ベラルーシってどんな国?
東ヨーロッパに位置するベラルーシは、1991年に旧ソビエトの崩壊によって独立してできた国です。日本からは遠く離れていることから、ベラルーシという名前は耳にしたことがあってもどんな国なのか知っている方は少ないかもしれません。この記事では、ベラルーシがどんな国なのかをくわしくご紹介していきます。
ベラルーシ基本情報
まずは首都、面積、人口、民族などの基本情報から見てみましょう。
国名
ベラルーシ共和国
首都
ミンスク
場所
ベラルーシがあるのはヨーロッパ東部。北から東にかけてロシア、南にウクライナ、西にポーランド、北西にリトアニア、ラトビアに隣接しています。
日本との時差
6時間
日本のほうがベラルーシより6時間進んでいます。
面積
約207,600㎢
日本の面積が約380,000㎢ですから、ベラルーシの面積は日本の面積の約半分です。
エリア
ベラルーシは6つの州と、首都ミンスクがあるミンスク市の全部で7つの行政区があります。

人口
約926万人
東京都の人口が約1400万人、神奈川県の人口が約923万人ですから、ベラルーシの人口は東京都の人口の約66%で、神奈川県の人口とほぼ同じです。
言語・公用語
ベラルーシ語(公用語)、ロシア語

通貨
ベラルーシ・ルーブル
1 ベラルーシ・ルーブル=44.7円(2024年8月20日現在)
宗教
ロシア正教(84%)、カトリック(7%)、その他(3%)、無宗教(6%)
歴史
ベラルーシがある地域は、かつてリトアニア大公国があった場所です。1569年には、ポーランドとリトアニア大公国の連合国家が成立しました。
そして1991年12月にソビエト連邦が崩壊したことで、旧ソ連の体制が変更となり、複数の国に分割されました。このときに誕生した国のひとつがベラルーシです。
ベラルーシの「ベラ」はスラブ語で「白い」、「ルーシ」は「ロシア」の意味があり、「白いロシア人」という意味があります。

国旗
また、ベラルーシの国旗は赤と緑色の2色を使ったデザインです。赤は過去の闘争での勝利を、緑色は森林や春の到来を表しています。また左側には、ベラルーシの伝統的な織物の装飾模様をあしらっています。
旧ソ連時代の国旗には、星や鎌、ハンマーのデザインが描かれていましたが、現在の国旗ではそれらが取り除かれています。
天気・気候
ベラルーシの気候は冷涼で、年間を通して雨が降るのが特徴です。首都ミンスクは北海道より北側の北緯53度であるため、冬は昼間の時間がとても短くなります。曇り空の日が多く、12月の平均月間日照時間はわずか25時間しかありません。
ベラルーシの治安・住みやすさ
ベラルーシの治安はどうでしょうか? また住みみやすさについても見てみましょう。
治安はよくない
2022年にロシアがウクライナに軍事侵攻を開始しました。ベラルーシはロシアにもウクライナにも隣接しており、国内にはロシア軍と民間軍事会社の部隊が駐留しています。そのためベラルーシの治安は、とても危険な状態が続いています。
外務省「海外安全ホームページ」によると、ベラルーシ全土で「渡航中止勧告」のレベル3が発令され、ウクライナとの国境周辺では「退避勧告」のレベル4が発令されています。ウクライナとの国境周辺では軍事衝突が発生する可能性もあり、とても危険です。

またベラルーシはロシアのウクライナ侵攻に関与したことから、日本はベラルーシに対して欧米各国と同じように制裁を科しています。そのため、日本人がベラルーシに滞在するだけでも危険が生じる可能性があります。
またベラルーシの都市部では外国人が巻き込まれる事件が多くあり、スリ、強盗、車上荒らしなどの被害には十分気を付ける必要があります。
住むのはリスクが伴う
ロシアのウクライナ侵攻の影響で、ベラルーシの治安はとても悪く、軍事衝突が起きたり巻き込まれたりする可能性もあります。そのような治安面を考えると、ベラルーシは住みやすい国とはいえないでしょう。
ベラルーシの見どころ・観光
ベラルーシの国土の3分の1は森林で、多くの野生動物や野鳥が生息しています。そんなベラルーシの見どころや観光スポットをご紹介しましょう。
ミール城
ベラルーシのフロドナ州にある城です。15世紀から16世紀にかけて建設されたゴシック様式の城で、貴族などが生活していました。おとぎ話の中に出てきそうな外観で、ぜひ写真を撮っておきたいスポットです。

トラヤツカヤ旧市街区
ミンスクにあるトラヤツカヤ旧市街区は、ヨーロッパの雰囲気を感じられる街並みが再現された地域です。ソ連というより、ヨーロッパに迷い込んだような感覚になるでしょう。

国立図書館
ミンスクにある国立図書館は、ダイヤモンド型の建物が目印です。ユニークな建物で、中には展望台もあり人気の観光スポットのひとつになっています。
ミンスクゲート

ミンスクの中心部からやや東にある11階建ての対の建物がミンスク・ゲートです。その北東にはスタジアムや美術館があり、観光客が足をとめるスポットでもあります。美しい夜のライトアップでも知られています。
聖霊大聖堂

カトリック教会として建築され、現在はロシア正教の協会として使われています。ソビエト建築の様式がところどころに取り入れられ、青い空に映える白色がとても美しい建物です。
ベラルーシの特徴・有名なもの
ベラルーシには、かつて白ロシアという名前で呼ばれていました。また、じゃがいもを使った料理がメジャーなことでも知られています。
白ロシア
「白ロシア(はくろしあ)」とは、ベラルーシのかつての国名です。1919年に白ロシア・ソヴィエト社会主義共和国が成立し、1921年にはポーランド・ソヴィエト戦争の結果で成立したリガ条約により、白ロシアの東半分がソ連領、西半分がポーランド領となりました。
その後、第二次世界大戦でポーランドの西半分が白ロシアに編入されました。そして1991年のソビエト連邦崩壊にともなって、白ロシア・ソヴィエト社会主義共和国から、現在のベラルーシ共和国に国名が変更された歴史があります。
白ロシアの「白」については諸説あり、13~16世紀にかけてモンゴルがこの地を支配していた時代、方角と色を結びつける「陰陽五行思想」によって、モンゴルから見て西部だったこの地域を「白」とした説があります。そのモンゴル支配下で貢納を拒んだことから、潔癖をあらわして「白」を称したとも言われています。
じゃがいも料理
ベラルーシでは、じゃがいもの料理がとてもメジャーです。ベラルーシではじゃがいもが主食であり、国民一人あたりのじゃがいもの生産量も世界でトップクラスです。じゃがいもは長い冬でも保存がきくため、さまざまな種類のじゃがいも料理が食べられています。

テニスの元女王、マリア・シャラポワ
元女子テニスプレイヤーのマリア・シャラポワは、ベラルーシ人の両親の間に生まれたロシア国籍の人物です。モデルのような美しい容姿から「ロシアの妖精」と呼ばれました。
ベラルーシは隣国のロシア、ポーランド、リトアニアなどの影響を受け、それぞれの民族のDNAをもつ人が多く、美人も多く生まれているといわれています。
東ヨーロッパの国、ベラルーシ
ベラルーシはロシアとウクライナに隣接しているため、ロシアとウクライナの軍事衝突の影響を受けて現在は治安が悪い状況になっています。これまでもソビエト連邦の崩壊によってベラルーシが誕生したように、ロシアなど隣国の歴史の影響を大きく受けてきました。
日本から遠く離れた国ではありますが、国際世界の一国として、ベラルーシについても目を向けてみましょう。
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文・構成/HugKum編集部