中央アフリカってどんな国?
中央アフリカは、名前のとおり、アフリカ大陸中央部にある国です。国土の大部分は標高600〜900mの高原で、コンゴ盆地とチャド盆地があります。また熱帯雨林が広がっていて、北東部の砂漠地帯はほとんど人が住むことなく、多くの野生動物が生息しています。
そんな中央アフリカはどんな国でしょうか?順に見ていきましょう。
中央アフリカ基本情報
まずは、首都、面積、人口言語などの基本情報から見てみましょう。
国名
中央アフリカ共和国
首都
バンギ
場所
中央アフリカがあるのは、アフリカ大陸の中央部。海に面さない内陸国です。北にチャド、北東にスーダン、東に南スーダン、南にコンゴ民主共和国とコンゴ共和国、西にカメルーンと隣接しています。
日本との時差
8時間
日本の方が、中央アフリカより8時間進んでいます。
面積
623,000㎢
日本の面積が約380,000㎢ですから、チャドの面積は日本の約1.7倍です。
エリア
20の州に区分されていて、州の中にはさらに郡とコミューン、村に細分化されています。
人口
556万人
東京都の人口が約1400万人ですから、チャドの人口は東京都の人口の約0.4倍です。
言語・公用語
フランス語(公用語)、サンゴ語(公用語、国語)、部族語
通貨
CFAフラン
1 CFAフラン=0.25円(2024年4月2日現在)
CFAフランは、西アフリカ諸国で共通で使用されている通貨です。
宗教
キリスト教、イスラム教、伝統的宗教
歴史
中央アフリカの地域では、もともと人口密度は低く、一部の地域で狩猟民や農耕民が暮していました。しかし、19世紀頃になるとフランス人がこの地に入っていき、1894年には「ウバンギ・シャリ」という名前でフランスの植民地となったのです。
さらに1910年には、コンゴ・ガボン・チャドと一緒に「フランス領赤道アフリカ」の一部となりました。そして、この地域の人々は、ゴム・象牙などの採取を強制労働で強いられてきたのです。
しかし、世界第二次大戦が終わると、独立を求める運動が高まり、1958年には独立宣言と共和国宣言を行い、1960年にはダッコ大統領が選出されました。ただ、独立後はクーデターや武力闘争が起こるなど、政情不安が続いています。
中央アフリカの国旗は、青・白・緑・黄色と赤色が使われています。青はフランスとの友情を、白は崇高な理想を、緑は農業や富を、黄色は豊富な地下資源を、赤はアフリカ大陸中央部にあることを意味しています。さらに、左上にある星は自由を象徴してデザインされています。
天気・気候
中央アフリカは赤道近くに位置するため、熱帯気候にあたります。季節はだいたい、11月〜4月の雨季と、5月〜10月の乾季にわけられます。
中央アフリカの治安・住みやすさ
中央アフリカの治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安は危険
外務省「海外安全ホームページ」によると、中央アフリカは全土にわたって、「退避してください。渡航は止めてください」とメッセージする退避勧告が出されています。これは、全土にわたって、襲撃や衝突事件などが頻繁に発生しており、不安定な状態が続いているから。
このような状態になったのは、2013年に当時のボジゼ政権が崩壊したことがきっかけです。国内で武装勢力による襲撃事件などが頻発するようになり、国連が「国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)」を設立して展開していますが、2020年に再選したトゥアデラ大統領に反発する武装勢力とMINUSCA軍・中央アフリカ軍との間で戦闘が起きるなどして、不安定な状態が続いています。
そのため、どのような理由であっても、中央アフリカへの渡航は止めるべき。すでに滞在している人についても、直ちに退避することが呼びかけられています。
住みやすさも×
長年による政情不安によって、武装勢力の襲撃事件などが起き、中央アフリカでは多くの人々がそれに巻き込まれ、避難を余儀なくされています。中央アフリカから隣国のカメルーンやチャド、コンゴ民主共和国などに逃れた人々は50万人以上ともいわれています。
中央アフリカに残っている人々は、不安定な社会の中、食料不足に陥っています。またシェルターなどに逃れた人も少なくありませんが、万全とは言えない衛生環境にあり、安全な飲み水の確保も難しく、腸チフス、腸管寄生虫症、赤痢といった感染症も発生しやすい状況にあります。
中央アフリカの見どころ・有名スポット
中央アフリカの見どころは何でしょうか?
マノヴォ=グンダ・サン・フローリス国立公園
ユネスコの世界遺産に登録されている国立公園。アフリカゾウ・クロサイなどの野生動物が多く生息していますが、これらの動物の密猟が後を絶ちません。そのため、世界遺産に登録されたものの、武力紛争や自然災害などの理由で重大な危機にさらされているところを言う「危機遺産」に登録されています。
ザンガ=ンドキ国立公園
中央アフリカ南西部にあり、コンゴ共和国との国境にあるザンガ=ンドキ国立公園。中央アフリカにある2つの世界遺産のひとつです。ゾウの楽園といわれる湿地帯がありますが、こちらでも象牙を狙った密猟が行われていて、世界自然保護基金(WWF)などの国際団体がパトロール等で対策を行っています。
中央アフリカの特徴・有名なもの
中央アフリカといえば何が有名でしょうか?
豊かな自然と野生動物の楽園
中央アフリカは未開発地が多くあり、サバンナなどの手つかずの自然が多く残っています。森林地帯には、アフリカゾウ・西部ゴリラ・サル・チンパンジー、サバンナ地帯にはライオン・ヒョウ・サイ・サルなどの野生動物が多く生息しています。水辺には、カバや水鳥も生息していて、中央アフリカは野生動物の楽園と言えます。
「ジャングル大帝」の舞台
「ジャングル大帝」は、日本の漫画家、手塚治虫によるアニメ作品。白ライオンのレオが成長していく様子を描いた作品です。このレオが育ったのが、中央アフリカを含めたアフリカ中央部のジャングルです。
レオは中央アフリカの密林の王者と言われている存在です。子どもたちにもおなじみの「ジャングル大帝」ですから、このストーリーに触れたときは、中央アフリカがどんな場所か見てみてもいいのではないでしょうか。
蝶の「世界の首都」
中央アフリカは、さまざまな種類の蝶が生息していることから「蝶に関して世界の首都」と呼ばれています。蝶の羽を使ってコラージュした作品は、中央アフリカの名物としてもよく知られており、土産品にもなっています。
綿花・コーヒー・タバコなどの農業
中央アフリカでは自給自足の生活を余儀なくされている人も多く、主な産業は農業。とくに綿花・コーヒー・タバコを中心とした産業が行われています。
世界の最貧国のひとつ、中央アフリカ
中央アフリカは政情不安な状態が長く続いていることから、多くの人々が隣国に逃れているほか、食料不足に見舞われる人も多い、世界的な最貧国のひとつです。
国連をはじめ、多くの団体や国が援助活動を行っていますが、水や食料が安定的に供給され、子どもたちが学校に通い、人々が安心して暮らせるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。
治安状況が悪く、渡航中止勧告が出ているため、この国を訪れることはできませんが、そんな厳しい環境に強いられている人がいることに目を向けてみてはいかがでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部