保護者が不安なことは? 藤川先生を囲んで座談会を開催
青少年のインターネット利用やいじめ防止対策等についても実践的な取り組みに関わっている千葉大学教育学部の藤川大祐教授。小学生のお子さんを持つ保護者3名と、SNSやスマホにまつわるお悩みをテーマに座談会を開催しました。
SNSの怖さをどう伝える?
ふじいさん(小3の女の子のママ )のお悩み
夫も私もIT系の仕事をしているので、SNSの怖さは理解しているつもりです。でも、子どもにどう伝えたらいいのか…実は難しくて。「ダメ!」と言うだけでは納得しないし、具体的にどんなリスクがあるのか、親の私も明確に説明できていません。
今のところ、娘は私のスマホを借りてLINEをしています。主に友だちと遊ぶ時間のやりとりが中心ですが、そのうち「自分のスマホが欲しい」と言いだすかもしれません。そうなったときに、どのタイミングで持たせるべきか悩みます。
SNSいじめは、たったひとつの「いいね」がきっかけに…?
編集部:実際に、親はどのようにSNSのリスクを伝えればいいでしょうか?
藤川先生:小学3年生なら、まだそこまで慌てなくてもいいと思います。学校でもSNSやインターネットのリスクについて指導が行われているはずなので、まずは「どのタイミングで、どのような指導が行われるのか」を先生に確認し、保護者会などで情報を共有するのもひとつの方法ですね。それによって他の保護者とも連携を取りやすくなります。
編集部:SNSのリスクはどんなものがありますか?
藤川先生:大きく3つあります。
①長時間利用による依存や生活リズムの乱れ

夜遅くまで画面を見続けると夜更かしの習慣がついてしまいます。その結果、睡眠不足や生活リズムの乱れが生じ、学力の低下や健康への悪影響が懸念されます。小学校3年生くらいからは、ゲームや動画視聴の時間が増えてくる時期なので、勉強や睡眠時間を削らないように、時間を決めて使うよう意識させるのが大切です。
②犯罪被害に巻き込まれる

小学生のうちは比較的少ないものの、年齢が上がるにつれてSNSを通じた犯罪被害のリスクが高まります。性犯罪への巻き込まれや、闇バイトへの勧誘、悪質な詐欺などの危険性が指摘されています。知らないうちに加害者や被害者になってしまうケースもあり、慎重な対応が求められます。
③気楽なやり取りから、いじめ・トラブルへ発展する可能性も

藤川先生:LINEなどを介した人間関係のもつれによるトラブルが頻発しています。
小学生のうちは、些細なやり取りがきっかけで友人関係に亀裂が入ることもあり、「いじめ・トラブル」には注意が必要です。高学年になると、ネットいじめの割合が増加し、中学生ではいじめ全体の10数%がネットを介したものになるほど、深刻な問題となっています。
LINEグループ内で誰かの悪口が書かれたとき、何気なく「いいね」を押してしまったとしましょう。それだけで「この子も悪口に賛成した」と見なされ、トラブルに巻き込まれてしまうこともあるんです。
ふじいさん:えっ、それだけで?!
藤川先生:はい。スクリーンショットが拡散され、「この子も言ってた!」と広がってしまう。SNSは文字だけのやりとりが中心なので、ちょっとした発言が誤解を生んだり、感情が伝わりづらくなったりするのもリスクのひとつですね。
ふじいさん:うわぁ…それは怖いですね。うちの子も、知らないうちに巻き込まれそう。でも、文字だけのSNSが誤解を生みやすいのは、大人同士でもあり得ることですね。
藤川先生:そうですね。ですから、SNSを使わせるときは、「一度考えてから発言する」習慣をつけるのが大切です。もしトラブルになったときは、直接会って話す、電話で話す選択肢もあると子どもに伝えるのも重要です。文字だけでは誤解が生じやすいので、適切な方法でやり取りをする習慣をつけるといいですね。
禁止よりも「もしトラブルが起きたらどうする?」を話し合う
ふじいさん:なるほど…。この3つのリスクを避けたいなら、SNSは小学生にはやらせないほうがいいんでしょうか?
藤川先生:完全に禁止するよりも「もしトラブルが起きたらどうする?」を一緒に考えることが大事です。
こんな質問を投げかけてみてください。
「もし友達が悪口を言っていたら、どうする?」
「もし自分が嫌なことを言われたら、どうする?」
「知らない人からフォローされたら、どうする?」
ふじいさん:具体的に考えさせるんですね。
藤川先生:子どもに考えさせると、リスクを自分事として理解しやすくなります。中学生の8~9割はすでにスマホを持っているので、「中学生になってから」と考える家庭もあれば、「小学生のうちにルールを決めて使わせておくほうが安全」と考える家庭もあるでしょう。どちらが正解かではなく、子どもの性格や生活スタイル、家庭の考え方によって最適解を見つけていくことが大切です。
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プロフィール

取材・文/黒澤真紀