」とか「自分で歩きなさい」というのが一般的ですよね。

 でも、アメリカでは子どもが抱っこをせがんできたら、それが小学生の子どもであっても、願いを受け入れて子どもの心が満たされるまで抱っこをしてあげます。

 日本では我慢をさせることで、自立心や自制心が身に付くと考えられているから我慢をさせているんですよね。でも、それは違います。子どもというのは、アメリカ式のように自分の願いを叶えて受け入れてもらい、「自分は受け止めてもらえる存在なのだ」と感じることで、自己肯定感が高くなり、それがやがて自制心や自立心を育むことになるからです。それは、アメリカ人の心理学者、アブラハム・ハロルド・マズローが「マズローの欲求五段階説」でも唱えているように明らかです。

マズローの欲求五段階説
マズローの欲求五段階説

 マズローは人間の欲求を、1生理的欲求、2安全欲求、3社会的欲求、4承認欲求、5自己実現欲求という5階層に分けて、これが1番から順番に満たされることで、人間は自己実現に向けて成長していけると考えたのですが、私はアメリカのママたちの子育てを見ていて、まさに彼の言う通りだと実感しました。

 ママたちによって欲求が満たされたアメリカの子どもたちは、みな自己肯定感が高く、自己実現を成し遂げていたからです。アメリカのママたちはそうした子育ての基本を皆さん、しっかり理解して、子どもに接していると思います。

「子育て」と「世話をする」ことは違います。「信じられる子どもにすること」が子育てです

――まずは「子どもを甘えさせて、願いを叶えてあげる」ことが重要なんですね。乳幼児を持つ「HugKum」の読者ママたちにアドバイスをするとしたら、どんなことでしょうか?

高松さん:「子どもを育てること」と「子どもの世話をすること」は違う行為だと認識して、お子さんに接してほしいですね。

手を洗ったり、お着替えをさせたりして日常的な生活習慣を身につけさせるのは「世話をしている」こと。しかし、「子育て」は子どもの持つ潜在的な力を引き出して、その力をのばしてあげることです。その力をのばしてあげることです。「『この子には、人生を楽しんでいける力や、困難に立ち向かっていける力は十分につけてあげたから大丈夫だろう』と信じられる子どもにする」ことだと私は考えています。

そのためには、できる限り子どもの欲求に目を配り、いま子どものために何をしたらいいのかを考えて、お子さんに意識的に心を伸ばす言葉かけやサポートをしてあげてほしいと思います。

繰り返しになりますが、親は基本的に「子どもを甘えさせて」あげてほしいのです。「甘えさせる」ことは、日本の子育てではよくないことのように捉えられがちですが、そんなことはまったくありません。特に乳幼児では甘えを受け入れてあげることがとても重要です。

子どもが親との関わりを求めてきたときは、その欲求を叶えてあげることが大切という高松さん
子どもの欲求を叶えてあげることが大切という高松さん。当時のお写真

「抱っこしてほしい」「絵本を読んでほしい」「手伝ってほしい」など、子どもが親との関わりを求めてきたときにその欲求を叶えてあげると、子どもの心は満たされて、まず親に対して信頼感を持ち、情緒が安定します。また、自身が大切に扱われていると感じることで、自分に自信をもつことができるので、自己肯定感が高くなり、同時にその子の意欲も大きくなるのです。

願いを叶えてあげられない時には心を満たす声がけが重要

しかしながら、時間的なことや金銭的なことで、子どもの全ての願いを叶えてあげることはできません。

夜に「今から公園に行きたい!!」とか、「明日テーマパークに行きたい。」などを言い出した時には、それらの行動をすぐに満たしてあげることはできないですが、「楽しそうなことを考えたね!」と、まずは行きたいと思う気持ちを認めてあげることです。
それから、「なぜそのような気持ちになったの?」とか、「今度そこに行けたらどんなことをしたいの?」とか、「誰と一緒に行ったら楽しいかな?」、「いく時には何を持っていこうか?」「いつまで我慢したらみんなでいけるかな?」などを聞いてあげることで、行きたい気持ちを受け止めて心を満足させてあげられるだけでなく、自分の気持ちを相手に伝える力を伸ばせ、計画性や我慢する力も伸ばせるようになります。

「甘えさせる」と「甘やかす」は違うので要注意

気を付けたいのは「甘やかす」ことです。たとえば子どもが突然ねだってきたものを言われるままに買い与えてしまう。また周りに迷惑をかけて子どもの言いなりになってしまうようなことは、子どものわがままを助長させることにつながります。

欲しいものは、「お手伝いをして家族に喜ばれることをした時にもらえるご褒美のお金を貯めて買うようにする」とか、「習い事で進級した時のご褒美にする」など、目標を決めて、計画性をつけさせるようにして買い与えるといいでしょう。

あくまでも、無理をしないで、かつ周囲に迷惑をかけない形で、子どもの願いを聞いてあげ、子どもの心を満たすことが重要なのです。

「自制心」は自己肯定感が高まってからついてくる

欲求を満たすだけではわがまま放題になってしまうので、我慢する力も育てていく必要があります

心が満たされて自己肯定感が高くなった子どもは、周りからのアドバイスも素直に聞き入れてくれるようになり、相手に対しての優しさも育っていくので身に付きやすくなります。まずはしっかりと心を満たしてから、自制心も育てていくようなバランスが大切です。

乳幼児期はかけがえのない親子の時間です。親業はやがて卒業する日が来ます

――高松さんのご著書『高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45の方法』には、そうした日常の子育てのシーンで親が具体的にすべきことがたくさん書かれていますね。乳幼児の子育てでは、物理的に世話をしなければならないことが多いので、大変な気がしますが、どうしたら継続して実践できるでしょう。

高松さん:確かに、子どもが小さいうちは世話が大変で、イライラしがちですよね。でも、お子さんのどんな潜在的な生きる力を育てているか、何のために甘えさせているのかが明確になれば、付き合っていけると思うんです。

私もシングルマザーとして小さな子どもをふたりも育てていたので、子育てに戸惑ったこともたくさんありました。でも、私が暮らしていたアメリカのバージニア州では、子どもの多い大家族が多く、先輩ママたちの子育てによって、その子どもたちがどんなふうに育っていくのかという実例をたくさん見ていましたので、この大変な時期を頑張れば、親も子どももアップデートして、次のステージに行けると思うことができました。

著書にはアメリカでの学びを活かした日常で使える子育てメソッドがたっぷり
著書にはアメリカでの学びを活かした日常で使える子育てメソッドがたっぷり

親業は卒業するときが必ずやって来ます。やがて子育てを振り返ったとき、「子どもが小さかったときは楽しかったな」と思えるようになるときが必ず訪れます。

日本でも多くの先輩お母さんが、「乳幼児期の子育ては親子が密に過ごせる貴重な時間で、振り返れば輝いていた」と懐かしそうに話しますが、私も本当にそう思うんですよね。

大変ですが、かけがえのない今を、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

――子育ては子どもが生まれたときから否応なく巻き込まれ、長い年月子どもと共に生きていく時間が続きますが、子どもがひとり立ちするとあっという間に離れていき、その日を境に子育てが終了します。その日が来るまでの日々を「HugKum」読者のお母様たちができる限り楽しんでいただきたいと、私も先輩ママのひとりとして願います。本日はありがとうございました。

高松さん著書
『高卒シングルマザーがわが子をUCLA特待生に育てた45の方法』の目次。「子どもを『チャレンジ慣れ』させるアメリカ式教育システム」や、「『失敗しても大丈夫』は言ってはいなけい」など気になる子育てメソッドばかりです

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著 高松ますみかんき出版1,540円(税込)

本書は海外留学や受験勉強のノウハウを指南する本ではありません。「〇〇すれば幸せになれる」といった正解のない時代、親が敷いたレールの上を歩くのではなく、自分で目標を定め、それに向かって自発的に努力し、自己実現できる子どもを育てる方法を解説します。
そのために必要なのは偏差値一辺倒の教育ではありません。自己肯定感や創造力、コミュニケーション力などの「非認知能力」を育むことが必要です。本書では、英才教育をいっさい施すことなく、公立中学から英語も話せない状態でアメリカの高校に進学、そこで「全米最優秀高校生」を2年連続で受賞し、アメリカナンバーワンの公立大学「カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)」の特待生になった子を育てたシングルマザーの著者が、日々やってきた子育て法を紹介します。未就学児から思春期のお子さんを持つ親御さんまで、幅広い方に読んでいただける内容です。

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取材・文/山津京子

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