いつの間にか随分耳慣れてしまった「モンスターペアレント」というワード。
子育て中のママやパパの中には、モンスターペアレントの所業を目の当たりにしたことがある人や、「わたしってもしかしてモンペ?」と不安になった経験がある方もいるかもしれません。
今回は、育児中のママパパにとって身近な「モンスターペアレント問題」を徹底リサーチ。
HugKum読者のママパパから寄せられたモンペ体験談から、モンペトラブルに巻き込まれたときの対応方法、そして、モンペにならない・モンペ扱いされないために気をつけたいことまでを一挙にお伝えしていきます。
目次
モンスターペアレントとは? 度を超えた過保護&過干渉
「モンスターペアレント」とは、一般的に、学校などの教育機関に対して理不尽な要求をする親のことを指します。
最近では「モンペ」と略され、日々のニュースやドラマの題材に取り上げられることもあるほど、大きな社会問題として波紋を呼んでいます。
「モンスターペアレント」という言葉の意味&由来は?
「モンスターペアレント」と呼ばれる人たちの理不尽さは、主にわが子への度を超えた過保護から生じているもの。学校教育等への行き過ぎた干渉と、あまりの身勝手な要求からこのような呼び名が浸透してしまったようです。
まるでモンスター? 本当にあったモンペ体験談
そんな「モンスターペアレント」と呼ばれる人たちは、具体的にはどのような問題を引き起こしているのでしょうか。
ここでは、アンケートに寄せられた、HugKum読者のママパパが実際に目の当たりにしたモンペ体験談をご紹介します。
子どもを注意したら、烈火の如く逆ギレされた
まずは、よそのお子さんに注意をしたら凄まじく怒られたというこちらのエピソード。仕方なく注意したはずなのに、返ってきたのはまさかの理不尽なリアクション! 詳しい状況はわかりませんが、ちょっとびっくりしてしまいますよね。
忘れ物がないように毎日家に電話をかけさせる
こちらは学校の先生に対する驚きの要求。
他にも生徒がいる中、たったひとりに特別な待遇を強いられる先生に、ついつい同情してしまいます。
毎日のように先生に電話して子どもの様子を確認する
子どものことが心配な気持ちは勿論わかります。しかし、それが行き過ぎて過干渉になってしまったり、毎日、先生の業務に支障をきたしてしまうのは困りもの。心配性もほどほどにしてほしいですね。
モンスターペアレントの特徴とその心理
みなさんの体験談から、どのような人が「モンスターペアレント」と呼ばれるかイメージできたでしょうか。もちろんさまざまなケースが考えられますが、ここでは、よく言われるモンスターペアレントの特徴と、想定されるその心理をまとめてみました。
子どもへの想いが行き過ぎてしまう
自己中心的なほどの子どもへの過干渉と過保護は、モンスターペアレントの代表的な特徴です。親なら誰だって自分の子どもが大切なものですが、その想いが行き過ぎてしまい、冷静さを欠いているのかもしれません。
ネグレクトゆえの責任転嫁も
学校や先生への責任転嫁もモンスターペアレントの代表的な特徴のひとつです。このタイプのモンスターペアレントには、自分が育児放棄をしていたり、ネグレクトをしているケースが多いと言われています。
親自身が問題を抱えている
たとえば、仕事と家庭のことがうまく両立できていなかったり、育児のことを相談する相手がいなかったり…
だからといって許されることではありませんが、親自身が問題を抱えていて、そのストレスを学校や先生にぶつけているパターンは珍しくないようです。
教育現場に偏見を抱えている
なかには、自分の経験やなにかしらの原因によって、教育現場に強い不信感や偏見を抱えている例もあります。学歴などのステータスで判断し、先生を見下して身勝手に振る舞う悪質なモンスターペアレントもいるようです。
なぜ? モンスターペアレントが増えた原因
ところで、なぜ、モンスターペアレントは社会問題になるほどに増えてしまったのでしょうか。
その理由は、時代や社会の変化に起因しているかもしれません。
核家族化や人との繋がりの希薄化
近年の日本では、夫婦とその子どもだけで構成される「核家族」が増えつづけています。さらには、昔に比べると、ご近所づきあいも減少。夫・妻以外に、育児の悩みを相談できる相手が身近におらず、夫婦で顔を合わせる機会もあまりない……。こうした社会の変化によるママやパパの孤立化も、モンスターペアレントの増加の一因として考えられています。
学校に対する感覚の変化
また、昨今、ニュースや新聞で、いじめや教員の不祥事が報道されることは、もはや珍しいことではなくなってしまいました。こういった問題による不信感の積み重ねにより、「教師」や「学校」という存在が威厳を失いつつあることも、モンスターペアレントが増える原因と言われています。
モンスターペアレントが子どもに与える影響
学校での理不尽な振る舞いは決して許されることではありませんが、モンスターペアレント化してしまう親御さんにも、なにか事情はあるのかもしれません。
しかし、それでもモンスターペアレントには絶対になるべきではない理由があります。
それは、親のモンペ化によって、子どもに悪影響が及ぼされることです。
子どもの成長のきっかけを奪う
過保護なモンスターペアレントは、本来であれば子ども自身で解決すべき問題にも、その都度干渉してしまいがち。毎度のこととなると、お子さんが「自分で問題を乗り越える力」をいつまでたっても身に付けられません。
何でも他人のせいにしてしまう
なにかのトラブルの際、「自分が悪いときもある」ということは、子どものうちから分かっておきたいもの。
しかし、親がむやみにクレームを入れる姿を見て育つと、「悪いのはすべて他人」という考えが自然と身についてしまいます。たとえ自分に落ち度があっても、それを認められない大人になってしまうかもしれません。
子どもの人間関係を崩壊させてしまうおそれも
子どもにだって、メンツがあります。
親が職員室に理不尽なクレームを入れてばかりいると、お子さん自身が学校に対して引け目を感じてしまうかもしれません。また、先生や他の生徒から白い目で見られたり、警戒されてしまったり…。
子どものためにモンペ化していたとしても、そのことによって、子どもの学校生活を壊してしまいかねないのです。
モンペトラブルに巻き込まれたら…? 対応方法もチェック!
もしもモンスターペアレントから、不当なクレームや理不尽な要求を突きつけられたら…? いつ起こるかわからないトラブルに備え、対応の仕方をシミュレーションしておきましょう。
一人で対応しない
無理に一人で対応すると、相手がさらに強気に出てきたり、後々「言った・言わない」のさらなるトラブルを生んでしまう可能性があります。
モンスターペアレントに対しては、必ず複数人で対応するようにしましょう。その内のひとりは記録係に徹してもいいかもしれません。
理不尽な要求は受けない
理不尽な要求は、一度受け入れてしまうとキリがなくなってしまうおそれがあります。周囲から反感を買うおそれもあるので、きちんと話を聞いて、おかしいと思った要求に関してはしっかりと断るようにしましょう。
しかし当然のことながら、その要求が正当だった場合は誠実な対応が必要です。
モンスターペアレントにならない・モンペ認定されないためには
ここまで読んで、今後、学校になにかを指摘しただけで自分がモンペ認定されないか不安になった方もいるかもしれません。周囲からモンスターペアレントと思われないためにはどうすればいいのでしょうか。
意見・要求は悪いことではない
正当な理由があって学校や先生に意見をすることは、決して悪いことではありません。先生だって人間なので、指摘されて初めて気がつくこともきっとたくさんあるはず。気になることを伝えたり、お願いしたり、心配ごとを相談すること自体にはなんら問題ありません。
ただし、伝え方には注意!
ただし、それを伝える際、感情的になったり、相手を傷つけるような言い方は絶対にしないように注意しましょう。なにかを要求する場合は、はたしてそれが理不尽ではないか、自己中心的ではないか、一度冷静に考えてみることも大切です。
問題は多角的に考える
子ども(わが子)視点で語られる学校でのトラブルは、それだけではその後の対応を判断しにくい場合があります。
傷ついたお子さんのことはもちろんケアしつつ、先生や関係する人たちにも一度相談してみるといいかもしれません。わが子視点の話に感情的になりすぎず、問題はできるだけ、冷静かつ多角的に考えるようにしましょう。
伝え方に注意を払いながら、適切なコミュニケーションを
深刻化するモンスターペアレント問題。しかし、「モンペ扱い」されることをおそれて、心配ごとを抱える親御さんたちが先生とコミュニケーションを取らなくなってしまうこともまた、同じくらい重大な問題です。
大切な子どもを預けているのだから、不安や不満を抱くことは自然なこと。必要なときは決して我慢せずに、伝え方には十分に注意しながら、先生方としっかりとコミュニケーションを取ってくださいね。
構成・文/羽吹理美