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作り置きに便利な冷凍できるおかずのルールとは?
冷凍おかずは、調理前の食材のままで冷凍する場合より、どうしてもハードルが高くなります。理由は、味付けしているため、解凍後に離水しやすくなるためです。
作り立ての美味しさをキープするには、家庭用の冷凍庫ではなかなか難しいというのが正直なところ…。それでも、「冷凍おかずを作り置きして少しでもラクしたい」という方に向けて、ここではチョットした秘策をご紹介していきます。
冷凍に向くおかず 2つのNGルール
条件① 水分が多い食材は避ける
まず、使う食材の見極め方です。例えば、こんにゃくや豆腐などを使ったおかずは、食感が変わりやすく、水っぽくなるため避けたほうが無難です。
条件② 大きめ野菜はNG
また、繊維質の多い野菜は、筋ばって噛みづらくなるため細かく切って使うこと。野菜は、大きいままだと冷凍後にフニャフニャ食感になりやすいので細かく切るか、始めから入れないほうが美味しく食べることができます。
基本の冷凍法 5つの手順
上のNGルールを守ったうえで、調理済みのおかずを冷凍する手順をまとめました。
余分な汁は捨てる
汁が多いおかずは、冷凍前に余分な汁を捨ててから冷凍用保存袋に入れましょう。解凍時に、水分が出やすく味が変わるのを軽減することができます。
粗熱をとる
調理後すぐに保存袋に入れると、蒸れて食中毒の原因をつくりやすくなりがち。きちんと粗熱をとってから冷凍保存しましょう。
ラップなどで小分けする
多めのおかずは、使う分だけ小分け冷凍すると、残る分を空気に触れさせず、酸化防止になります。
冷凍用保存袋に入れてから空気を抜く
保存袋に入れたら、ストローなどを使って袋の中の空気をしっかり抜いてから冷凍保存すること。密閉度が高まることで酸化防止と冷凍焼けを防げます。
銀トレーにのせて急冷する
少しでも早く冷凍することで菌の繁殖防止や食感キープが可能になります。銀製のトレーは、そのまま冷凍保存するよりも急冷することができるのでおススメです。
食中毒を防ぐ、基本3原則!
冷凍おかずで最も注意しなければいけないのは、菌を繁殖させないことです。家庭によって衛生管理レベルが違うため、やはり市販の冷凍食品とは別物と考えたほうがいいでしょう。手作りのおかずを冷凍するには、細心の注意を払っても十分すぎることはありません。
では、そもそも食中毒を発生させないためのルールはあるのでしょうか? いま一度、一緒にチェックしていきましょう。
1)しっかり加熱をする
肉や魚は、中まで火を通すのが難しい食材です。表面が焼けているように見えても中が生ということも多く、その状態で冷凍すると食中毒の要因を作ることに。火が通ったかの確認は、竹串などを刺して、透明な汁が出るまで十分加熱をしましょう。
2)二次汚染を防止する
例えば「生の鶏肉を触った後に、野菜を切る」という行為は絶対に避けてください。生の鶏肉には、食中毒の原因となるカンピロバクターという菌が付着している可能性が高く、野菜に移ってしまう事例が多く報告されています。
肉を切った包丁はよく洗い、まな板も代えた方がベストです。調理の工程でいえば野菜から切り、肉の処理は最後にするのが正解◎。できるだけ、他の食材に菌を広げないように工夫しましょう。
3)常温放置は避けること
これは、前出の「粗熱をとる」でも共通のことがいえますが、おかずの粗熱をとっている際に常温放置はNGです。理由は、20~50℃は細菌の発育至適温度帯と呼ばれ、食中毒が一番発生しやすい温度帯だといわれているためです。
少量のおかずでしたら、粗熱もとりやすいですが、もし多めに作ったおかずの粗熱をとる場合は、ひと手間が必要。保存容器に少しずつ小分けし、冷蔵庫できちんと冷やしてから冷凍保存をするように徹底しましょう。
基本のルールは、覚えてしまえば日常生活にも活かせます。作り置きの冷凍おかずを上手に活用して、バランスのよい献立作りに役立ててくださいね♪
文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)
野菜を使った冷凍できるおかずのレシピ
以上の冷凍のポイントに注意しながらおかずを冷凍保存してみましょう。冷凍保存向きのおかずレシピを、食材別にHugKumがセレクトしました。まずは野菜メインのおかずからご紹介します。
【1】きのこの煮浸し風
耐熱容器に材料を入れたらレンジでチン!とするだけ。かつお節としめじの風味が広がります。
◆材料
(大人1人+子ども2人分)
しめじ 100g(正味約80g)
【A】
かつお節 3g
水、みりん 各大さじ1
しょうゆ 大さじ1/2
※写真の分量は、すべて子ども1人分の目安です。
◆作り方
【1】耐熱容器に【A】を入れ、石づきを取ってほぐしたしめじを入れる。ラップをふんわりかけて電子レンジで2分ほど(500Wの場合)加熱。そのまま冷ます。
教えてくれたのは
松見早枝子さん
料理研究家。ビューティレシピスト。美と健康をテーマに、栄養バランスに優れたおいしいレシピを提案。雑誌、テレビ、講演会、料理教室など幅広く活躍している。美食家でレストランオーナーの夫、息子と3人暮らし。
『めばえ』2016年10月号
【2】型ぬきポテトフライ
じゃがいもに衣をつけてボリュームアップ! 手作りのポテトフライは、好みの形に型抜きすればかわいく仕上がります♪
◆材料
(12~13個分)
じゃがいも 4個
塩・こしょう 各少々
【A】
小麦粉・水 各大さじ5
パン粉・揚げ油 各適量
◆作り方
【1】じゃがいもは1cm厚さに切り、少しかためにゆでて、好みの型(直径4~5cmくらい)で抜く。
【2】塩、こしょうをまぶし、混ぜ合わせた【A】、パン粉の順に衣をつけて、油で揚げる。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネータ ー、飾り巻き寿司インストラクター1級。男の子のママ。育児経験を生かした簡単で栄養バランスのとれた料理や、かわいいお弁当レシピが人気。
『ベビーブック』2011年10月号
【3】きんぴらごぼう
ピーラーのささがきでやさしい食感に。ふんわり仕上がれば子どももパクパク。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
ごぼう 100g
にんじん 30g
ごま油 小さじ1
【A】
水 大さじ3
砂糖 小さじ1
酒 小さじ2
【B】
しょうゆ 小さじ2
みりん 小さじ1
◆作り方
【1】ごぼうはたわしでこすり洗いをして(皮の近くに風味があるので、皮をむかずに、泥を洗い落とす)、ピーラ ーでささがきにする(ささがきとは削ること)。水にさらしてアク抜きをし、水けをよくきる。
【2】にんじんは皮をむいて、せん切りにする。
【3】フライパンにごま油を熱し、ごぼうを加えて中火~強火で3分ほど炒め、にんじんを加えて、しんなりするまで2分ほど炒める。
【4】火を止めて、【A】を加え、火をつけて砂糖を溶かす(調味料が少ないので、焦げないように一度火を止める)。
【5】再び火を止めて、【B】を加え、やや強めの火加減で汁けがほとんどなくなるまで3分ほど煮詰める。火を止め、ふたをしてそのままおく。
*白炒りごまを混ぜ合わせても。
◆ポイント
ささがきをピーラーで行うと、薄く切れるので、食感がよくなる。酢水にさらすと白く仕上がるが、風味も抜けるので、今回は水でさらす。
教えてくれたのは
ABC Cooking Studioさん
ABC Cooking Studioは、初心者の方にもおすすめの、料理・パン・ケーキ作りが楽しく学べる女性専用の料理教室です。少人数レッスン、復習にも最適なイラストレシピ、 HPや携帯からの予約など、システムが充実。入会金不要、1回完結の「1dayレッスン」や授業の雰囲気を体験できる「体験レッスン」を毎日開催しています。
『ベビーブック』2012年9月号
【4】にんじんのごまナムル
細切りにしたにんじんをじっくりじっくり炒めて甘みを出します。ポイントはごま油と炒りごま。ひねりつぶして風味を立たせます。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
にんじん 1本
塩 少々
ごま油 小さじ1
白炒りごま 小さじ1
◆作り方
【1】にんじんは皮をむいて、斜め薄切りにしてから細切りにする。
【2】フライパンにごま油を熱して【1】を2分ほど炒める。しんなりしたら塩をふって1分ほど炒め、ごまを指でひねりつぶして加え混ぜる。
教えてくれたのは
コウケンテツさん
料理研究家である母・李映林さんのアシスタント後、独立。韓国料理を中心とした、素材の味を生かしたヘルシーなメニューが人気。一男一女の父。
『ベビーブック』2012年10月号
鶏肉を使った冷凍できるおかずのレシピ
ここからは鶏肉を使った冷凍保存向きのおかずをご紹介します。記事中にあった「生肉を切った包丁で他の食材を切らない」を守って作ってくださいね。
【1】2色のつくねボール
ブロッコリーも、にんじんも、細かくして、目立たないようにお肉にミックス♪
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
【A】
ブロッコリー(みじん切り) 1房分
鶏ひき肉 120g
片栗粉 小さじ1/2
塩 小さじ1/6
【B】
にんじん(すりおろし) 2cm分
鶏ひき肉 120g
片栗粉 小さじ1/2
みそ 小さじ1
サラダ油 小さじ2
◆作り方
【1】2つのボウルに【A】と【B】をそれぞれ入れて練り混ぜる。それぞれ5等分にして丸める。
【2】フライパンにサラダ油を中火で熱し、【1】の両面を焼き色がつくまで焼く。
【3】水50ml(分量外)を加えてフタをし、弱火にして中まで火を通す(中央に竹串などを刺し、透明な肉汁が出てきたらOK)。フタをはずして水分を飛ばす。
教えてくれたのは
松尾みゆきさん
管理栄養士・料理研究家・フードコーディネーターとして、テレビや雑誌、書籍等、幅広く活躍の傍ら、幼児がすすんで食べるおいしさと栄養にこだわったメニューを日々考案している。二児の母。
『めばえ』2018年7月号
【2】鶏のから揚げ
定番の唐揚げはレンジで作ればグッと簡単に!ポリ袋を使えば手も汚れないので、より手軽に調理できます。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
鶏もも肉 400g
【A】
しょうゆ 大さじ1
砂糖 大さじ1
酒 大さじ1
おろしにんにく 小さじ1/2
強力粉 大さじ2
サラダ油 大さじ1
◆作り方
【1】鶏肉は一口大に切り、合わせておいた【A】をからませる。ポリ袋に強力粉とともに入れ、空気を入れて袋の口を閉じ、よく振って粉をまぶす。
【2】クッキングシートを敷いた耐熱皿に、【1】を皮を下にしてドーナッツ状に並べ、サラダ油を少しずつかけてスプーンの背でなでつける。
【3】小皿に【2】をのせ、ラップをせずに8分加熱する。
◆ポイント
■肉はドーナッツ状に並べる
円の中心は熱が当たりにくいので、外側から並べる。サラダ油はスプーンの背でなでつけて、なじませる。
教えてくれたのは
村上祥子さん
福岡在住。国内外を飛行機で飛びまわる「空飛ぶ料理研究家」。電子レンジ料理のエキスパートであっと驚く独自のワザを次々に開発中。
『ベビーブック』2011年7月号
【3】スプーンくるくるハンバーグ
食材を、スプーンで混ぜで、すくって、プライパンに落とすだけ!後は焼いて出来上がるハンバーグ。ふっくらやさしい和風チキンハンバーグになりました。練る時間がないので時短になります。
◆材料
(小6個分・大人2人分+子ども2人分)
鶏ももひき肉 300g
玉ねぎ(みじん切り) 1/2個
パプリカ(赤・黄) 各1/2個分
【A】
塩 小さじ1/3
溶き卵 1/2個
片栗粉 小さじ2
サラダ油 小さじ1
【B】
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1と1/2
◆作り方
【1】ボウルにひき肉、【A】を入れてスプーンでよく混ぜ、片栗粉を加えてよく混ぜる。さらに生の玉ねぎを加え、均一に混ぜる。
【2】パプリカは食べやすく切る。
【3】フライパンにサラダ油を広げ、【1】を6等分してスプーンで落とし入れ、軽く押さえて平らにし、フタをして中火にかける。温度が上がってパチパチ音がし始めたら弱めの中火にし、3分焼く。
【4】フタを取って上下を返し、パプリカをハンバーグの脇に入れ、フタをせずに3分焼く。
【5】焼き色が足りなければ火を少し強め、両面を好みの焼き色に焼く。仕上げに【B】を入れて全体に照りをつけ、器に盛る。
*パプリカがフライパンに一緒に入らない場合は、先にさっと炒めて仕上げに合わせる。
◆ポイント
■混ぜて
やわらかい鶏ひき肉は、スプーンで底からすくっては返す、すくっては返す、を繰り返して混ぜるのがコツ。全体が均一に混ざればOK。
■混ぜ終わり
■落とすだけ
スプーンで6等分し、フライパンへ。
教えてくれたのは
上田淳子さん
料理研究家。双子の男の子を育てながら、家族のご飯を作り続けてきた大先輩。余計な手間をかけなくても、シンプルでおいしいお母さんの味を教えてくれる。近著に『冷たいフライパンに食材を入れてから火にかけるコールドスタート』(自由国民社)。
『ベビーブック』2018年6月号
【4】鶏そぼろ
ご飯にかけたり、おにぎりの具にしたり。サラダに振りかけるのもちょっとしたアクセントになります。常備菜としておすすめの一品。
◆材料
鶏ひき肉 600g
しょうがのすりおろし 1/2かけ分
しょうゆ 大さじ3
みりん 大さじ3
砂糖 大さじ3
◆作り方
【1】鍋にすべての材料を入れて混ぜ合わせる。
【2】鍋を中火にかけて、かき混ぜながら肉に火が通るまで炒る。
◆ポイント
保存するときに、薄く平らにするのがポイント。折って使えるように薄くし、 バットにのせて平らに冷凍する。冷蔵で1週間、冷凍で2~3か月が保存期間の目安。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネー ター、飾り巻き寿司インスト ラクター1級。男の子のママ。育児経験を生 かした簡単で栄養バランスの とれた料理やかわいいレシピ が人気。
『ベビーブック』2016年3月号
【5】ひとくち ケチャップチキン
塩こしょう、小麦粉をまぶして焼いただけの一口大のチキンソテーも、子供の好きな甘いケチャップ味を絡めるだけで、いつもより贅沢な食卓に。
◆材料
(お弁当用カップで6~8食分)
鶏もも肉 大1枚
塩 少々
小麦粉 大さじ1
サラダ油 適量
【A】
ケチャップ 大さじ2
砂糖 小さじ1
水 大さじ1
◆作り方
【1】鶏肉は一口サイズに切り、塩と小麦粉をまぶ す。
【2】油を熱したフライパンで両面を焼き、中まで火が通ってきたら、【A】を加えて煮絡める。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネー ター、飾り巻き寿司インストラクター1級。男の子のママ。育児経験を生かした簡単で栄養バランスのとれた料理やかわいい レシピが人気。
『ベビーブック』2017年4月号
【6】タンドリーチキン
簡単で味に深みの出るヨーグルトダレを揉み込み、漬け込むことがポイント!あとは中火で焼くだけ。タレがしみ込んだチキンは胸肉とは思えないしっとりとした焼き上がりに。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
鶏むね肉 1枚(約350g)
【A】
プレーンヨーグルト 1/3カップ
ケチャップ 大さじ1
カレー粉 大さじ1
塩 小さじ2/3
にんにく(チューブ) 少々
サラダ油 大さじ1/2
◆作り方
【1】【A】をポリ袋などに入れ、よく混ぜ合わせる。
【2】むね肉は約1㎝幅のそぎ切りにし、【1】に入れてよくもみ、10分ほどおく。
【3】フライパンにサラダ油を中火で熱し、【2】の肉を取り出して並べ入れ、2~3分焼き色がつくまで焼き、返してふたをし、弱めの中火で4~5分焼く。食べやすく切る。
※お好みでベビーリーフなどを敷いても。
※【2】は冷蔵庫に一晩おき、翌日に使ってもOK。
◆ポイント
■そぎ切り
むね肉に包丁を斜めに入れ、左手で押さえながら、包丁を手前に引いて切る。
■つける
タレに入れてもむと、味がよく染み込み、ヨーグルト効果でしっとりとした仕上がりになる。
教えてくれたのは
武蔵裕子さん
料理研究家。総菜から保存食まで幅広いジャンルを得意とし、だれでも簡単に作れるシンプルでおいしいレシピが好評。
『ベビーブック』2017年10月号
次ぺージでは豚肉・魚を使った冷凍できるおかずレシピへと続きます。