「出生届」の提出は、赤ちゃんの戸籍を作るための重要な手続きです。うっかりしていると過料を取られたり、日本国籍を失ってしまったりしかねません。国内・海外・里帰りなど、出産パターンにおける手続き方法について詳しく解説します。
いつまでに提出するの?
赤ちゃんが生まれたら、戸籍法の定めにより「出生届」を提出する必要があります。まずは、提出期限について詳しく解説します。
生まれた日から14日以内
出生届は、生まれた日から「14日以内」に提出する必要があります。
このとき注意したいのが、生まれた日を1日目としてカウントすることです。例えば、1月1日に生まれた場合は、1月14日が出生届の提出期限となります。
さらに、生まれた時間は考慮されないため、23時59分生まれなら、1分後には生後2日目となります。提出期限はしっかりと把握しておきましょう。
出典:法務省:出生届
海外で出産した場合は3カ月以内
海外で出産した場合、出生届は「3カ月以内」の提出が求められます。日本国籍を維持するには、同時に「国籍留保の届出」も必要です。
アメリカやブラジルのように、その国で生まれた者すべてに国籍を与える制度のある国で出産した場合は、国籍留保の手続きをしていないと、日本国籍を失う可能性があります。
そのため、海外で生まれた赤ちゃんの出生届を出す際には、出生届の「その他」欄に日本国籍を留保することを署名押印とともに明記しましょう。
出生届用紙がもらえる場所
日本の病院で出産すると「出生証明書」と一緒に「出生届」をもらえるケースがほとんどです。もし、病院で取り扱いがなかったら、各自治体の役所からもらうか、ホームページ上でダウンロードすることでも入手可能です。
また、海外で出産した場合は、領事館や大使館でもらえます。もしくは、事前に日本の役所で受け取っておくとスムーズかもしれません。
出生届の提出先
ここでは、出生届の提出先について紹介します。里帰り出産など、今住んでいる住所地以外の地で出産するという人は多いものです。どこで提出したらよいのでしょうか?
該当する市区町村役場
出生届は、次の三つに該当する市区町村役場に提出します。
- 赤ちゃんが生まれた場所
- 両親の本籍地
- 両親の住所地(所在地)
出生届の提出は、両親以外の代理人が行っても構いません。ただし、不備があった場合は代理人では訂正できないため、両親のいずれかが行ったほうが安心でしょう。
海外で出産した場合は、領事館や大使館に出生届を提出します。どのような形式を取るのかは、提出先の国ごとに確認しましょう。
里帰り先でも提出が可能
赤ちゃんの生まれた場所が、提出の該当地に含まれていることから、里帰り出産をした場合には実家の住所地にある役所でも出産届の提出が可能です。
ただし、児童手当や医療給付金の手続きなどは親の住所地で行う必要があります。そのため、もし同時に手続きしてしまいたいと考えているなら、親の住所地で提出するのがベストでしょう。
土日祝日や夜間用の窓口も利用して
役所自体は、基本的に土日祝日は休みです。しかし、休日・夜間用の「時間外窓口」であれば24時間365日開いています。ここでも出生届の提出ができるため、平日の日中はどうしても行けないという場合は利用するとよいでしょう。
ただし、内容の確認は翌営業日になります。そのため、内容に不備があった場合は、再度窓口へ行く必要があることは理解しておきましょう。
また、赤ちゃんが生まれた日によっては、提出の期限日が土日祝日に重なってしまうことも十分あり得ます。提出期限日が土日祝日または年末年始の場合、提出期限が休み明けまで延びる場合があります。役所に確認しておくと安心でしょう。
もし期限内に提出できなければ?
必ずしも期限内に出生届を提出できるとは限りません。「産後の慌ただしさで忘れてしまった」「どうしても行けなかった」ということは誰にでも起こり得ます。
最後に、提出期限を過ぎてしまった場合について解説しましょう。
過料の対象になる
提出期限を過ぎてしまっても、出生届は受理してもらえます。ただし、正当な理由がなく遅れた場合、「5万円以下の過料(かりょう)に処する」と法律に定められています。
期限後に提出する場合は、「戸籍届出期間経過通知書」という書類を作成しなければいけません。この通知書は簡易裁判所に送られ、過料を科すると判断されれば支払う必要があります。
出典:出生届の届出期間14日を過ぎて提出すると罰を受けるのですか? | 厚木市
出典:e-Gov法令検索
天災などが理由なら届出遅延理由書を発行
期限内に提出できなかった正当な理由がある場合は、「届出遅延理由書」を役所に提出し、改めて出生届の提出期限を決めてもらいましょう。
正当な理由とは、例えば天災や事故のせいで身動きが取れなかった場合などが当てはまります。届出遅延理由書は病院や警察で発行してもらえるので、期限を過ぎてしまうことが分かった時点で請求しておくとよいでしょう。
期限に遅れないよう早めに提出しよう
産後は何かと忙しくなりますが、出生届は赤ちゃんが生まれたら必ず行わなければいけない手続きの一つです。提出期限に遅れて過料を科せられたり、届け出内容に不備があったりすることがないように、早めに提出する予定を立てておきましょう。
文・構成/HugKum編集部