大きなハサミが特徴的な、独特の存在感を持つザリガニは、子供はもちろん大人にも人気がある生き物です。そこでこの記事では、ザリガニの飼育について解説していきます。ザリガニの釣り方やおすすめの餌、飼育に必要なものから餌の与え方まで、ザリガニの飼い方をご紹介しましょう。また、ザリガニが餌を食べない原因とその対策などもレクチャーしていきます。
目次
ザリガニの餌や飼い方はどうすればいいの?
河川や田んぼ、用水路など、身近な場所に生息しているザリガニ。釣りの餌としても使われることが多い生き物なのですが、このザリガニをペットとして飼育する人も少なくありません。ザリガニの鑑賞を楽しみたいのなら、餌の選び方や与え方、適切な生活環境など、正しい飼育方法を学ぶようにしましょう。
ザリガニの種類
日本には、3種のザリガニが生息しているといわれています。
よく見かける最もポピュラーな「アメリカザリガニ」は、体長が約8~12cmほどで、赤色か褐色の体を持つ外来種です。同じ外来種の「ウチダザリガニ」は、日本のザリガニの中でも最大級であり、その体長が約15㎝にもなります。また、唯一の在来種である「二ホンザリガニ」は、限られた場所でしか生息しておらず、天然記念物に指定する地域もあるほど数が少なくなっているようです。
ザリガニの色は餌で変わる
アメリカザリガニは、体色が食べ物によって変わります。また、餌の種類によっても色が異なってくるようです。では、一体どのような餌を与えると体の色が変化していくのでしょうか。
赤いザリガニの餌は植物性
アメリカザリガニの体色は、カロチンを元にした赤色色素によって赤く染まっています。カロチンは植物に多く含まれるているため、水草などの植物性の食べ物を餌にしているザリガニは、赤い体をしているでしょう。
青いザリガニの餌は動物性
赤色色素が含まれない動物性の餌、特にアジやサバの切り身などを与え続ければ、体色が青く変化するでしょう。ただし、ザリガニの健康状態を考えると、栄養バランスが偏ってしまうため、おすすめできる飼育方法とはいえません。
白色、黄色やオレンジ色にも
動物性の餌を与え続けた場合、体色が青から白く変わります。また、食用色素が入った餌を与えることにより、体色を黄色やオレンジに変えることもできます。ただし、体の色を変えることよりも、ザリガニの健康状態をいちばんに考えて、栄養バランスのいい餌をあげてくださいね。
ザリガニの釣り方
ここからは、ザリガニを捕獲する方法として、その釣り方をご紹介します。捕獲場所、道具、餌、コツといったポイントをおさえておけば、比較的簡単に釣りあげることが可能です。
ザリガニを釣る準備
河川や田んぼ、沼地や用水路などで捕ることができるザリガニ。小魚やおたまじゃくしがいるような水草が茂った場所ならば、少しくらい水が濁っていても見つけることができるでしょう。道具は、タコ糸と、釣り竿変わりになる棒や枝、網やバケツなどを準備してください。
ザリガニを釣るときの餌
餌には、できるだけ匂いの強い食べ物を用意しましょう。スルメやニボシ、魚の切り身などが最適です。竿の先にタコ糸をくくりつけ、タコ糸の先端に餌を縛りつけてから釣り場に投げ入れます。
ザリガニを釣るコツ
ザリガニが餌をつかんだ場合、竿や糸に重みを感じることができます。そのときは、静かに素早く引きあげてください。背後から網ですくいあげると捕獲も楽になるでしょう。また、ザリガニをやさしく木の枝などでつついてみれば、その枝をつかむこともあります。
ザリガニにおすすめの餌
ザリガニは何でも食べる雑食性の生き物です。しかし、ザリガニの健康面を考えた場合、しっかりと栄養バランスのとれた餌を与える必要があります。ここでは、ザリガニにおすすめの餌や、餌として代用できるものを集めてみました。
ザリガニ専用の人工飼料
ザリガニ専門の人工飼料は、ザリガニが健康で長生きできるように作られた餌です。商品ごとに含まれる栄養素のバランスなどが異なるため、ザリガニの体調や環境を考え、何種類か準備してあげましょう。
生餌
ザリガニの大好物といえば、生餌(いきえ)です。代表的な生餌に赤虫やイトメ、イトミミズなどがあり、自宅での管理が難しい場合は、冷凍された生餌もあります。
水草
栄養バランスを考えるのなら、水草も大切な餌のひとつに挙げられます。飼育環境の水質を安定させるためにも水草の用意は必要です。特に子どものザリガニは、植物性の餌が大好物。水草以外にも、ゆでたほうれん草などを好んで食べます。
家にあるものを餌にするのなら
ザリガニは、お米、パン、かつおぶし、にぼし、スルメ、ササミ、ゆでた刺身など、家にある食材も食べます。味付けがされておらず、脂肪分の少ないものを選んであげましょう。また、これらのものは栄養が少ないため、専用の餌が不足しているときに与えてください。
ザリガニの飼育に必要な餌以外のもの
ザリガニを飼うためには、餌以外にも大切なものがあります。それが飼育設備、ザリガニが住む家になる場所です。ここからは、ザリガニの飼育に必要な餌以外のものをリストアップし、ご紹介します。
フタ付きの水槽
まずは、フタ付きの水槽を用意しましょう。ザリガニは「脱走名人」ともいわれるほど、すぐに水槽から逃げ出すからです。高さが30㎝以上で、しっかりとフタが閉まる水槽を選んでください。また、共食いを避けるため単独飼育をおすすめします。
隠れ家
ザリガニが身を隠せる場所として、隠れ家があるとよいでしょう。隠れ家は、ザリガニのストレスを軽減させ、拒食や病気、脱皮不全などの防止にもなります。自分の体よりも、やや大きいサイズのものを好むようです。
砂・石・流木
水槽の中には水深5~6cmの水を張ります。水槽の底に敷く砂もあったほうがいいでしょう。ザリガニは、短い触角の根元に砂を入れ、体のバランス感覚を調節しているため、できる限り小粒の砂を選ぶようにしてください。隠れ家になったり、足場になったりする石や流木もケースに入れましょう。
ザリガニの餌の与え方
ここからは、ザリガニの餌の与え方についてご紹介していきます。食欲旺盛なザリガニに餌を与えることは、そんなに難しくありません。ただし、よく食べるからといって、餌を与えすぎてしまうのは控えましょう。
餌の量
1日1回を目安にして、食べ残さないくらいの量を与えましょう。ザリガニは、餌を少しずつかじりながら食べるため、食べ残りが出てしまうと、ケースの中の水質を悪化させる原因になってしまいます。1時間を過ぎても食べ残しがあれば、餌の量が多すぎると考えられます。
餌の交換頻度
ザリガニが食べ残した餌はとりのぞいてください。餌をそのままにしておけば、水の汚れや臭いがひどくなり、雑菌を増殖させ、ザリガニの健康を害してしまいます。
ザリガニが餌を食べない原因と対策
ザリガニが餌を食べないと、心配になってしまいますね。ザリガニが餌を食べない原因と対策を知っておきましょう。
飼育ケース内の環境が悪い
ザリガニが餌を食べないことがあります。その主な原因としては、水温の問題や水質悪化などから、体が弱っていることも考えられるでしょう。水の温度は24度前後をキープして、週に1回は水の交換を行うように心がけましょう。
餌に飽きている、脱皮前
餌に飽きていたり、脱皮前も食欲が落ちたりします。餌を変えてみたり、脱皮が終わるまでは干渉を控えるようにしてください。また、殻にツヤがなくなっている場合は、寿命を全うしようとしているのかもしれません。
ザリガニを飼うのなら、最後まで愛情と責任を持って
餌の与え方と快適な飼育環境を整えてあげれば、誰でも飼うことができるザリガニ。脱皮を繰り返し、見る見る間に大きくなる姿を見ることで、自然の神秘にふれ、感動を覚えることでしょう。
しかし、最もポピュラーな外来種のザリガニ2種(アメリカザリガニとウチダザリガニ)は、「日本の侵略的外来種100選」に選ばれている生き物でもあります。「思っていたよりも大きくなり過ぎたから」「もう飽きた」といった身勝手な理由から、むやみな放流することは、地域の農業被害や生態系を破壊する行為につながるため、絶対にやってはいけません。飼育する以上、しっかりと責任を持って、ザリガニを最後までかわいがってあげてくださいね。
文・構成/HugKum編集部