「政治献金」ってやっていいの? なぜ必要? 政治家の資金調達法や献金ルールを理解しよう【親子で学ぶ現代社会】

政治の世界では、政治家や政党に対する政治献金が行われています。献金自体は違法ではありませんが、法律によって「献金できる人」や「献金の限度額」などの細かいルールが定められています。政治献金が行われる理由やメリット、懸念点などを解説します。

政治献金とは何を指す?

政治の世界では、政治献金が行われることがあります。文字通り、政治に関する献金を意味しますが、いつ・誰が・どのように行うのでしょうか?

政治家や政党に資金を提供すること

「献金」とは、ある目的のために金銭を相手に献上すること、またはその金銭そのものを意味する言葉です。政治献金は、政治活動に役立ててもらうために、政治家や政党などにお金を提供することを意味します。金銭を無償で提供する意味では、寄附と同じです。

そもそも、政治家や政党にお金を提供するのはなぜでしょうか?

政治活動をする上では、人件費や宣伝費、印刷費といった多くの費用がかかります。政党には国から「政党交付金」が交付されていますが、資金が足りない場合は自分たちで資金の調達をしなければなりません。多くの政治家や政党は、イベントを開催したりウェブWeb上で協力を呼び掛けたりして、活動するための資金を集めているのです。

資金のやりとりは法律に基づく

政治資金のやりとりは、「公職選挙法」や「政治資金規正法」に基づきます。誰でも無制限にお金を提供できるわけではなく、法律でルールが決まっているのです。

公職選挙法とは、国会議員や地方議員などの選挙方法を規定する法律です。選挙区内の人に対する全ての献金が禁止されており、場合によっては飲食物の差し入れもルール違反と見なされます。

政治資金規正法は、公正な政治活動を目指す法律です。収入と支出の公開を義務付けると同時に、資金のやりとりに関するさまざまなルールを定めています。

政治献金に関する主なルール

政治資金規正法は、政党をはじめとする政治団体と公職の候補者を対象とした法律です。政治献金に関して、具体的にどのようなルールが設けられているのかを確認していきましょう。

政治資金収支報告書の提出が必要

個人の政治家は、政党や政治資金団体といった「政治団体」を通じて、政治資金をやりくりしています。

「政党」とは共通の主義や目的を持つ人で構成された組織で、政権獲得を目指して活動しています。「政治資金団体」は、政党への資金援助を目的に設立された政党指定の団体です。これらの政治団体は、政治家の財布を管理しているといってもよいでしょう。

政治団体には政治資金の収支の公開が義務付けられており、1年間の収入・支出・資産を記載した「政治資金収支報告書」を提出しなければなりません。例えば、年間5万円を超える献金があった場合は、献金をした人の氏名や住所などを記載する必要があります。

献金には制限がある

政治献金には、いくつかの制限が設けられています。会社や労働組合などの「団体」は、政治家の後援会などに献金ができません。個人で行う献金とは異なり、以下に対してのみ献金が行えます。

●政党
●政党の支部(一つ以上の市区町村の区域や選挙区の区域を単位とするもの)
●政治資金団体

個人・団体を問わず、公職の候補者の政治活動には献金ができません。ただし、「選挙運動」に関しては献金が認められています。

限度額が決められている

お金に余裕があるからといって、無制限に献金をしてよいわけではありません。政治資金規正法には、「総枠制限」と「個別制限」という二つのルールがあります

総枠制限は、同一の寄附者が1年間に献金できる金額の総額です。以下のように、「個人」と「会社・労働組合」では、異なる金額が設定されています。

<個人>
●政党・政治資金団体への献金:年間2,000万円まで
●その他の政治団体・公職の候補者への献金:年間1,000万円まで

<会社・労働組合>
●政党・政治資金団体への献金:年間750万~1億円まで

個別制限とは、同一の寄附者から同一の受領者に対する献金の限度額で、以下のように決められています。

●個人からその他の政治団体や公職の候補者への献金:年間150万円まで
●その他の政治団体間でなされる献金:年間5,000万円まで

献金ができない人もいる

政治資金規正法では、政治団体が行きすぎた政治資金の集め方をしないように、特定の人からの献金を禁じています。以下に挙げる人は、金額に関係なく献金自体ができません。

●一定の補助金などを受けている会社やその他の法人
●赤字の会社
●外国人や外国の法人
●他人名義や匿名

「匿名(とくめい)」とは、自分の本名を明かさないことです。匿名での献金はできないのが基本ですが、街頭演説会や集会といった一般に公開されている場所に限っては、政党や政治資金団体に対する1,000円以下の匿名献金が認められています。

また少ない金額であっても、オンラインで行う「ネット献金」は匿名が認められていません。

政治献金以外で資金を調達する方法

政治活動を行うには多額の政治資金が必要です。政治家や政治団体は、どのような手段で資金を集めているのでしょうか?政治献金以外で資金を調達する方法を見ていきましょう。

政治資金パーティーを開催する

多くの政治団体は「政治資金パーティー」というイベントを開催し、参加者に「パーティー券」を販売することで資金を集めています。パーティー券で得た収入は献金には当たらないため、年間5万円を超えた場合でも政治資金収支報告書に購入者の氏名や住所を記載する必要はありません。

ただし政治資金規正法では、政治資金パーティーに以下のようなルールを設けています。

●同一の人からの支払い額や同一のあっせん者からの支払い額が合計20万円を超えた場合は、氏名などを公開する
●パーティーの対価の支払いは、150万円を超えてはならない

政治資金パーティーには外国人や外国法人も参加が可能です。政治献金と違い、さまざまな人から幅広く資金を集められるのがメリットといえます。

後援会を立ち上げて会費を集める

政治家の中には、「後援会」で会費を集める人もいます。後援会とは、特定の公職の候補者を支援する団体です。候補者のファンクラブのようなもの、と考えると分かりやすいでしょう。

講演会や座談会、会報の発刊などを通じ、候補者の活動を応援したり、会員同士の親睦を深めたりすることが主な目的です。

会費は後援会が自由に決められるため、1年間で3,000円のところもあれば、5万円を超えるところもあるのが実情です。政治献金や政治資金パーティーで得た資金とは異なり、誰がいくら払ったのかを報告する義務はありません

政治献金のメリットと懸念点

政治献金は、政治家や政党が活動を続けていく上で欠かせないものです。一方で、献金にまつわる不正がないとも限らず、過去にはさまざまな事件が起こっています。政治献金には、どのようなメリットや懸念点があるのでしょうか?

支持政党の政策実現を後押しできる

政治献金のメリットは、自分が支持する政党をサポートできる点です。政治活動には多額のお金がかかるため、個人や企業が金銭面で手助けすれば、支持政党の政策が実現しやすくなります。

国は政党に政党交付金を交付していますが、全ての政党が受け取れるわけではありません。所属する国会議員の数や過去の国政選挙の得票率といった要件があり、小さな政党は交付金の対象から外れてしまう可能性があります。政党交付金がもらえない政党にとって、政治献金は大きな支えとなるでしょう。

企業と政治の癒着につながる可能性も

政治献金の懸念点は、資金力のある企業が政治をコントロールしかねないことです。特定の企業から多くの政治献金を受ければ、政治家や政党はその企業に有利な政策を推し進めてしまい、国民の本当の声が反映されなくなってしまうかもしれません。

過去には企業と政治が絡んだ不祥事が起きており、そのたびに政治献金のあり方が議論されてきました。現在は、政治資金規正法によってルールが定められていますが、抜け穴が多いとの指摘もあります。

政治献金は法の順守が求められる

政治献金は、政治家や政党に対する寄附です。資金のやりとりに節度を持たせるため、政治資金規正法が制定されています。ルールが存在しなければ、お金で政治をコントロールし、自分たちに有利な政策を実現させようとする行為が横行する恐れがあるでしょう。

一方で、収支報告書の公開基準や政治資金パーティーに関する規定など、政治資金規正法のルールの甘さを指摘する声も上がっています。この機会に、親子で政治献金の意義やルールのあり方を考えてみるのもよいでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

出典:政治資金規正法のあらまし

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