衝撃!読書感想文は、本選びで8割決まる!【本好きキッズの本棚、見せて見せて!夏休みSpecial】

本が大好きな子なら、まだハードルは下がるけど、ふだんから本を読まない子に、どうやって本を読ませ、しかも感想文を書かせるのぉ~!!?

今回の連載は、夏休み特別編。

読書感想文の「本の選び方」と「感想文の書き方」とを、2回分けてお伝えします。ノンフィクションライターで、自身もJPIC読書アドバイザーの須藤みかさんが、本選びのプロと、宿題をこなした(こなさせた)親子とに取材してきました!

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夏休みも目前。となると、気になるのは子どもの宿題。そのなかでも、子どもたちが苦手とするのが読書感想文だ。本が嫌いな子だけでなく、本が好きな子でも苦手な子は少なくない。私も遠い過去を思い出してみると、本は好きだったが楽しく感想文を書いたという思い出はない。

「読書感想文を書かせるから、本嫌いになる」という図書館関係者の声を聞いたこともある。本好きになってほしいと願っているのに、感想文で本嫌いになるなんて! だったら、書くのをやめる? でも、そうもいかないのが宿題だ。

嫌いにならずに、取り組む方法はないのか?

本選びがうまくいけば、感想文は8割書けたも同じ

学校図書館司書の経験があり、「ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜」を運営する“ほんとも”さんに、話を聞いてみた。ほんともさんは、地元の地方自治体で子ども読書活動推進計画委員も務め、子どもの読書活動や司書についても発言を続けている。

「読書感想文が書けるかどうかは、本選びで8割が決まると言っていいでしょう。その子の読書力にあった本を選んでください」(ほんともさん)

読書感想文が上手に書ける本選びのポイント

その1 「○●年生用」はあくまで目安と考える

「児童書には、高学年向けとか推奨学年が書かれていることが多いですが、気にする必要はありません。高学年だから、字の多い本でなければと思う必要もありませんし、中学年の子が高学年向けの本にチャレンジしてもかまいません」(ほんともさん)

その2 大人の勝手な物さしで決めつけない

「よく『そんな難しい本、読めないでしょう』とか『6年生だから絵本はもうやめなさい』という大人がいますが、そういった声がけこそ子どもの読書意欲をそいでしまいます。

大事なのは、子どもたちの読みたい!という意欲を尊重しながら本を選ぶのを見守ること。助けが必要な時にそっと手を差し伸べてアドバイスをしてあげることです」(ほんともさん)

この連載で紹介してきた、本好きキッズたちはどんな本を選んだのだろう。

その3 子どもの好きなジャンルの本から選ぶ

連載第1回目登場の“サッカー大好きヤマト君”は、2年生では大好きだったサッカーがテーマの絵本『ボールのまじゅつしウィリー』を選んだ。ちなみに3年生では科学絵本の『シロナガスクジラよりおおきいものっているの?』、4年生では『ルドルフとイッパイアッテナ』


『ボールのまじゅつしウィリー』作/アンソニー・ブラウン 訳/久山 太市 評論社


『シロナガスクジラより大きいものっているの?』作/ロバート・E・ウェルズ 訳/せなあいこ 評論社


『ルドルフとイッパイアッテナ』作/斉藤洋 絵//杉浦範茂 講談社

その4 課題図書から選ぶ

先のヤマト君は、

「4年生までの学校は読書感想文は必須ではなかったので自由に選んで楽しそうに書いていましたが、5年生で転校して感想文が必須になり、課題図書から選びました。『ぼくたちのリアル』(2018年度)です。知らない世界のことなのでおもしろがって読んではいましたが、書く段階でテンションは下がってしまったように思いました」と、お母さんのカズヨさん。


『ぼくたちのリアル』著/戸森しるこ 絵/佐藤 真紀子、講談社

その5 表紙がかわいい、でもかまわない

連載第7回目登場の“読み聞かせはオーディオブックのノブコちゃん”は現在2年生。昨年初めて読書感想文に挑戦した。課題図書のなかから、表紙を見て「かわいい」と思った『がっこうだってどきどきしてる?』を選んだそう。


『がっこうだってどきどきしてる』文/アダム・レックス 絵/クリスチャン・ロビンソン 訳/なかがわちひろ WAVE出版

毎年、発表される課題図書。そこから「書いてみたい」と思える本が見つかればいいけれど、そうでない場合はどうしたら?

その6 いっそ、ノンフィクションから選ぶ

「どんな本を選んでいいか分からないという子は多いかも知れません。そういう時に私がおすすめしたいのは、ノンフィクションです。

物語は良い物語であればあるほど多面的です。

たとえば、『モモ』『はてしない物語』などは読みつがれている物語ですが、何がおもしろかったのかを子どもたちが言語化するのは難しい。それは大人であっても同じではありませんか?」(ほんともさん)

その7 フィクションなら起承転結がはっきりした本が、手っ取り早い

「どうしても物語で書きたい場合は、キャラクターや、ストーリーの起承転結がはっきりしている本を選ぶといいですね」(ほんともさん)

その8 絵本なら、紹介雑誌をチェック&チェック

「絵本から選ぶなら、季刊誌の『この本読んで!』には、毎号、「新刊絵本100冊」を紹介するコーナーがあるので参考になります」(ほんともさん)


『この本読んで!』出版文化産業振興財団

確かに。感動した本を人に紹介しようと思った時、あらすじは説明できても、心を動かされた部分を的確に伝えることは大人だって容易いことではない。

ほんともさんの言う『この本読んで!』の新刊コーナーは、カラーページ で表紙と簡単な紹介文が書かれているので、とてもおすすめ! 子どもも興味を持ちやすいから、親子で話しながら候補を探してみるのもいいだろう。

「ノンフィクションであれば、その人物がどう思って行動したかもはっきりしているので理解しやすいですし、子どもたちも自分と比較しやすいでしょう」(ほんともさん)

その9 「科学もの」も興味をひきやすい

「科学読み物もいいと思いますよ。福音館書店の『たくさんのふしぎ』シリーズなどは、いろんなテーマを扱っているので、気になるものが見つかるかも知れません」(ほんともさん)

「たくさんのふしぎ」シリーズは、多くの公共図書館でそろえている。『南米アマゾン 土を食う動物たち』『家をかざる』『クジラの家族』『ブラックホールってなんだろう』など、扱うテーマは自然、文化、歴史など幅広い。

私はずっと、読書感想文イコール物語と思っていたが、勝手な思い込みだったかも知れない。課題図書も物語が中心ではあるものの、科学読み物やノンフィクションが必ず入っている。

科学物ながら、今夏の課題図書!ろうそくの消えるとき、シャボン玉が割れるとき…など、肉眼で捉えられない瞬間を撮影した写真絵本。 決定的瞬間が起こる理由も解説されているので、自然科学系の興味も育つ。

そうだったのか!しゅんかん図鑑』(小学館)

「科学読み物もいい」と聞いたら、第6回目登場の“図鑑好きユウイチ君”だ。特に魚が好きなユウイチ君は、どんな本を選んでいたのだろう?

「ユウイチの学校では、読書感想文を書くのは3年生からでした。彼は物語を一切読まない図鑑派なので、科学ものにするしかないと思っていました。一緒に図書館へ行って、3年生の時は「たくさんのふしぎ」シリーズから『カジカおじさんの川語り』を選びました」と、お母さんのサエさん。


『カジカおじさんの川語り』文・写真/稗田一俊 福音館書店

おぉ。ユウイチ君も「たくさんのふしぎ」から選んでいた!

「4年生の時は、写真絵本の『ぼくの先生は東京湾』です。4年生までは一緒に図書館に行きましたが、5年生からは自主性に任せ、困ったら図書館の人に聞いてごらんと伝えました。5年生で選んできたのは、『江戸のくらしから学ぶ もったいない』。6年では、課題図書でちょうど興味のある本があって、『クニマスは生きていた!』を選んでいました」(サエさん)


『ぼくの先生は東京湾』写真・文/中村征夫 フレーベル館


『江戸のくらしから学ぶ もったいない』文/秋山浩子 絵/伊藤まさあき 汐文社


『クニマスは生きていた!』著/池田まき子 汐文社

その10 奥の手は「図書館の人」に聞く 

「図書館の人に聞いてごらん」は、ほんともさんも勧める。

「ただし、『読書感想文にはどんな本がいいですか』という質問はNGです。

その子の興味のあること、好きなこと、今まで読んできて面白かった本などを具体的に伝えて、『どんな本がいいですか?』と聞けば、公共図書館の司書は相談に乗ってくれると思いますよ」

そう言えば、公共図書館で働く司書の知人が言っていた。「私たちはいつでも、子どもたちが本のことを尋ねてくれるのを待っています」と。

*   *   *

<まとめ>

・読書感想文は、物語にこだわらなくていい。
絵本も科学読み物も、ノンフィクションもOK。
・困った時には、図書館の人に聞く。


そして最も大切なことは、子どもたちの読みたい!という意欲を尊重し、その子の好きな分野の本を選ぶこと。

ユウイチ君は5年生の時に書いた感想文で区の賞をとったそうだ。

後編<書き方>編に、つづく。

取材・文/須藤みか
ノンフィクションライター。長く暮らした中国上海から大阪に拠点を移し、ライターとして活動中。現在は、「子どもと本」「学童保育」など子どもの育みをテーマにしたものや、「大阪」「在日中国人」「がん患者の就労」について取材中。東洋経済オンラインなどに執筆している。著書に『上海ジャパニーズ』(講談社+α文庫)他。2009年、『エンブリオロジスト 受精卵を育む人たち』で第16回小学館ノンフィクション大賞受賞。地元の図書館や小学校で読み聞かせやブックトークも行っている。JPIC読書アドバイザー。小学生男子の母。

※学年は取材時のものです。

 

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