3歳児健診とは母子健康法で定められた無料の健康診断で、自治体により実施されています。子どもの心身の発育、栄養状態、先天的な病気の有無などを確認するとともに、子育てのサポートを行う乳幼児健診(乳幼児健康診査)のひとつです。
さて、3歳児健診ではどんなことをチェックするのでしょうか?
3歳健診でチェックする「身体」の発育について
身体の発育でチェックするのは以下の項目です。
1)何秒か片足立ちができる
2)靴をはく
3)三輪車をこげる
4)積み木で建物を作る
5)乳歯が20本生えそろう(上下20本の乳歯が生えたのち、6歳臼歯が生えそろうと、永久歯への生え変わりがスタート。奥歯までみがけるように練習を。)
6)砂場で山やトンネルを作る
7)片足ケンケンができる
8)手を洗ってふく
9)でんぐりがえしをする
10)はさみで紙を直線に切る
11)んぐりがえしをする
12)のりをつけて紙を貼る
13)クレヨンなどで丸がかける
14)着替えが一人でできるか
3歳健診でチェックする「心」や「言葉」の発育について
1)言い聞かせればある程度はがまんできる
自分の欲求を少しずつおさえられるようになるので、社会のルールを教えていきましょう。短い言葉でさとすと伝わりやすくなります。
2)因果関係に気づき、「なぜ」「どうして」と聞く
知能の発達がめざましい時期で、「~だから、こうしようね」と理由を説明して言い聞かせると理解できるようになります。
3)人の痛みに共感できる
4)友だちの名前がわかる
5)恥ずかしさや反省する気持ちが芽生える
(3歳になると、感情がより複雑に。「うれしい」「こわい」といった自分の感情を言葉で表現することもできるようになります。)
6)赤、青、黄、緑の色がわかる
7)ままごと遊びをする
8)友だちとかかわって遊び始める
9)「明日」や「後で」など未来を表す言葉が出る
※目安を示したもので、 発達には個人差があります。
その他、3歳検診でチェックする栄養状態、先天性な病気の主な項目
■身体測定・内科健診
■視聴覚判定テスト
■情緒の発達具合
■歯科検診
3歳検診でひっかかる場合や、発達障害の診断がつく可能性は?
発達に何らかの特性がある場合、3歳児健診の時点ではわからなくても、園で集団生活を送る中でその特性が明確になることもあります。気になることがあれば、就学時健診を待たずに小児科や自治体の窓口に相談をしましょう。
また、3歳児健診で「ことばの遅れ」や「コミュニケーションの心配」が指摘され、専門機関を紹介されることもあります。ただ、健診の内容は自治体や医療機関によっても差があり、必ずそこで見つかるとも限りません。「育てにくさ」や「ほかの子との違い」を感じて心配なときは、健診時に医師や保健師などに相談してみましょう。地域の専門機関を紹介してくれるはずです。こちらの記事も参考にしてみてください。
お話:渋井展子先生
しぶいこどもクリニック院長。小児科専門医・小児神経専門医。発達障害診療医。著書『乳児期の親と子の絆をめぐって』(彩流社)では、最新の医学的知識に基づき子育てで大切なことを解説。1男1女の母でもある。
イラスト/seesaw. 出典:『ベビーブック』2018年5月号 再構成/HugKum編集部