北村匠海もキーパーソンで出演!ほっこりした展開からまさかの怪獣映画に!涙腺崩壊の『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』

「クレヨンしんちゃん」の劇場版第31作目『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』が8月9日(金)より公開。しんちゃんたちと小さな恐竜との交流を描く本作は、友情や家族愛に加え“命”の尊さを考えさせられる深い作品に仕上がっています。

恐竜がわんさか登場!ド迫力のディザスター映画に

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

子どもだけではなく、大人が見ても琴線、涙腺を揺さぶられることに定評がある「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ。最新作はそのクオリティーを押さえつつ、ディザスター映画、怪獣映画などの要素も盛り込んだ手に汗握るエンターテインメント映画となっていました!多数の恐竜が暴れまくります(笑)。

『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』というタイトルから想像されるとおり、しんのすけたちと恐竜との交流を軸にした感動作ではありますが、そこに野原一家と別の家族との対比、社会的地位を得た者の知られざる葛藤、野原一家の過去の思い出などを織り込むことで、非常に豊かな人間ドラマにもなっています。

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大人から子どもまで、全方位の涙腺トラップが仕掛けられているのは、お約束どおり。監督はアニメ「デュエルマスターズ」シリーズの佐々木忍、脚本は「クレヨンしんちゃん」のTVアニメシリーズも担当しているモラル。「映画クレヨンしんちゃん」の監督、脚本を務めるのは初となったフレッシュなコンビですが、様々な作品へのオマージュも取り入れ、シリーズに新風を注ぎました。

小さな恐竜のほのぼのシーンから『ゴジラ』映画さながらのアクションシーンへ!

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

現代に恐竜をよみがえらせたという一大テーマパーク「ディノズアイランド」が東京にオープン。世間は恐竜フィーバーとなっている中、シロは散歩中に小さな恐竜と出会います。その後、野原一家はその恐竜を迎え入れ、“ナナ”と名づけて交流していくことに。

でも、実はそのナナを血眼(ちまなこ)になって探しているのが、ディノズアイランドをオープンさせたバブル・オドロキーでした。しんのすけは、ナナの秘密を知る生物学の研究者ビリーと出会い、一緒に行動することに。ところがトラブルが起きて恐竜たちが大脱走し、町は大惨事となってしまいます!しんのすけとシロ、カスカベ防衛隊は、ナナを守るべく大奮闘していきますが……!?

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前半では、しんのすけやシロたち野原一家、そしてカスカベ防衛隊がナナとふれあう姿が描かれ、そのほっこりした絵面に心が癒やされます。とりわけ、自分も元々は捨て犬で、しんのすけに拾われたというシロがナナに自分自身を重ね、心から可愛がっていく姿には思わず感情移入。

シロがナナをぺろりとなめるシーン、ナナがしんのすけと一緒にお尻ブリブリするシーン、一緒にお風呂に入るシーンなど、愛らしさ炸裂のシーンに、クレしんファンは心を持っていかれること間違いなし。前半でナナがみんなに愛されれば愛されるほど、後半で迎えるエモーショナルな流れが際立ちます。

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

中盤からは、『ゴジラ』や『シン・ゴジラ』映画ばりに、恐竜たちの襲撃を受けていくという怒涛の展開に。クレしん映画なのに、ディザスター&パニック映画の構図となり、思わず息を呑みます。これぞ大スクリーンで観るに値する内容で実にエキサイティング!

恐竜たちは次から次へとビルを破壊。予告編にもありましたが、ローンがまだ32年残る野原家も踏み潰され、父ひろしが涙するシーンも。これを見たら、パパママ世代はリアルに「そりゃあ泣く!」とうなずいてしまうのでは。

ちなみに声の特別出演は、キーパーソンとなるビリー役に北村匠海、ディノズアイランドのスタッフ・チュウ役にオズワルドの畠中悠、ディノズアイランドの運営、システム管理者・アンモナー伊藤役にオズワルドの伊藤俊介。適材適所のキャスティングとなっているので、そこもお楽しみに。

大人をもうならせる親子の絆と大人社会での葛藤

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

まっさらな気持ちで見ていただきたいので詳細は書けませんが、野原一家と共に、もう1つの家族物語も併走していく本作。その一家は毎度、すばらしい親子愛を発揮する野原家とは対象的で、ある時期からボタンをかけ違えてしまったようです。そんな家族の再生も丁寧に描きこんでいる点が脚本の真骨頂かと。

また、「映画クレヨンしんちゃん」は、キャラクターが年を取らない「サザエさん」方式という前提を踏まえつつ、1本の映画として見せるので、ちゃんと子どもの成長が描かれます。なおかつ本作においては、それを実感する親の視点が挿入されている点が胸熱です。見ていて「子どもってすごい」という言葉をかみしめてしまいました。


さらに、大人社会の矛盾や、生物学上の倫理なども折込まれた物語は、大人と子どもで異なる琴線ポイントもありそう。ラストの落としどころも、それまでの物語を吸い上げ、納得のいくところに着地させるというウルトラCをキメています。そこも最高!

本作でしんのすけたちは、ナナと共に特別な夏を過ごしますが、この機会にHugKumファミリーにも、そんな素敵な夏の思い出を共有していただきたい。猛暑の夏がまだまだ続くので、ぜひ近くの映画館へ行って、涼を取ってください!

『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』は8月9日(金)より公開中
原作:臼井儀人(らくだ社)
監督:佐々木忍脚本:モラル
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、真柴摩利…ほか ゲスト声優:北村匠海、オズワルド
公式HP:https://www.shinchan-movie.com/

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024

文/山崎伸子

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