目次
「ラーケーション」を知っていますか?
まず聞いてみたのはこちらの質問。どのくらいのママパパたちが「ラーケーション」をご存じなのでしょうか。
アンケートを集計してみると、「はい」が77人(17.1%)、「いいえ」が298人(66.2%)、「聞いたことはあるが詳しく知らない」が75人(16.6%)との結果に。
今回のアンケートで「はじめて聞いた」という親御さんが多いことがわかりました。
ラーケーションとは
「ラーケーション」という言葉をはじめて聞いた方向けに、この制度がどのようなものかをここで振り返っておきましょう。
「ラーケーション」とは、「learning(学ぶ)」と「vacation(休暇)」を掛け合わせた言葉で、家庭での体験活動を支援する制度です。具体的には、児童・生徒が平日に学校を休み、保護者などと一緒に体験活動で学びを深めるというもので、一部の公立学校ではすでに導入が始まっています。
通常は学校を休めば欠席扱いになりなすが、この「ラーケーション」を目的としたお休みは、事前に申請すれば欠席と見なされません。
過去の記事では、この制度の基本的な情報をまとめています。ぜひこちらもご参照ください。
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「ラーケーション」に賛成? 反対? ママパパの考えは
では、育児中のママパパたちはこの「ラーケーション」についてどのようにお考えでしょうか。賛成か、反対か、そしてその理由をお答えいただきました。
この質問では、228人(50.6%)が「賛成」、42人(9.3%)が「反対」、178人(39.5%)が「どちらとも言えない・わからない」と回答してくださいました。
多くの方が賛成する一方で、反対派も少なくないという実情が浮かび上がってきましたね。それぞれの回答の理由をご紹介いたします。
「賛成」と答えた理由
賛成派の回答の理由としては、「家族旅行の機会として活用できること」や、「混雑が避けられる平日に出かけられること」「学校ではできない体験が得られること」「親もいっしょに学べること」などが挙げられました。
土日や祝日のお休みでは、人気スポットは大混雑している場合が多いですよね。たとえ「学び」を目的にお出かけしても、思うように動けないこともあるのではないでしょうか。「ラーケーション」という制度によって、「平日に休んで出かけられる」ありがたみを感じる声が目立ちました。土日や祝日に働き、休日が平日に設定されている親御さんたちにとってもうれしい制度です。
以下には、みなさんのコメントを引用しました。
家族旅行の機会として活用できる
空いている平日に出かけられる
学校にはない体験が得られる
親もいっしょに学べる
「反対」と答えた理由
「反対」と答えた理由としては、「平日に学校を休む必要はないこと」や「家庭によって子どもの体験に格差が生まれてしまうこと」を懸念する声が寄せられました。
平日にフルタイムで働いている親御さんにとっては、仕事を休む必要があり、「ラーケーション」が重荷になる場合もあります。その他、親御さんのお仕事や家庭の状況によってはお子さんを思うように「ラーケーション」に連れて行くことができないことも。ご家庭の環境や状況によって、お子さんの体験に格差が生まれるのではないかと懸念する声も散見されました。
平日に学校を休む必要はない
家庭によって子どもの体験に格差が生まれてしまう
経済面だけでなく、仕事を休めないなどまだまだその前に改善しないといけないことが沢山あると思う。 [大阪府・女性]
「ラーケーション」のここに疑問。ママパパが抱える懸念点や意見
反対派からも意見が挙がったように「ラーケーション」はさまざまな課題を抱えているのも事実。ママパパたちが感じている不安な点や疑問もご紹介していきます。
設問:ラーケーションが実施された場合の疑問点や課題点など、意見があればお聞かせください。
認知度の低さ
懸念点としてまず挙がったのが、「認知度の低さ」でした。学校でそのような制度が導入されたとしても、子どもたちの間で認知されていなかった場合「ずる休み」と勘違いされてしまうのでは、と心配する声が寄せられています。
授業に遅れる
また、学校を休んでも欠席扱いにならない一方で、休んだ分「授業に遅れるのでは?」「補習はしてくれるのか?」といった疑問・不安を抱えるママパパも少なくありませんでした。
なかには、塾のように休んだ授業は動画で見られるようにしてほしい、といった意見もあります。
公平性に欠ける
反対派の意見にもあったように、ご家庭によってはお子さんを「ラーケーション」に連れて行くことが難しい場合もあります。家庭ごとに格差が生まれ、公平性に欠ける可能性も大きな懸念点のひとつです。
きょうだいをどうするか?
また、きょうだいがいる場合は「ラーケーション」に同行させられるか、留守番をさせる必要が生じるのではないか……といった疑問も挙がりました。
特に、同じ小学校に通うごきょうだいならまだしも、「ラーケーション」対象のお子さんと非対象のお子さんのごきょうだいの場合、共に平日にお出かけすると片方が欠席扱いになってしまうのが現状です。
「ラーケーション」と「ただの休み」の判断基準は?
「ラーケーション」のプランの自由さゆえに、「ただの休暇」との違いの基準があやふやだと感じるママパパも少なくありません。「ラーケーション」後にレポートの提出を義務付けるなど、なんらかの対策をとってほしいとの声もありました。
何をすれば良いのかわからない
おなじく、「ラーケーション」の内容が「自由」で各家庭にゆだねられているからこそ、「何をすれば良いのかわからない」と感じる声も寄せられました。
「ラーケーション」では何がしたい? ママパパたちのアイディアをご紹介
ここからは、みなさんから寄せられた「ラーケーション」が導入されたらやってみたいことをご紹介。さまざまなアイディアが集まりました。
設問:もし、お子さんの学校でラーケーション制度がスタートした場合、お子さんといっしょに取り組みたいこと、親子で体験したいことなどがあれば教えてください。
工場見学や職業体験
「ラーケーション」の定番となっていきそうな『工場見学や職業体験』。すでに土日や大型の連休では子連れの人気スポットとなっている場所もありますが、「ラーケーション」が導入されれば、人混みももう少し分散されるかもしれませんね。
美術館・博物館
『美術館・博物館』もまた、定番の「ラーケーション」スポットとなりそうですね。学べることや、得られる知識が明確な点がポイントではないでしょうか。
日本文化や歴史を学べる場所へ
美術館や博物館のようないわゆる“ミュージアム”ではなくても、お寺や神社をはじめ、日本の文化や歴史を感じられる場所は多数あります。家族旅行とも組み合わせやすく、人気のプランとなりそうです。
自然と触れ合える場所・体験
キャンプや農業体験など、自然と触れ合える場所や体験に連れていきたいというママパパも多数。スマホやPC、タブレットに依存しがちなお子さんの「脱デジタル」「デジタルデトックス」を期待する声もありました。
親子で体験
せっかくなので「親子でいっしょに体験したい」という意見も。いっしょに参加すれば、きっと思い出にもなり、大人にとっても学びになります。ぜひ、単なる“付き添い”ではなく大人も積極的に体験したいですね。
土日などの休日中には(混雑などで)行きづらい場所へ
ほか、土日などの休日中には(混雑などで)行きづらい場所に訪れたいといった声も多数寄せられました。せっかくの平日休みだからこそ、土日にはなかなか行きづらい人気スポットも視野に入れたいものです。
実際に使っているという声も!今後の展開と課題の解決に期待
今回は、「ラーケーション」の認知度や、ママパパたちが感じる課題、実際にやりたいことなどのアンケート結果をご紹介してきました。
実例は少ないものの、なかには「実際に始まっていて、使ってる!」といった声も寄せられています。まだまだ始まったばかりでさまざまな課題を抱える制度ですが、「賛成派」の方たちが挙げていたようなメリットや効果も多そうです。今後の展開と課題の解決に期待したいですね。
関連記事では、実際に行われた大学生・社会人向けの「ラーケーション」合宿のプランや、プランを立てるコツを有識者に取材しています。こちらもぜひご参照ください。
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文・構成/羽吹理美