「プラズマ」とはいったい何? 生活の中で観察できる? その原理から応用技術までをチェック【親子でプチ科学】

「プラズマ」は、気体に熱を加えた際に出現する「物質の第4状態」です。産業界ではプラズマの実用化が進んでおり、私たちの暮らしを変える画期的な技術が誕生しています。プラズマの特性や核融合エネルギーとの関連性もチェックしましょう。
<上画像:インテリアとしてのプラズマボール>

「プラズマ」は物質の第4状態

プラズマテレビをはじめ、私たちの身の回りには「プラズマ」と名の付くものが多くあります。プラズマは、固体・液体・気体に続く「物質の第4状態」です。気体からプラズマに変化する仕組みや特性を見ていきましょう。

「物質の三態」とは

物質の第4状態であるプラズマを理解する前に、「物質の三態」についておさらいしましょう。物質の三態とは、「固体」「液体」「気体」の三つの状態を指します。

全ての物質は、複数の原子が集まった分子によって成り立っています。物質の三態はそれぞれ「分子の運動状態」が異なり、分子が集まった状態が固体、分子がやや離れた状態が液体、分子がバラバラに運動しているのが気体です。

分子の運動状態は、温度によって変わります。温度変化に伴って物質の状態が変わることを、「相変化 (そうへんか)」と呼ぶことも覚えておきましょう。

気体からプラズマに変わる仕組み

気体に熱やエネルギーを加えると、物質の第4状態であるプラズマへと変化します。最初に、物質を構成する要素について確認しましょう。

分子は複数の原子の集まりです。さらに、原子は「原子核」とその周りを回る「電子」から成り立っており、原子核は「陽子」と「中性子」で構成されます。

●電子:マイナスの電荷(マイナスイオン)を持つ
●陽子:プラスの電荷(プラスイオン)を持つ
●中性子:電荷を持たない

気体に熱やエネルギーを加えると、電子が原子の軌道から外れて自由になり、原子核はプラス、電子はマイナスの電荷を持つ状態になります。プラズマとは、プラスイオンと自由電子が飛び交う不安定な状態を指します。

プラズマでは、電子が各原子から離れて不安定な状態になる

プラズマの特性

プラズマには、以下のような特性があります。

●エネルギーの放出時に発光する
●電気的に中性である
●電気を通しやすい
●物質と反応して、性質を変える

プラズマは、高エネルギーで不安定な状態です。この状態を「励起(れいき)状態」といい、余分なエネルギーを光として放出し、元の安定した状態である「基底(きてい)状態」に戻ろうとします。

電気的に中性とは、電荷を帯びていない状態です。プラズマはプラスの電荷とマイナスの電荷がつり合い、互いの電荷を打ち消し合っています。

物質と反応して相手の性質を変化させる特徴もあり、多くの業界では「プラズマ照射」の研究が進められています。

プラズマボールは、ガラス球の中に高圧電極と、数種類の希ガスの混合気体が入っている器具。中心電極とガラス球殻の間にプラズマ・フィラメントが形成され、プラズマ照射によって光のビームが観察できる。

身の回りにあるプラズマを知ろう

プラズマは、身の回りの至るところに存在します。自然界で発生するプラズマもあれば、人工的に生み出されたプラズマもあります。

自然界に存在するプラズマ

宇宙空間は高温で希薄なガスで満たされており、このガスの99%以上はプラズマ状態であるといわれています。私たちの目に見えるプラズマの例としては、以下のようなものが挙げられます。

●太陽
●オーロラ
●彗星(すいせい)の尾
●稲妻

太陽の表面は、100万度を超える「コロナ」で覆われています。肉眼では見えませんが、コロナは原子核と電子が分離したプラズマ状態です。

太陽からは、プラズマ粒子のエネルギーである「太陽風」が噴出しており、オーロラや彗星の尾は太陽風の影響によって生じています。

また、雲の中で氷の粒がぶつかり合うと、摩擦によって静電気が発生します。雲の上方はプラス、下方はマイナスの電気を帯びており、地面にマイナスの電気が放出されることで、稲妻が生じるのです。その際、大気ではプラズマが発生しているため、明るく光って見えます。

稲妻もプラズマで説明できる現象のひとつ。

産業界で応用されるプラズマ

産業界では、人工的なプラズマがさまざまな目的に使われています。身近なものには、「蛍光灯」や「ネオンサイン」が挙げられます。「プラズマテレビ」の画面が鮮やかで美しいのは、プラズマの原理によって画素が発光しているためです。

近年は医療や農業をはじめとする多くの分野で、「プラズマ照射」の研究と実用化が進んでいます。エネルギーがそれほど高くない「低温プラズマ」を使うことで、以下のような処理ができます。

●表面の加工
●洗浄・殺菌
●病気や虫歯の治療
●農作物の成長促進

プラズマを生み出すには、多くのエネルギーが必要です。小型かつ低消費電力のプラズマ発生装置が一般化すれば、私たちの暮らしが大きく変わるかもしれません。

プラズマテレビなど、家電にも応用されている。

プラズマと核融合エネルギーの関係性

プラズマと切っても切り離せないのが、「核融合エネルギー」です。核と聞くと、危険というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、核弾頭や核実験とは異なります。

プラズマと核融合エネルギーの関係性について理解を深めましょう。

核融合エネルギーは次世代のエネルギー源

日本をはじめとする多くの国は、石油や天然ガスなどを燃やして電力を得る「火力発電」を採用しています。世界では人口増加に伴う天然資源の枯渇が懸念されており、人類のエネルギー消費量をまかなうためのエネルギー源として、核融合エネルギーが注目されています。

核融合エネルギーは、原子核同士が合体する「核融合反応」によって生み出されるエネルギーです。例えば重水素と三重水素を高速で衝突させると、高いエネルギーを持つヘリウムと中性子が生まれます。1gの燃料から生まれるエネルギーは、石油8tを燃やしたときの熱に匹敵するといわれています。

原子力発電は、「核分裂」によってエネルギーを生み出す方法です。核融合は核分裂よりも安全性が高く、核廃棄物の処理も容易です。

核融合反応にはプラズマが必要

核融合反応は、二つの原子核を超高速スピードで衝突させることで生じる反応です。高速スピードを得るには、燃料を1億度以上の高温で加熱し、プラズマ状態を作らなければいけません。

さらに、1億度以上の環境においてはどのような物質も固体の状態を保てないため、プラズマを閉じ込める専用の容器も必要です。

核融合関連機器は巨大ながら、極めて高い精度が求められます。現時点において核融合エネルギーは実用化がされておらず、日本を含む多くの国が研究・開発を進めています。

プラズマの力は私たちの生活に不可欠

プラズマは私たちの身の回りに普遍的に存在し、かつ生活に欠かせないものです。科学技術の進歩とともに、医療や農業、エネルギーの分野でも応用が進んでいます。

核融合エネルギーの実用化は、プラズマ技術の集大成といっても過言ではありません。核融合発電の稼働が成功すれば、エネルギー問題や環境問題が解決される可能性があります。

この機会に、大きなポテンシャルを秘めているプラズマの原理や応用について、親子で話してみてはいかがでしょうか?

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構成・文/HugKum編集部

出典:誰でも分かる核融合のしくみ | 「非常に大きなエネルギー」とは、どのくらいの大きさなの? – 量子科学技術研究開発機構
核融合エネルギーの実現に向けて:文部科学省

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