3男1女が全員東大から医師に !「佐藤ママ」は幼児期のわが子にこんな絵本を読み聞かせてきた

3男1女が全員、東京大学理科Ⅲ類(医学部)に合格、4人の子どもたち全員が東大卒医師となった「佐藤ママ」こと佐藤亮子さん。子どもたち一人ひとりの個性に合わせた、細かな学習サポート法が評判です。今回は佐藤ママが「3歳までに1万冊」と提唱する読み聞かせの絵本の選び方、また、ご自身の子育てで親しんだ絵本についてお話をうかがいました。

お母さん、お父さんの声で読むことが大切。上手に読んであげられなくても大丈夫

保護者が子どもにする最初の知育は絵本の読み聞かせだと思います。読み書きができない時期は言葉をインプットする〝耳学問〟が大事だからです。人は耳から入れた言葉でしか話すことができませんし、耳から入れた言葉を使ってしか考えたり文章を書いたりすることができません。

この時期に選りすぐりの言葉で書かれた絵本を読み聞かせれば語彙力が高まりますし、良質の絵本から得られる豊かな感性は人生の宝物と言っていいのではないかと思います。

よく保護者の方から「上手に読めない」という相談を受けますが、難しく考えることはありません。子どもたちにとってはたとえ棒読みだとしても、お母さんお父さんの声が一番心に響くので、うまく読もうとせず、そのまま読めばいいと思います。

3歳までに1万回を目標に

3歳までにのべ1万冊を目安にしましょうと言うのが私の提案ですが、絵本は薄くてすぐに読めますし、1冊を繰り返し読んだ場合も、読んだ回数で数えるので、正確に言えば「1万回読む」の目標はそれほど高いハードルではありません。

この数字は私が母親になって子どもと向き合うだけの単調な生活の中で、自分に何かメリハリをつけたいと思ったのと、難しい資格試験も1万時間勉強したら合格すると聞いて、1万という数字には意味があると聞いて設定した数字なので参考にしてくださいね。

読み聞かせは親にとっても幸せな時間

読み聞かせは子どもにとって楽しい時間ですが、親にとっても良い時間だと思います。

わが家の長男が1歳のころに読み聞かせをしていたときのこと。私の膝の上に長男を乗せて読んでいると左ぺージから右ページに長男が視線を動かすと頭も左から右へくるっと動きました。動くときふわふわした髪の毛が私のあごを撫でていきます。そのやわらかな感触がかわいくてしかたありませんでした。

読み聞かせは親にとっても至福の時間なのです。また、同じ本でも子どもによって反応が違ったり、自分が子どものころに読んだのとは違う感想を持つなど親にとっても発見することがあるのも読み聞かせのいい点です。

以前、『手ぶくろを買いに』を読み聞かせたことをきっかけに、作者の新美南吉のことを調べてみたことがありました。幼少期に母と死に別れたと知り、作品の中に母を恋う気持ちが投影されているのがわかり、小さいころに読んだときとはまた違う発見がありました。このように、読み聞かせが親にとっても新たな視点や発見につながることがあるのです。

ロングセラーを絵本選びの目安に

私は長男に読み聞かせをしようと思ったとき、どんな本を選んでいいかわかりませんでした。図書館に行く時間もなかなか取れなかったので、全国展開する学習塾の推薦図書リストを片端から読んでいきました。推薦図書のリストは絵本を研究したり詳しい人が選んでいるため、質の高い本ばかりで子どもも喜び、よかったと思いました。何を選んだらいいか困っている方にも参考になるのではと思います。

子どもたちが図書館に行けるようになると、皆で図書館に行き、子どもに本を選ばせて借りてきて読むこともありました。

何を選べばよいか迷ったら、長く多くの人に読み継がれているロングセラー本を選びましょう。多くの親子が読んで楽しんできた本なので間違いなしと言えます。

年齢別・佐藤ママが読み聞かせたロングセラー絵本

たとえばわが家では次のようなロングセラー絵本を読んでいました。一部を紹介しますね。読み聞かせたときの思い出に溢れた本ばかりです。絵本の裏表紙には読み聞かせるのに適した年齢が書かれていますが、あまり気にしなくてもいいと思います。子どもの多いわが家では少し難しい本でも上のきょうだいと一緒に見ていたり、下の子に読み聞かせていると上の子どもが聞いていて「なつかしいなあ!」と言ってまた読み返したりしていたので、適した年齢はだいたいの目安と考えてください。

0歳~2歳

〇『こんにちは』(わたなべしげお・文/おおともやすお・絵/福音館書店)

〇『いないいないばあ』(松谷みよ子・文/瀬川康男・絵/童心社)

〇『バナナです』(川端誠・作/文化出版局)

 

3~5歳

〇『ぐりとぐら』(中川李枝子・文/大村百合子・絵/福音館書店)

〇『おさるのジョージ パンケーキをつくる』(M・レイ H・A・レイ・作/渡辺茂男・訳/岩波書店)

〇『はらぺこあおむし』(エリック・カール・作/もりひさし・訳/偕成社)

 

5~7歳

〇『スイミー』(レオ・レオニ・作/谷川俊太郎・訳/好学社)

〇『めっきらもっきら どおんどん』(長谷川摂子・作/ふりやなな・絵/福音館書店)

〇『注文の多い料理店』(宮沢賢治・作/スズキコージ・絵/ミキハウス)

 

正義の味方がでてくる戦隊ものの絵本も読み聞かせました

これ以外にもさまざまな分野の絵本を読み聞かせていました。

私は名作と言われているものはとりあえず触れさせたいと思い、男の子たちにも「シンデレラ」「眠り姫」などのおとぎ話を読み聞かせていましたが、上3人の男の子たちは驚くほど関心を持ちませんでした。でも、長女はきれいなドレスを着たお姫様がいて最後に王子様が出てきてお姫様を助ける話には多大な関心を持ちました。王子様が登場する場面は、何度も繰り返して読まされたのがおもしろかったです。

ヒーローが登場する戦隊ものの絵本も読みました。正義の味方がでてくるお話はシンプルで小さい子には分かりやすくていいと思います。

個人的に読ませたいと思ったのは、文学性の高い、大正・昭和の児童文学作家の作品

私が読んでいて、いいなあと思いたくさん読みたいと思ったのは浜田広介(・代表作『泣いた赤おに』)、小川未明(・代表作『赤い蝋燭と人魚』、新美南吉(・代表作『ごんぎつね』)などの大正から昭和にかけて活躍した児童文学作家の作品でした。

私はその時代の児童文学の美しく、哀しくせつない部分もある文学性の高い作品に心を打たれました。子どもの感性を深い部分から育てる作品だと思うので、今では古い表現や子どもには難しい言葉も出てきますが、ぜひ読んであげていただきたいと思います。

子どもに恐怖心を与えてしまいそうな本は読み聞かせしませんでした

反対に、ベストセラーになっていて多くの人が手に取っていても、選ぶとき、どうしても気が進まない本がありました。

それは、子どもが恐怖にかられて怯えてしまうようなテーマや内容の本です。身近な人が亡くなったり、いじめにあったりというようなことが出てくる作品は手に取らないようにしていました。読み聞かせて子どもの心に傷がつく可能性があるからです。

そのようなテーマの本は子どもが成長して、いろいろな知識が増え自分で良し悪しを判断できるようになってから読んでも遅くないと思います。子どもにとっての読書の導入は、生きるっていいな、楽しいことなんだなと子どもが思える本であってほしいと思います。お子さんの様子を見て、成長段階に応じた本を選んでほしいものです。

以前、「大学受験に役立つ本は何ですか」と聞かれたことがありますが、読み聞かせと勉強は直接結びつけないほうがいいと思います。まずは、お子さんと一緒に楽しんで読んでもらうことが一番です。

 

こちらの記事では、佐藤ママが我が子の読解力を上げるためにやっていたことをお話ししています。

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教えてくれたのは

佐藤亮子さん|教育アドバイザー

大分県生まれ。津田塾大学英文科卒業後、高校で英語教師に。結婚後、3男1女を育て、全員が東京大学理科Ⅲ類から医学部医学科を卒業する。母親ならではのきめ細かい学習サポート法が注目されている。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、様々なメディアで発信している。著書に『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数 国語 絶対やるべき勉強法』『3男1女全員東大卒医師に!一点集中ムダ取り勉強法』(幻冬舎)などがある。

構成/今津朋子 写真/岡本尚樹(佐藤さん)

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