【0-2歳児】乳児期の子育て支援制度には何がある? もらえるお金一覧をパパFPがわかりやすく解説

子育て支援

赤ちゃんが生まれると、育児の喜びとともに「育児休業中の生活費は大丈夫?」「保育園に入れるまでの間の収入はどうしよう?」といった経済的な不安も生まれるものです。0-2歳の乳児期には、手厚い子育て支援制度が数多く用意されています。2025年には「出生後休業支援給付」や「育児時短就業給付」といった新制度もスタートしました。

今回は、0-2歳児の保護者が活用できる全支援制度を働き方別・世帯別に詳しく解説します。育児休業中の方や時短勤務を検討中の方も、ぜひ参考にしてください。

育児休業中にもらえる給付金

赤ちゃんが生まれたら、まず検討したいのが育児休業の取得です。2025年からは新制度により、これまで以上に手厚い給付を受けられるようになりました。

育児休業給付金|最長2歳まで

雇用保険から支給される育児休業期間中の給付金です。原則1歳までですが、保育園に入れない場合などは最長2歳まで延長できます。

対象者雇用保険被保険者で育休取得者
支給額育休開始〜180日:給与の67%(上限 約32.4万円/月)
181日以降:給与の50%(上限 約24.1万円/月)
支給期間原則1歳まで(最長2歳まで延長可能)
申請方法勤務先を通じてハローワークに申請
育児休業給付金の概要

月給30万円の場合、最初の180日間(約6か月)は月約20万円、それ以降は月約15万円の給付を受けることが可能です。ただし賃金日額には上限があるため、一定以上の高収入の場合は上限額で計算されます。

育児休業中は社会保険料も免除されるため、実質的な手取り額はさらに優遇される仕組みです。

参考:厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続

出生時育児休業給付金|産後パパ育休で男性も安心

出生時育児休業給付金とは、出生後8週間以内に取得できる「産後パパ育休」に対して支給される給付金です。育休を2回まで分割して取得でき、休業中は給与の67%が支給されます。

対象者雇用保険の被保険者
支給額休業開始時賃金日額の67%
支給期間出生後8週間以内で最大28日間
申請方法勤務先を通じてハローワークに申請
出生時育児休業給付金の概要

月給30万円の場合、1日あたりの賃金日額は1万円です。この金額を基に計算すると、出生時育児休業を28日間取得した場合には、1万円×28日×67%=約18万8千円が支給されます。

出生時育児休業給付金は、通常の育児休業給付金とは別枠で運用されており、出生後8週間以内に限り最大2回まで分割して取得することが可能です。

さらに、休業期間中であっても一定の範囲内であれば就業が認められており、28日間の休業を取った場合には10日以内、あるいは80時間以内であれば働けます。

このように柔軟に取得できる仕組みにより、父親をはじめとする働く人が家庭の状況に応じて育児参加をしやすい環境になりました。

参考:厚生労働省「出生時育児休業給付金

出生後休業支援給付金|2025年新設! 育休が手取り10割相当に

出生後休業支援給付金は、2025年4月にスタートした新制度です。

両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合、既存の給付(67%)に13%が上乗せされ、合計で80%の給付率となります。社会保険料の免除や非課税の効果を考慮すると、手取りは現役時の収入にほぼ匹敵する「実質10割相当」になる計算です。

対象者両親がともに14日以上育休を取得した場合
(配偶者が専業主婦(夫)、自営業、産後休業中などの場合は本人のみでも可)
支給額既存の育児休業給付(67%)に13%上乗せで合計80%
支給期間最大28日間
申請方法既存の育休給付申請と合わせて実施
出生後休業支援給付金の概要

この制度は「共働き・共育て」を強力に後押しするものです。両親が育休を分担して取得することで、家計への影響を最小限に抑えながら、男女ともに安心して育児に参加できる環境を整えてくれます。

参考:厚生労働省「出生後休業支援給付金

育児休業中の子育て支援制度

育休ママ仕事

育児休業中は、赤ちゃんとゆっくり時間を過ごせる大切な期間です。反面、収入面での不安を感じるパパ・ママも多いのではないでしょうか? ここでは、児童手当の変更点や新制度をご紹介します。

児童手当|2024年大幅拡充で18歳まで支給延長

児童手当は子育て世帯の最も身近な支援制度ですが、2024年10月から内容が大きく変わりました。

対象者0歳〜18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童を養育している方
支給額3歳未満:月額15,000円3歳以上〜
高校生年代:月額10,000円
第3子以降:0歳〜高校生年代まで月額30,000円
所得制限2024年10月に撤廃
児童手当の概要

今回の改正で最も大きいのは支給期間の延長です。これまで中学卒業まで(15歳まで)だった支給が、高校生年代(18歳)までに拡充されました。つまり3年間分の支給期間が追加されたことになります。

教育費が最もかかる高校生の時期に手厚い支援が受けられるのは、子育て世帯にとって大きな安心材料ですね。2024年には所得制限も撤廃され、収入に関係なくすべての子育て世帯が児童手当の対象となりました。

参考:こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当

育児時短就業給付|2025年新設の時短勤務サポート

育児時短就業給付金は、2025年に新設された時短勤務による収入減を補う制度です。

対象者2歳未満の子を養育するために
時短勤務する雇用保険の被保険者
支給額時短勤務中の賃金額の10%相当
(賃金水準や上限・下限に応じて調整あり)
支給期間時短勤務開始月から
子が2歳に達する日の前日を含む月まで
申請方法勤務先を通じて2か月ごとにハローワークに申請
育児時短就業給付の概要

たとえば月給20万円で時短勤務をした場合、おおむね2万円が給付され、実質的に22万円程度の収入となります。ただし実際には「育児時短開始時の賃金水準を超えないこと」「支給限度額(2026年7月31日まで471,393円)や最低額(2,411円)があること」などの調整が入るため、必ずしも単純に10%が加算されるとは限りません。

また、育児休業給付金・介護休業給付・高年齢雇用継続給付との同時受給は不可です。経過措置として、2025年4月以前から時短勤務をしていた方も要件を満たせば対象となります。

この制度により、「時短勤務したいけれど収入が減るのは不安」という悩みを和らげ、安心して子育てと仕事を両立できる環境が整いました。

参考:厚生労働省「育児時短就業給付の内容と支給申請手続

子育ての負担を軽減する制度

「子どもは3歳から幼稚園や保育園に預ける予定だけど、ときどき施設に預けたい」という悩みを持つご家庭も多いでしょう。ここでは、保育所などに通っていない満3歳未満でも、月一定時間まで子供を預けられる新制度をご紹介します。

こども誰でも通園制度|2026年4月から本格実施

こども誰でも通園制度
(出典:こども家庭庁「誰でも通園制度紹介動画」)

2026年4月から全国の自治体において実施される新制度です。就労の有無に関わらず、月一定時間までの保育サービスを利用できるようになります。

対象者生後6ヶ月〜3歳未満の子どもがいる保護者
利用条件就労要件なし
(専業主婦(夫)でも利用可能)
利用料1時間300円前後
(施設によって異なる)
利用時間月一定時間までの利用枠
開始時期2026年4月から給付化
(2025年度は試行的実施中)
申請方法市区町村に申請
こども誰でも通園制度の概要

この制度の最大の特徴は、就労していない家庭でも保育サービスを利用できる点です。専業主婦(夫)の方が育児疲れのリフレッシュや通院、きょうだいの学校行事参加などで一時的に子どもを預けたい場合に活用できます。

2025年時点では一部の市町村で試行しており、2026年4月からは全国で本格的に実施される予定です。お住まいの市区町村で詳細を確認しておきましょう。

参考こども家庭庁「こども誰でも通園制度について

まとめ

本記事では、妊娠・出産期における子育て支援制度についてまとめました。新設された制度も多いので、知らなかった項目があったかもしれませんね。これらの制度は申請しないと受けられません。出産・育児にかかるお金の不安をできるだけなくせるように、今回ご紹介した制度を積極的に活用してください。

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記事執筆

もにゅら ファイナンシャルプランナー

独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として執筆業を中心に活動中。2児の父親でもあり、家計や資産形成に関する執筆が得意。また、マンションの売買も経験しており、実体験に基づいたライティングを強みとしている。各種金融メディアでの執筆・監修業のほか、自身のメディアとして「もにゅら親子の節約ブログ」「もにゅらのクリプト部屋」を運営中。

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