末っ子がかわいくて仕方がありません。上の子たちと扱い方が違うことを自覚しています。このままだと「きょうだい関係」に悪影響がありますよね?
3人きょうだいの母です。末っ子の4歳の次男がかわいくて、かわいくて、上の二人とは扱い方が違ってしまうことを自覚しています。一年生の長女からは、「ずるい!」とよく言われてしまう始末。こんなことでは、子どもたちの関係に悪影響ありますよね?末っ子がわがままになってしまうからいけないとも思うのですが。
きょうだいでも子どもの性格は十人十色。一人ひとりを大事に思うことが、家族の和を作ります。
ご質問の「悪影響ありますよね?」という文面から、子どもには平等であるべきだなのにという、お母さんの後ろめたさを感じておられるのが伺えます。でもね、複数の子どもに同質の愛情を同量かけられるのは神様しかいないと思いますよ。
初めの子どもは緊張して、さまざまな情報を集め、正しく育てなければと頑張る方は多いです。けれど、二番目になるとおおよその見当がつくようになるので、緊張感がゆるみます。三番目はなんといってももっとおおらかになれます。だって、2回体験していますからね。その緩んだことで感じるのが「かわいさ」なんだと思います。
ひとり目は「子どももいろいろだわよね」なんて、思えなかったでしょう? 三番目は子どもといえども十人十色が見えてきます。さらに同じ親から産まれたのに、性格が違うんですから頑張ったところで、性格は変えられないくらいに思えてきます。
確かに生まれたときから「その子」らしさがあります。そこに家庭環境というかきょうだいの順番による環境の違いが影響します。往々にして一番目は几帳面で頑張り屋。だって、親の目をいつも浴びながら頑張ることで愛されることを知っています。二番目はほどほどに親から逃れたり、上を見ていて学んでいますからすごく叱られることはしない。三番目以降になりますと上から社会性を学びます。力ではかなわないので、弱さによる愛情を求める方法を体得します。こんなふうばかりではありませんけれど、おおよそです。
5人兄弟の末っ子の私。親からの愛情を疑ったことはありませんが、兄が一番かわいいという母の気持ちはわかっていました
私は五人きょうだいの一番末です。「かわいがられたでしょう?」と、言われることが多いですが、本人はほかよりかわいがられたという自覚はありません。でも、親からの愛情を疑ったことがありませんから愛されていたのだと思います。
一番上の兄はちゃんとしていました。私とは12歳も離れていたので、私にとっては本物のおにいちゃんで、一緒に遊ぶことはあまりなかったです。
姉はよく父と大げんかしていました。初めての女の子で心配だったのでしょう。学校からの帰宅が遅いというだけでけんかしていましたから。
2番目の姉は静かに読書好きで食べる事に興味がない。父とは文化の好みが一緒で美術館などに出かけていました。
すぐ上の兄。私とは3歳違いですからよく遊び、よくけんかをしてきました。この兄は学校でも目立つ活発な子。私は逆に外では静かな子、兄の群れのおみそであそんでいました。家では「はたち」と言うあだ名がつけられていました。成人のように口が達者で生意気という事だったと思います。5人もいると違いがわかりやすいですしょう?
母が一番かわいいと感じていたのはすぐ上の兄です。なにがと言われても訳などないのです。感じているんです、きょうだいも。小学生の頃「おかあさんは○○ちゃんがいちばんすきでしょう?」と聞いたことがあります。母はすかさず「そんなことないよ」と言いました。ずるいという気持ちより事実として、私は受け止めていました。
さてさて、私事が長くなりすぎました。
きょうだいを比較して評価せず、それぞれに肯定的な言葉かけを。一人ひとりを大事に思っていれば大丈夫
あなたにしてみれば、まだ子どもが小さいし三人とも同じように育ててあげたいというお気持ちはわかりますが、子どもは親も感情を持っていることは承知しています。
子どもにとって大事なことは「自分は愛されているのか」ということだけです。子どもは自分が少しでも多くの愛情をもらいたいと思っています。言い換えるときょうだいは親の愛情を奪い合うライバルなのです。特に幼い頃は親の愛情が生きる上での手放せない絆なのですからね。
そこで、きょうだいが安心して仲良くなって欲しいしならば、子どもを比較しないことです。「お兄ちゃんはできるでしょう?」「あなただけがわがままなのよ」などと比較して評価するのはやめましょう。それぞれの子どもの姿をありのままあなたが受け止めることです。
「あなたはよく気がつくわね」「あなたは好きなことに夢中ね」などと肯定的な言葉かけができたら最高!家族のなかで疎外感をもっていなければ、きょうだいはきょうだいですからけんかしたり、焼きもちを焼いたりしながら、引き受けあっていくと思います。一人ひとりとの関係性は違っていいのです。あなたが一人ひとりを大事に思うことが、家族の和を作ります。
記事監修
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
構成/Hugkum編集部 イラスト/海谷泰水