スーパーで売っているものや潮干狩りで採ってきたあさりを、温度の低い冷蔵庫や冷凍庫で保存すると死んでしまうのでは?と思ったことはありませんか。あさりの鮮度を保って長く保存するにはどのようにすればよいのでしょうか。今回は、あさりの上手な冷蔵保存や冷凍保存、さらにはアレンジレシピまでをご紹介します。
あさりの下処理方法
あさりの上手な冷蔵保存で大切なのは、「砂出し」。スーパーで買ってきたあさりは、すでに砂出しが済んでいるものもありますが、潮干狩りで収穫したものは、しっかり砂出しをしてから保存しましょう。スーパーで買ってきたものも、念のため軽く砂出しすることをおすすめします。
砂抜きのやり方
① 濃度3%の塩水を用意します(水1ℓに対して塩30g)。水温は20℃くらいが目安。
② ボウルやバッドなどに、あさりを重ならないように並べ、①の塩水をひたひたになるくらい注ぎます。このとき、あさりの下にざるなどを置いておくと、あさりがはき出した砂を再び吸うのを防ぐこともできます。
③ 上に新聞紙やアルミホイルなどをかぶせて光を遮断し、涼しいところに1時間~数時間おいておきましょう。(スーパーで買ってきた砂抜きが終わっているものは1時間くらい、潮干狩りで獲ってきたあさりは数時間~半日ほどおきましょう)
Point!
このとき、冷蔵庫には入れないでください。温度が下がりすぎると、あさりの動きが止まってしまい、砂を吐かなくなってしまうからです。
冷蔵保存のやり方
下処理が済んだあさりの冷蔵保存方法をご紹介します。
砂出しをしたあさりを塩水につけて保存
砂出し用の水を捨て、改めて、ボウルやタッパーなど、水のこぼれにくい容器に濃度3%の塩水を作ります。そこに、あさりを入れて冷蔵庫へ。
Point!
このとき、しっかりふたはせず、キッチンペーパーなどをかぶせておきましょう。密閉すると、あさりが呼吸できなくなり、酸欠を起こしてしまいます。
または、塩水には浸さず、濡れた新聞紙などであさりをくるんで冷蔵庫へ入れる方法もあります。
Point!
このとき、さらに袋に入れた際は、密封しないようにします。これで、湿度が保たれて、乾燥せずにあさりを保存することができます。
保存期間
冷蔵庫での保存期間は1~2日です。冷蔵保存のあさりは、新鮮なうちにできるだけ早く食べるようにしましょう。
冷蔵庫に入れると死ぬ?死んだあさりは食べてもいい?
あさりは、15度以下になると活動を止めてしまいます。冷蔵庫で冷やされたあさりは、体が冷えて動きが止まってしまっているのです。すなわち「仮死状態」。こうすることによって、あさりは鮮度を保っているわけです。
スーパーで買ってきたり、冷蔵保存していたりして半開きの状態のものは、洗ったり、殻どうしをこすり合わせたりすると、仮死状態から覚めて、慌てて口を閉じます。それはあさりが生きている証拠です。
死んだあさりは食べてはいけない
調理をした際に口が開かなかったものは、残念ながら死んでいることが多いです。死んだあさりは絶対に食べてはいけません。腹痛や下痢、嘔吐などの原因になることがあります。しかし、あさりが死んでいるかどうか見分けるのはなかなか難しいですよね。
死んでいるあさりの見分け方
・匂いのするあさり。新鮮なあさりは基本的には臭いません。
・砂出しをしている際に、水が白く濁っていたら、死んだあさりが混ざっている可能性が。
・砂出しをする際、殻が開きっぱなしのものや、穴が空いているものは取り除きましょう。
臭いのするものや、触ってみても殻の中から身がでろ~んとはみ出したままのものは、必ず取り除きましょう。
冷凍保存のやり方
冷凍してしまってからは砂抜きできないので、下処理はしっかりやっておきます。また、「塩抜き」もしておきましょう。
「砂・塩抜き」まで済ませたあさりの水分をよく拭き取り、冷凍できる保存用の袋などにあさりが重ならないように並べます。
そして、できるだけ空気を抜いて封をしたら、冷凍庫へ。
こちらの記事ではあさりの冷凍方法を2通り(殻付きのまま・むき身)で詳細を紹介しています。
保存期間
殻ごと冷凍した場合は、約1カ月冷凍保存可能。
また、むき身にしてから冷凍保存した場合は、3週間ほど冷凍庫で保存できます。どちらも使いたいときは、必要な分だけ取り出して使うこともでき冷凍保存は便利ですよ。
文/斉藤和美(フードコーディネーター)
あさりを使ったおすすめレシピ
あさりを加えることで、旨みがアップします。あさりをいろいろな料理にアレンジして楽しみましょう!
【1】魚介と冬野菜の中華丼
あさり、えびとしめじからうま味がたっぷり。とろみのついた具がご飯によくからみ、たくさん食べられます!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
えび 8尾
あさりのむき身 130g
小松菜 1/2束
大根 5cm
しめじ 1パック
コーン 大さじ4
かつおだし汁 1と1/2カップ
【A】
しょうゆ 大さじ2
砂糖 大さじ2
【B】
片栗粉 大さじ1
水 大さじ1
ご飯 茶碗3杯
◆作り方
【1】えびは4等分する。小松菜は3cm幅に切り、大根は2cmの角切りにする。しめじは石突きを除いてほぐす。
【2】鍋にだし汁、大根、しめじ、コーンを入れて火にかけ、大根がやわらかくなったら、えびとあさりを加えてひと煮し、【A】で調味する。
【3】小松菜を加え、しんなりしたら混ぜ合わせた【B】を加えてとろみをつける。
【4】器にご飯を盛り、【3】をのせる。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
「ル・コルドン・ブルー」やイタリアにて料理を学び、OLから料理研究家に転身。現在、「料理教室Assiette de KINU」を主宰。男の子のママでもある。
『めばえ』2014年2月号
【2】シーフードパエリア
殻付きのえびやあさりがたっぷりで、素材のおいしさがたっぷり染み出たごちそうパエリア。簡単なのに豪華な見た目で、パーティーやおもてなし料理にもぴったり。
◆材料
(浅鍋24 ~25cm分)
米 2合
【A】
水 2と1/4カップ
サフラン ひとつまみ
塩 小さじ1~1と1/2
えび(殻付き) 6~8尾
あさり(殻付き・砂出ししたもの) 200g
玉ねぎ 1/4個(50g)
にんにく 1/2かけ
ミニトマト 8個
ピーマン・パプリカ 各1/4個
マッシュルーム(缶詰) 6個
オリーブ油 大さじ2
◆作り方
【1】米はサッと水で洗い、ザルにとる。
【2】【A】を合わせる。
【3】玉ねぎとにんにくはみじん切り、ミニトマトは4等分に切る。ピーマンとパプリカは5mm厚さの輪切りにし、マッシュルームは薄切りにする。
【4】あさりは水の中でこすり洗いし、水けを拭く。
【5】鍋にオリーブ油、にんにく、玉ねぎを入れて中火にかけ、にんにくの香りが立ったら弱火にして3~4分炒める。【1】を加えて3~4分炒め、米が透き通ってきたら【2】を回し入れて中火にする。煮立ったら【4】、えび、ミニトマト、マッシュルームを並べ入れ、ふたをして弱火で13~14分炊き、強火にして1分加熱して火を止める。
【6】【5】にピーマンとパプリカを加えてふたをし、10~12分蒸らす。
教えてくれたのは
青木恭子さん
2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は、雑誌やWEBなどで活躍中。小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。
『めばえ』2014年12月号
【3】あさりと豚肉のスープ
あさりと相性のいい豚肉を合わせてボリューム満点のスープに。あさりの旨みが汁に溶け込んで、お肉もさらにおいしく!
◆材料
(3~4人分)
あさり(殻付きを砂ぬきする) 400g
豚こま切れ肉 100g
しょうが(千切り) 1/2片
長ネギ(白い部分) 7cm
塩 小さじ2/3
薄口しょう油 小さじ1
白いりごま 大さじ1
大葉(千切り) 5枚
水 800ml
酒 大さじ1
サラダ油 小さじ1
◆作り方
【1】豚こま切れ肉は食べやすい大きさに切る。長ネギは長さを半分に切り、さらに縦半分に切り、芯の緑色の部分を外す。白い部分は白髪ネギに、芯はみじん切りにする。
【2】鍋にサラダ油をひき、みじん切りにした長ネギ、しょうがを加えて中火で炒める。香りが出たら豚こま切れ肉を加えてさらに炒める。
【3】肉の色が変わってきたら水、酒を加え、沸騰したら弱火にしてアクを取り、あさりを加える。あさりの口が開いたら塩、薄口しょう油で味付けし、最後に白ごまを加える。器に盛り付けて、大葉、白髪ネギをのせる。
◆ポイント
ご飯にかけても絶品!
教えてくれたのは
瀬戸口しおりさん
料理家。学生時代、東京・吉祥寺にあった『諸国空想料理店KuuKuu』のスタッフとして働き始め、その後、料理家・高山なおみ氏のアシスタントを経て独立。昔ながらの家庭料理や人気のエスニック料理をよりおいしく、おしゃれにレベルアップさせる独自のセンスに定評がある。
『めばえ』2017年9月号
【4】豆乳チャウダー
牛乳を豆乳に替え、旬の白菜をたっぷり使って。ほんのり甘みのある優しいスープ。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
ベーコン 1枚
あさり(むき身) 50g
白菜 1枚
じゃがいも 大1/2個
サラダ油 大さじ1
小麦粉 大さじ2
水 1カップ
塩 小さじ1/2~
こしょう 少々
豆乳 1カップ
◆作り方
【1】ベーコンは1cm幅に切り、あさりはサッと洗う。
【2】白菜は2.5cm角に切る。じゃがいもは1.5cm角に切り、水にさらして、水けをきる。
【3】鍋にサラダ油を中火で熱し、じゃがいもを2分炒め、小麦粉をふり入れて弱火にし、焦がさないように2分炒める。
【4】【3】に水を加えて中火で煮立て、【1】、白菜、塩、こしょうを加えて弱火で4分煮る。豆乳を加えて沸騰させないように温める。
*沸騰すると分離しますが、味は変わりません。お好みで、ミニトマトの角切りを散らしても。
教えてくれたのは
青木恭子さん
小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は、雑誌やWEBなどで活躍。
『ベビーブック』2014年3月号
【5】レモンチャウダー鍋
市販のホワイトシチューで簡単に作るあったかチャウダー。レモンの酸味をきかせれば、いくらでも食べられます。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
あさり(むき身) 120g
じゃがいも 3個
玉ねぎ(小) 1個
にんじん 1/3本
エリンギ 3本
オリーブ油 大さじ1と1/2
【A】
水 800cc
鶏ガラスープの素 大さじ1
ホワイトシチュー(市販) 1缶(300g)
【B】
レモンの薄切り 3枚
塩 少々
◆作り方
【1】【B】を合わせておく(レモン塩)。
【2】じゃがいもは1cm幅の半月切りにし、水に5分さらして水けをきる。玉ねぎとにんじんは角切りにする。エリンギは縦半分に切って、2cm長さに切る。
【3】鍋にオリーブ油を熱して玉ねぎをざっと炒め、にんじん、じゃがいも、【A】を加えて野菜がやわらかくなるまで中弱火で15分煮る。ホワイトシチューと【1】、エリンギを加えて10分煮、あさりを加えて火が通ったら止める。
◆ポイント
即席のレモン塩を加えると、あさりの臭みがスッキリ!我が家流の味つけになります。
子供用の主食は、パンを添えるのが◎。
教えてくれたのは
井澤由美子さん
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理が人気。食育にも力を注いでいる。一女の母。
『めばえ』2016年2月号
【6】シーフードピラフ
フライパンで具材を炒め、そのまま炊飯器を使わずフライパンでお米が炊ける。時間だけきちんと計れば失敗しらずの簡単定番メニューに。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
むきえび 10尾
むきあさり 16個
赤・黄パプリカ 各1/4個
玉ねぎ 1/2個
米 1と1/2カップ
【A】
水 1と1/2カップ
顆粒スープの素 小さじ1/2
塩・こしょう 各少々
サラダ油 大さじ1/2
◆作り方
【1】パプリカは種を除いて細切りにし、玉ねぎはみじん切りにする。
【2】フライパンにサラダ油を熱して玉ねぎを炒め、しんなりしてきたら米を加えて炒める。
【3】【2】に【A】を加え、えび、あさり、パプリカをのせ、塩、こしょうをふる。沸騰したらふたをし、強火で4分、弱火で7分加熱し、10分蒸らす。
*好みでパセリのみじん切りをふっても。
◆ポイント
米は洗わずに、そのまま加えて炒めます。米が透き通ってきたら、スープ(水とスープの素)を加えて混ぜます。
具をトッピングし、スープが煮立ってきたら、ふたをします。その後は、蒸らすまで、ふたを取らずに仕上げます。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
「ル・コルドン・ブルー」やイタリアにて料理を学び、OLから料理研究家に転身。現在、「料理教室 Assiette de KINU」を 主 宰。男の子のママでもある。
『ベビーブック』2011年2月号
文・構成/HugKum編集部