海外で料理に出合った元サッカー選手が繰り出す、めっちゃ楽しい野菜料理。「斬新すぎる」レシピが生まれたワケ

野菜料理、「健康のために食べなきゃいけない」と思っていませんか?そんな食べ方は楽しくないですよね。ところが、アキオさんのレシピは「えっ、これが野菜?」と驚くような調理と見た目と食感。ワールドワイドな調理法を野菜の特性と日本人の舌に合わせて、ワクワクしながら食べる家庭料理として、七変化。フォロワー50万人もナットクです。そのレシピを2回にわたって紹介します。まずはレシピを生み出すアキオさんご自身のルーツについて伺いました。

実家は八百屋さん。少年時代は「サッカーで海外」へ

――アキオさんの実家は二代続く青果店、SNSでは斬新な野菜料理を見せてくれる「八百屋のシェフ」と名乗っています。

アキオさん僕が小学生だったのは40年くらい前、子どもが家業をお手伝いして働くのは普通でした。普段の日は店先で「いらっしゃーい!」と呼び子をやったり品出しをしたりしていましたし、夏休みや冬休みは市場に仕入れに行く父親について回っていました。幼少期から野菜の特徴や鮮度などについて父親から教わり、常に野菜が身近な存在だったんです。そんなこともあって「八百屋のシェフ」と名付けたんですね。

ただ、幼い頃からサッカー一直線でした。小学生の頃『キャプテン翼』が流行っていたんですが、私が住んでいた静岡県の清水はまさにその舞台。影響されてサッカーに打ち込んでいました。

コーチはブラジル人のプロサッカー選手でした。小学生の頃からブラジルへの憧れがあり、そのコーチのつてを頼ってブラジルに渡りました。プロ選手になりたくて、中学3年のときにブラジルに短期留学、そのあと本格的に住み始めました。

ブラジルではポルトガル語を使っていたので、その後ポルトガルでもサッカー選手をやっていました。でもなかなか芽が出なくてアメリカ・マイアミへ。マイアミには20歳前後に4年ほどいたのですが、サッカーだけでは食べて行けないので日本食レストランでアルバイトをしていました。テーブルにお皿を持っていく一番下っ端の仕事から始めて、飲食店の仕事を、サッカーを続ける支えにしていました。

包丁が持てれば「世界中で料理の仕事ができる」かも!

――マイアミで料理の道に入ったのですね。

アキオさんその店の親方は和食をきわめ、マイアミで日本食を広めた人でしたが、お店のスタッフはほとんどアメリカ人以外の人でした。カリビアン出身のスタッフから照り焼きソース、フィリピン出身のスタッフから巻き寿司など、さまざまな国籍のスタッフから教わりました。

当時、料理店の先輩たちから「包丁を持って仕事ができると、世界中で働けるよ」と言われていました。たしかにそうだな、世界中で料理ができるようになったらおもしろいなと思ったことが、料理の世界に入っていくきっかけになりました。

そんな中で、海外の人が作る日本食の斬新さに気づかされました。たとえば、「カリフォルニアロール」。太巻きののり巻きで、具がサーモンとクリームチーズとアボカド。外側がのりじゃなくて、のりを内側にして白いご飯を見せますよね。これまで海苔巻きといったら黒いヤツだったので、衝撃を受けました。食材も「サーモンとクリームチーズと酢飯の組み合わせ、なにそれ!?」って。

でも食べると意外においしい、見た目もきれい。日本の料理の常識はあるにせよ、そういうしばりのない人にとっては、「外側は白のほうがきれいでしょ」って。たしかにそうですよね、料理って、本来自由なはずです。「こうあるべき」ではなくて、楽しくて新しいおいしさがあっていいじゃないかと思いました。そこらへんが私の料理の原点にあるのかな。

私のレシピは特定のジャンルにとらわれず、ガレットやセビーチェ、ヤムウンセン風とか、野菜の素材を生かして各国料理にアレンジしたものもたくさんあります。それらも、外国のあちこちで暮らした影響があるし、「料理って自由」を表現したものでもあるかなと思っています。

1万5,000作品の中から5期連続入選する「お惣菜のプロ」に

――日本に戻ってからは……。

アキオさん日本に戻っても飲食店で数年働きました。サッカー選手はそろそろあきらめる年齢と感じ、飲食店で働きながらスポーツトレーナーを目指そう、と。ただ、僕は高1で日本の学校を中退したので、勉強しなければと、今はなき「大検」をとり、大学に行ってトレーナーの道を目指してまた海外へ、と考えていました。が、そこから紆余曲折あり……。海外で料理留学も考えたのですが、結局、日本の惣菜店に長く勤めることになりました。

――そのお惣菜店にいたときに、「お惣菜アワード」に5期連続受賞されたのですね。

2022年「お惣菜アワード」授賞式にて

アキオさん「お惣菜アワード」は全国のスーパーマーケット協会が主催する「お弁当・お惣菜大賞」のことで、小売店で販売されているお弁当・お惣菜の中から食の専門家が賞品を選出し、表彰します。一見地味そうな賞ですが、たとえば2025年の応募総数は1万5,256件。そんな中での連続受賞は少し自慢できるんじゃないかな、と思っています。料理の斬新さや工夫はもちろん、地産地消の観点も評価されます。

私は静岡在住ですので、当地産の素材を使うものが多かったです。もともと野菜料理が好きでしたし、実家が八百屋なので野菜を多く使っていました。野菜料理を出品する人が比較的少なかったので、興味を持っていただいた部分もあると思いますね。

「お惣菜アワード2020」優秀賞の一品、「屋台風プルドチキン弁当」。アメリカ南部BBQ料理のプルドポークをチキンで表現
「お惣菜アワード2022」最優秀賞に輝いた「1富士2鷹3折戸なすヴェリーヌ」。幻のナスと言われる地元静岡の折戸ナスをギリシャのムサカ風メニューで表現

現在はSNSで大バズりの料理家、そしてフードコーディネーター

――現在のお仕事は。

アキオさん現在は、お惣菜店を退職し、野菜の専門家という形で、SNSで発信するクリエイターとして起業してます。企業から依頼をいただいて商品開発やPRをしたり、フードコーディネーターとしても活動しています。

その中心は、やっぱり野菜です。野菜としっかり会話する、野菜の気持ちになって考える(笑)。そんなレシピを表現していきたいと思っています。

――そんなアキオさんの野菜レシピの中から2つをご紹介。どちらも和のイメージの野菜に外国の香りをまとわせた楽しい料理です。お子さんにもピッタリです。

うまみ密度がギュギュッ!白菜250~300gが難なくとれる

スペイン風白菜オムレツ

見た目はフライパンでよく焼いたスペイン風オムレツ。けれど中に白菜が250~300gも入っています。知らず知らずのうちに野菜がたくさんとれ、しかもフライパンひとつで簡単にできるのがうれしいレシピです。ケチャップをかけるとお子さんが好きな味に。

材料(2人分)

白菜…1/6株(250~300g)せん切り

卵(L)…2個 よく溶いておく

ツナ缶…1缶(55g)

塩…2つまみ

こしょう…適量

サラダ油…適量

ケチャップ(お好みで)…適量

〈作り方〉

1.卵は塩1つまみ、こしょうを入れて溶きほぐす。
2.フライパンにサラダ油を入れ熱する。白菜、塩1つまみを入れ、かさが1/5になるまで炒める。

カサはここまで減ります。ツナを混ぜているところ
卵を流し入れているところ。フタをして両面焼く
  • 3.ツナを加えてさっと炒め、卵を回し入れ、フタをして弱めの中火で2分蒸し焼きにしたら、上下を返して2分焼く。器に盛り、お好みでケチャップをつけていただく。

ヨーグルト入りでギリシャ風?ズッキーニを生で味わっておいしい

ズッキーニのさっぱりヨーグルト和え

ズッキーニの生はシャキシャキしてイケます!ヨーグルトを料理に使うのがギリシャっぽいですね。このソースは子どもが好きな味、ローカロリーで大人にもうれしい。キュウリをしっかり塩もみしたものや、レタスサラダやサラダチキンにかけても合います。

材料(2~3人分)

ズッキーニ…1本(150g) 1~1.5㎜厚さの薄切り

バジルの葉…1~2枚 みじん切り

塩…1つまみ強

ヨーグルトソース

A(プレーンヨーグルト大さじ1と1/2、ケチャップ大さじ1、マヨネーズ大さじ1、ウスターソース大さじ1/2、一味唐辛子少々、粗挽き黒こしょう少々)すべて混ぜ合わせておく

〈作り方〉
1.ズッキーニは塩をふってもみ、5分~10分置いてよく絞る。
2.A、1、バジルを混ぜ合わせる。子ども用には一味唐辛子は除いても。

後編はこちら

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お話を聞いたのは

アキオさん 野菜料理シェフ

2代続く青果店に生まれる。学生時代は各国にサッカー留学。海外の食文化に感銘を受け、帰国後は食の世界を目指すことに。飲食店で調理場に立った後、惣菜店へと転職。レシピ開発・惣菜調理に従事し、全国のスーパーや惣菜店、飲食店から15,000点以上(2025年の実績)のレシピが出品される「お弁当・お惣菜大賞」で5期連続入賞(うち最優秀賞1回、優秀賞1回)という好成績を達成した。2022年よりInstagramを中心とした各種SNSでレシピを発信したところ、「こんな野菜の使い方知らなかった!」「作ってみたい!」という声が続々!以来、新しい野菜のレシピを提案し続けている。

アキオ KADOKAWA 1,705円(税込)

PART1ではこれまでSNSで発信してきたレシピの中から、最も人気を集めたベストレシピ13を紹介。「あの野菜がこんな味に!?」「これが野菜でできているの!?」という驚きとおいしさに満ちたレシピばかりです。野菜のおかずといえば「食べ応えがない」「おかずにならない」などという印象を持つ人も少なくないかもしれません。

PART2では、ごはんがすすみ、お腹いっぱいになれる野菜のおかずを一挙に紹介。いつもの野菜に濃いうまみが感じられるのは、野菜を知り尽くした著者ならではの作り方だからこそ。野菜のおいしさを引き出す「火入れのテクニック」なども紹介しています。

PART3は著者が最も得意とする、野菜をつかったおつまみレシピのコーナーです。著者自身も大のお酒好き。「体重や健康を気にせず飲める」「でもお酒に合うしっかり味がほしい」というお酒好きの希望を外さない、ベストな野菜のおつまみレシピになっています。

そのほか、野菜を丸ごとつかったドレッシングやたれ、マヨネーズなど調味料コーナーも。

文・構成/三輪泉 料理写真(一部除く)/土居麻紀子

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