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食べるものの大切さを伝えたい!管理栄養士の資格取得を目指して大学生に
この日は、みきママさんのご自宅での取材。平日の午前11時に伺いましたが、まだ高校生の次男は寝ていると明かし「学校を遅刻してまだ家にいるので、もうブチギレ寸前。でもこの間出演したテレビ番組『日曜日の初耳学』で、森岡毅先生に「親は遅刻しても何も言わず黙って見届けてください」って言われたのをきっかけに怒らないようにしてるんです。でもこっちは朝からお弁当も作ってるし…」と、早速ママの顔をのぞかせます。
そんなみきママさんですが、現在は主婦、母親、おうち料理研究家として活躍するだけでなく、なんと!管理栄養士の国家資格を取るために大学に通う大学生でもあります。
――管理栄養士の国家資格を取ろうと思ったきっかけを教えてください。
みきママさん(以下みきママ) 「食べたものでその日の体調って変わってきませんか?
それくらい食べ物は本当に大事です。体って食べたものでできているから、子どもの頭をよくさせるのも、かっこよくさせるのも、足を速くさせるのも、お母さんお父さんが作ったものだと思うんです。
じゃあ最低限、何を作ればいいのか。まずは炭水化物、タンパク質、ビタミンとミネラル、これらが合わさることで、栄養素が体のなかで燃えていく、だからどれも欠けちゃダメと言われていて。
体を鍛えてる人ってよくタンパク質だけ食べてるじゃないですか。でも、それでは体は動いていない。炭水化物のご飯があって、タンパク質のお肉があって、体の中を回って熱産生できるんだそうです。そして、それを子どもにとってバランスよく食べさせられるのって親しかできないんです。
それをみなさんに伝えたいって思っても、管理栄養士の資格がないと断定して話すことができないんですね。それで管理栄養士の資格取得を目指すことにしたんです」
――仕事の幅が広がりそうですが、これからやりたいことはありますか?
みきママ 「まずはInstagramなどで、皆さんに「こうした方がいいよ」など食生活を提案したいです。今までは、うちの家庭はこれを食べてるよ、という紹介の仕方しかできなかったので。
実際に長男に関しては、中1から高校3年生まで塾弁も含めて毎日お弁当を作ってきて、頭がよくなる栄養素を3つ必ず入れていたんです。
長男は「東大に受かったのは俺の頑張りだ」っていうんですけど(笑)、お弁当も支えにはなっていたと思うんです。なんでかっていうと、ご飯を作ると、子どもって一番ここぞ!ってときに親の顔が浮かぶと思うんです。「いつもやってくれたから、お母さんのために頑張るか!」みたいな。
そんなメッセージにもなると思って作り続けたご飯やお弁当ですが、結果的に頭がよくなったから、もしかして効いたんじゃないかな?って思って」
その想いを込めて出版されたのが前作の『みきママの東大合格弁当』。今回出版された『みきママ やり抜きごはん』は、さらに一歩踏み込んだ、子どもたちが人生にへこたれず、生き抜く力が身につく、元気が出るご飯のレシピを掲載。
栄養別レシピのほか、「いよいよテスト前日」「塾で夜が遅くなる日」などのシチュエーション、「肌荒れが気になる子」「食が細くてやせている子」などのお悩み別と、子どもの支えになるようなレシピが紹介されています。
子どもへは“置きお菓子”をやめて“置きおにぎり”にしてみてほしい
今回の本は、主食のご飯に2つのおかずを組み合わせるだけで5大栄養素をとれるように考えられた内容。するとみきママさんから、本に掲載されている料理以外のアイデアが。
みきママ 「皆さんお仕事されている方がほとんどだと思いますが、子どもにしている“置きお菓子”をやめて“置きおにぎり”にしてみてほしいんです。
しらすとか前日に残ったお肉のおかずをごはんと握れば、これだけで大切な炭水化物、たんぱく質、ビタミンがとれるんです。それ以外もたらこおにぎり、玉子焼きなど好きな方法で調理した卵おにぎり、あとは鶏肉おにぎりも栄養バランスがよくおすすめ。
おにぎりを置いておくだけで、お腹にたまるからお腹が空かなくなって精神も落ち着きます。これを食べていれば、最悪、夜ご飯を食べなくても大丈夫。それにおにぎりを握っておいておく、これもお母さんからの温かいメッセージになります。食が細い子は、小さなおにぎりでも充分です。
頭がよくなる3つの栄養素を取り入れよう
――先ほどおっしゃっていた頭がよくなる栄養素が気になります
みきママ 「基本的にはさっき話した、炭水化物、たんぱく質、ビタミンがそろっていればいいとされています。すると体は回転していくから。
さらに、頭が賢くなるとされる要素は3つあって、これは私が自身で勉強したうえで、信じてやっているものです。
1つ目は頭の回転を良くすると言われる「カルシウム」。これはシラスやチーズに入っている栄養素。取り入れるのはそんな難しくないですよね。私も冷蔵庫にいつも入れています。魚なら鯖などなるべく青魚を。面倒ならスーパーの人にさばいてもらって、照り焼きにしてもいいです。
2つ目は記憶力がアップする食材とされる「レシチン」。卵と大豆に入っていて、もちろん納豆でもいいので、大人でも物忘れが気になったら食べるといいと思います。あとはヨーグルトにきなこを入れても。私も次男のお弁当にしつこいくらい、ヨーグルトにきなこをかけて入れています。きなこがヨーグルトの汁気を吸って汁漏れしなくなるのでおすすめです。
最後は集中力が高まると言われている「ビタミンC」。フルーツに含まれるのでみかんでいいんです。毎日食べることが大事で、そうすると精神が落ち着くとされています。子どもがイライラして帰ってきたら、しずかーにフルーツを出してあげましょう(笑)。
栄養素の話は子どもにもするべき!
――これらの栄養素の話はお子さんにもするんですか?
みきママ「めっちゃします。言わないと伝わらないし、口に合わないものはお弁当を残してくるんです。でもしつこく伝えるうちに子どもにも伝わって、今では帰ってきて「ヨーグルト作ってもらっていい? ちょっとイライラしてるから」って言うようになりました(笑)」
ほかにも、食生活についてこんなアドレスをすることも。
みきママ「コンビニに行ったら、
子どもの顔を見たら調子がすぐにわかるから、「ニキビだらけになってるよ、ラーメン食べすぎじゃない?」って言うことも。子どもにもかっこよくいたいって気持ちがあるから、ニキビが出ているときは特に、普段以上にご飯をちゃんと食べてくれますね」
子ども自身も栄養素を知ることで、「これを食べているから大丈夫」と自信にもなるよう。イライラしているときは”カルシウムを食べると落ち着ける”など自分で解決方法を知っているのも、生きる上で強みになるだろうなぁと感じます。
子どもはご飯のときによくしゃべる!だからご飯は絶対に作ります
この夏には長男と一緒にキッチンカーの出店に挑戦するなど、みきママ家は親子の仲睦まじい関係性も話題です。
――仲良くいられる秘訣はありますか?
みきママ「仲が良いって言われますけど、その分喧嘩も激しいんですよ。私も負けたくなくて全力で行くからお互いに全力。 もし蹴られたら蹴り返しますし。自分も高校生の時って荒れてませんでした? モノとか親に当たったりするじゃないですか。やっぱり反抗期もありますしね」
――ご飯は皆さんで食べますか?
みきママ「子どもが一番よくしゃべるのっておいしいごはんを食卓で食べているときですよね。だからご飯は絶対に作ります。そこしかしゃべらない、集まらないってわかってるから」
すぐに作れるよう食材は冷凍庫にストック!&肉調理は片栗粉を味方に
――それでも慌ただしい毎日で大変じゃないですか?
みきママ「そうなんです。だから私考えたんですよ。そもそも買い物に行く時間もない。だから一週間分の肉と魚をまとめて買って冷凍庫にがん!って入れるんです。鶏肉も豚肉も本棚みたいに並べて冷凍保存。そうしておくと、長男からの「腹減った、5分後できない?」とか無茶な要望にも応えられるんです」
――お肉は冷凍するより、買ってきてその日に食べる方がおいしいイメージがありますが…
みきママ「そう思うじゃない? でも、それってお肉そのまま焼いてませんか? 冷凍肉は片栗粉をまぶしてから加熱してください。解凍したお肉に片栗粉をまぶしてから焼くと、柔らかく仕上がって、肉汁も閉じ込めてくれます。解凍する時間がなければ、凍ったままで片栗粉をまぶして、加熱してもいいですよ」
時間がなくてもできるワンパンレシピもおすすめ
みきママ「調理時間が短縮できるワンパンレシピもおすすめです。さっき次男のお弁当用にワンパンで和風ハンバーグを作ったんですが、使ったのは安く買える鶏ひき肉。
フライパンに鶏ひき肉を入れたら、玉ねぎの代わりにもやしをそのまま入れて、混ぜながらぽきぽき細かく折ります、玉ねぎのように刻まなくていいからラクなんです。
あとは普通通りパン粉と卵を入れたら捏ねて、丸めて焼いて、タレをからめるだけ。次男は小食で、お弁当よりおにぎりのほうが食べやすいというので、これをおにぎりの具にして、ご飯と一緒に握ってお昼ご飯に持たせています」
取材中も立って調理を続けるほど明るくパワフル!
こちらの質問に丁寧に答えてくれるだけでなく、取材スタッフにも気を配り、普段の食事や子育ての悩みを聞いて前向きな言葉をかけてくれたみきママさん。体調を気遣って「疲れたときはレバーを食べるといいよ」とアドバイスをくれる場面もあり、豊富な知識量はもちろんですが、フランクで明るいふるまいも魅力的でした。
さらに一番驚いたのは取材中一切座らないこと。「120歳まで元気に生きるのが目標。座ると寿命が縮まるから」と立ったまま作業を続け、疲れた様子もなくとってもパワフル。写真を撮られながら、話をしながらも手元で生クリームを泡立て、作っておいてくれたというアップルパイと一緒に出してくれました。
この日の様子を見ているだけでも、日ごろからこんな風に明るく子どもたちを照らし、常にキッチンに立って手を動かしておいしいご飯を作っているんだなぁと想像がつきます。ただ料理が上手で栄養素に詳しいだけじゃない、みきママさんの人柄に触れたインタビューとなりました。
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タイトル:みきママ やり抜きごはん
著者:みきママ
定価:1760円(税込)
発売日:2024年11月13日(水)
判型、ページ数:B5判、112ページ
出版社:主婦の友社
取材・文/長南真理恵 撮影/田中麻衣