MOOCの基礎知識
そもそも「MOOCとは何なのか」を解説します。MOOCの基礎知識をしっかり押さえて、メリットとデメリットを理解するための下地を整えましょう。
MOOCとは
MOOC(ムーク)とは「Massive Open Online Course」の頭文字を取った略語です。インターネットに接続可能な環境があれば、誰でも受けられるオンライン講座を指します。
世界では、ハーバード大学・スタンフォード大学・マサチューセッツ工科大学など、名だたる大学がMOOC講座を展開しています。MOOCを活用すれば、これらの大学の講義を日本から受講することが可能です。
日本では、東京大学や京都大学などがMOOC講座を展開しています。2013年から始まった東京大学のMOOC講座では、80万人以上の登録者が日々学習に励んでいます。
出典:登録者数がついに80万人を突破しました - UTokyo MOOC
MOOCのシステム
MOOC受講までの流れは以下の通りです。
1.受けたい講座を選ぶ
2.受講登録もしくはプラットフォームの利用登録を済ませる
3.1本10分程度の講義を受ける
4.コースの節目ごとに設けられている課題やテストがあれば挑戦する
5.条件を満たして修了証を受け取る
講座によっては修了証が発行されない場合もあります。また、修了証の発行に費用が必要なこともあるため、事前によく確認しておきましょう。
MOOCには、講師への質問や他の受講者との交流ができる掲示板が設けられている講座や、講師に直接教わることができるコースが用意されている講座などもあります。学びを深めたい場合には、これらのサービスが付いている講座を選ぶのがおすすめです。
MOOCのメリット

MOOCには、学びに意欲的な人にとってうれしいメリットがたくさんあります。メリットを知れば、さらにMOOCに興味が湧くはずです。MOOCのメリットを3つ紹介します。
無料で学習できる
MOOC最大のメリットは、高品質な教育を無償で受けられることです。
一般的に質の高い教育を受けるには、多額の費用が必要です。大学や専門学校に通うとなれば、入学金と授業料を合わせて数百万円の費用がかかるでしょう。
しかしMOOCを活用すれば、基本的に無料でハイレベルな講義を受けられます。プラットフォームによっては、有料のオプションサービスを設けているところもありますが、そのようなサービスを利用しなければ、完全に無料で学習することができます。
経済的な理由で大学や専門学校への進学を諦めてしまった人にとって、MOOCは高度な知識を手に入れる絶好の機会となるでしょう。
いつでも好きなときに学べる
自分の好きな時間や好きな場所で学習できるのもMOOCのメリットです。MOOCは、インターネット環境さえあればいつどこからでも講義を受けられます。
大学や専門学校に進学する場合、毎日学校に通って講義を受ける必要があります。遠方の大学に通うのであれば、近くに転居して通学できる環境を整えなくてはなりません。もし海外の大学に進学したいのであれば、留学を選択する必要があります。
しかしMOOCであれば、時間を割いて通学する必要も、学校の近くに転居する必要もありません。インターネットに接続できる環境さえあれば、自宅のソファの上でも講義を受けられます。
さまざまな内容の講義を受けられる
多種多様な講義を受けられるのもMOOCのメリットです。MOOCであればさまざまなジャンルの講義の中から、興味関心に合ったものを自由に選択して受講できます。
大学に進学した場合、学習するのは所属している学部に関連した分野が中心です。一般教養としてさまざまな分野を学ぶことはできますが、学部に無関係なジャンルの知識を深く掘り下げるのは困難です。
しかしMOOCであれば、簡単にジャンルの壁を越えることができます。時間と意欲さえあれば、関連性のないジャンルを同時に学ぶことも不可能ではありません。
MOOCのデメリット

メリットが多いMOOCにもデメリットはあります。MOOCの利用を検討しているのであれば、デメリットを認識した上で対策を取る必要があるでしょう。MOOCのデメリットを解説します。
モチベーションを維持するのが難しい
MOOCのデメリットとしてまず挙げられるのが、モチベーション維持の難しさです。最後までモチベーションを保てた人が少ないため、MOOCの修了率はおおむね10%以下にとどまるといわれています。
モチベーションが保ちにくい1つの理由が、MOOCの手軽さです。MOOCは基本的に無料で受講できるため、大学や専門学校のように「お金を払っているのだから授業に出なくては」という発想にならないのです。
また、講義に付いていけないケースがあるのも、モチベーションが維持できなくなる理由の1つとして挙げられます。MOOCには大学のように入学試験がないため、基礎学力が講義の内容に追いついていない人でも受けられてしまいます。基礎学力が伴わない人がMOOCを受けると、「内容が難しすぎる」と感じてやる気を失ってしまうのです。
出典:MOOC実証実験の結果と分析―東京大学の2013年の取り組みから―
語学力が求められる場合がある
MOOCのデメリットとしては語学力の問題も挙げられます。海外の大学が提供している講義を受けるには、一定以上の語学力が求められる場合があるためです。
たとえ語学力に自信がある人であっても、海外の大学が展開するMOOCを受講する際には注意しましょう。母国語ではない言語で専門性の高い講義の内容を理解するには、より高度な語学力が求められるためです。場合によっては、言葉を理解するので精一杯になってしまう可能性があります。
語学力に自信がない場合は、字幕や副音声が付いている講座の中から興味のあるものを選ぶのがおすすめです。
小中学生も使えるMOOCサービス

「子どもに合う塾がなかなか見つからない」「そもそも塾の費用を捻出できない」などの悩みを持っているのであれば、小中学生向けのMOOCを活用してみましょう。小中学生でも使えるMOOCサービスを2つ紹介します。
Khan Academy
Khan Academy(カーンアカデミー)とは、小学生から高校生までの子どもを対象にしたMOOCサービスです。サルマン・カーン氏が、いとこの子どものために開発したWebソフトを起源として発展し、現在では数学・芸術・物理学・経済学といった多彩な講義を提供しています。
カーンアカデミーの中でも、特に充実しているのが数学の講義です。幼稚園から中学2年生まで、学年別に学習すべき内容がまとまっています。加えて分野別にも動画が分けられているので、興味関心に合わせて好きな講義を選択しやすくなっています。算数が好きな子どもにおすすめのサービスです。
Asuka Academy
Asuka Academy(アスカアカデミー)とは、海外の大学で展開されている講義が見られる中高生向けのMOOCサービスです。マサチューセッツ工科大学やイェール大学などが提供している講義を閲覧できます。
アスカアカデミーの特長は、中高生でも講義内容を理解しやすいよう、日本語字幕が付いている点です。
アスカアカデミーでは「修了証書・オープンバッジ発行」のオプションが付いているコースも用意されています。オープンバッジとは、スキルを持っていることを認定するデジタルの証明書です。修了証書・オープンバッジ発行のオプションが付いているコースは、スキルや知識の証明を手に入れたい人に適しています。
Asuka Academy|世界最高の大学講義を日本語で無料で学べるオンライン講座
MOOCを活用して学びを広げよう
MOOCはスキルアップをしたい社会人だけでなく、自主的に学習したい小中学生にもおすすめのサービスです。自分に合ったサービスが見つかれば、「もっともっと学びたい」という意識が生まれ、自然と能力が高まっていくはずです。
現在のところ小中学生向けのMOOCサービスはまだ数が少なく、選択肢が限られているのが課題ですが、試してみる価値は十分にあります。MOOCを活用して、子どもの才能を伸ばしてあげましょう。
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構成・文/HugKum編集部