3歳の娘が最近、お金に興味を示すようになりました。お金の価値をどう教える?【井桁容子先生の子育て相談】

乳幼児教育保育実践研究家の井桁容子先生が、子育て中のママのお悩みに答えます。今回は子どもに「お金」との関りを教えるときの対応についてお話を伺いました。

Q:3歳の娘が最近、お金に興味を示すようになりました。お財布のお金をほしがることも。お金とどう関わらせるか、迷っています。

A「お金」を有効に使える豊かな心を育てましょう

小さいお子さんだと大人と同じ感覚で「お金がほしい」と思う子はまずいません。お金をほしがる理由は、お札の絵柄に興味がある、小銭がチャラチャラ鳴るのがおもしろい、大人がよく手にしている、といった好奇心でしょう。でもこれから先、お金と上手につき合っていくためには、お金の価値や存在する意味を正しく理解することが必要。めばえっ子の頃は、ものの価値について考える土台をつくる大切な時期なのです。また、たくさんの人が触れるものなので、衛生的ではないことも伝えておきましょう。

お金の説明をする以前にたくさんの感動を!

子どものお気に入りのものは何ですか? 好きなキャラクターが描かれたシール? ぬいぐるみ? 木の実や石ころ? 子どもにとって「大切だ」「大好きだ」と思う気持ちと、金銭的な価値はまったく関係ありません。自分にとって大切なものを、純粋に自分の心で決めているのです。

幼い頃に伝えておきたいのは、「お金は大切なものだけれど、幸せなのはお金があることだけではない」ということ。そして日々の生活の中に、お金で得られない大切なものがたくさんある、ということです。

そのために役立つのが、お金について学ぶ前に、目に見えない大切なものに気づくことです。さまざまな人との関わりの楽しさを知ること、五感を使った体験をすること、絵本やお話の世界に触れること……。楽しい、うれしい、こわい、悲しい、ワクワク、ドキドキ……。心を動かす体験を親子でたくさんしてください。すると、周囲の事がらにも自然に興味が広がります。さまざまな体験を重ねながら、ものごとの価値について、自分の感覚や考え方を通して判断できるようになっていくことが大切です。

たとえば絵本を読んで「雲の上で遊んでみたい」と思ったら、「どうすれば雲の上に行けるんだろう?」と考えるでしょう。飛行機に乗れば行けるかな? 自分でロケットをつくって行けたらいいな……。心を揺さぶったファンタジーについて考えを広げていくうちに、飛行機やロケットづくりにもお金がいる、という「現実」に、子どもはおのずと気づいていきます。

お金は「ありがとう」を伝える手段

ワクワク&ドキドキからスタートすれば、お金を、夢を現実にかえていくために必要なものと捉えることができます。雲の上に行くロケットをつくるには、お金がかかる。そのお金は、働くことで得ることができる……。お金は私たちが暮らしていくために必要なものだ、という仕組みに、子どもが少しずつ気づいていければよいのです。

絵本をつくる人は、お話を考えたり絵を描いたりするために、たくさんの時間をかけています。そして絵を描くためには、絵の具や紙も必要です。だから絵本を買うときに支払うお金は、素敵な絵本を作ってくれた人に「ありがとう」を伝えるためのもの、と捉えることもできるでしょう。

正しい金銭感覚を育てるためには、うれしかった、楽しかった、という体験を通して、感謝の気持ちや「やってみたい」という意欲などが育っていることが大切なのです。

記事監修

井桁 容子 先生

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

 

『めばえ』2019年12月号 イラスト/小泉直子 構成/野口久美子

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