牡蠣を冷凍する際の注意点
なんといって恐いのは食あたりですね。新鮮でもあたる事があるのが牡蠣ですから、冷凍した際は「殻つき」、「生食用」に関わらず、加熱して食べることを前提にしてください。
安心して食べられる対策と知識を確認していきます。
ノロウイルスとは
牡蠣は1日に240リットル以上の海水を取り込み、エラを通過させることでプランクトンを食べています。この時、ノロウイルスも一緒に取り込まれ、牡蠣の身に蓄積しています。もともとの発生原因は、河川、海に流された人間の生活排水です。ノロウイルスとは、人間の腸管細胞でしか増えることができないものなのです。
そして、保健所によって規定され、衛生管理がされた海域で育った牡蠣だけが、「生食用」として販売されます。こうした理由から、生牡蠣を食べるなら「生食用」を用い、「加熱用」は生のままでは食べられないのです。
ご家庭でのノロウイルスへの対処は、調理の際に十分な加熱をすることです。食あたりのほとんどは、生牡蠣などの非加熱料理と、加熱が不十分だった場合です。
また、気をつけなくてはいけないのは、症状が治まった後や、無症状だった人でもウイルスを排出すること。なんと、その期間は1週間〜1か月程度。手洗いなどの基本的な衛生管理も大切です。
世界をみても、生牡蠣のノロウイルス規格を設けている国はありません。近年は牡蠣を原因とする食中毒が減少しているそうですから、いたずらに怖がり過ぎないよう、衛生管理を徹底しておいしくいただいてくださいね。
冷凍焼け
牡蠣の冷凍は1か月の保存期限が目安です。牡蠣に限らず、冷凍保存が長引けば霜の発生や味の劣化はまぬがれません。できるだけ早めに調理してください。
加熱時間
ノロウイルスは90秒以上、90℃の加熱で死滅する、と覚えておいてください。不十分な加熱では、逆に活性してしまう恐れがあります。また、中心部まで熱を通す意識を忘れてはいけません。
牡蠣小屋などで、温度計を渡され、ご自分で刺して確かめながらいただくお店もあるんですよ。
殻付きの牡蠣を冷凍する
それでは、冷凍方法を詳しくご紹介します。殻に触る時は怪我をしないよう、軍手が必需品です。
冷凍方法
【1】牡蠣の貝殻をよく洗い、汚れがあれば落としてください。その後、水気を拭き取ります。
【2】ボートの底状に丸みがあるほうを下にして、冷凍用保存袋に詰めます。あとは冷凍庫へ入れるだけ。簡単ですね。
フライパンでの解凍方法
失敗が少なく、味を保ちやすい方法がこちらです。
【1】テフロンのフライパンは、傷がつかないようにキッチンペーパーを下にひいて防ぎます。
【2】冷凍した殻付き牡蠣を並べます。殻の丸いほうを下にしてください。
【3】200㏄程度の水を入れ、強火で加熱します。フタをして蒸気で蒸します。吹きこぼれないように注意。
【4】殻に隙間が開くまで続けてください。
【5】粗熱が取れたら殻をはずす工程へ進みます。まだ加熱が不十分ですからこのまま食べず、調理してしっかりと火を通してください。
電子レンジでの解凍方法
簡単なのは電子レンジでの解凍です。
【1】耐熱皿に牡蠣を置いて、ふんわりとラップをかけます。ボートのように、お皿に浮かべる感じで置いてください。
【2】牡蠣1個なら、500wで4分程度の加熱をします。大きさで違いがありますが、殻が少し開くまでを目安に、10〜20秒ずつ再加熱してください。加熱しすぎはよくありませんので、なかなか開かない場合は殻をはずす工程に進んでください。
加熱が不十分ですから、再度しっかりと火を通してからいただきます。
殻のはずし方
殻のはずし方は難しいようですが、やってみると案外簡単です。
【1】用意するのは、牡蠣用のナイフがあれば最良です。なければ洋食ナイフかマイナスドライバーなどで代用できます。
殻で怪我をしたり、作業台を傷つけたりしないよう、軍手とタオルを用意します。
【2】殻の形を確かめてください。ボートのように、膨らんでいるほうを下、平らなほうを上に向けて、タオルの上に置きます。
【3】貝の隙間を探し、ナイフを差し込みます。くれぐれも、怪我には注意!
【4】上側の殻にくっついている貝柱を切ります。切れたら上側の殻を外してください。キレイなオイスターグレイの身が見えてきます。
【5】下側の貝柱も同様に切り離せば、ツルンと身がはずれます。
牡蠣のむき身を冷凍する
基本的な、むき身の冷凍方法をご紹介します。
牡蠣の下処理
【1】用意するものは、ボウル、水(400cc)と、塩(小さじ1)。
【2】割れた殻を流すために、ざっと流水で牡蠣の身を洗います。
【3】ボウルに牡蠣の身を入れ、塩をかけます。水を入れ、手で優しく洗ってください。
【4】【3】の水を捨て、きれいな水で2〜3回すすぎ、キッチンパーパーで水を拭き取ります。これで下処理ができました。
冷凍方法
【1】バットにラップを敷き、牡蠣が重ならないように並べます。
【2】上からラップをかけて冷凍庫へ入れます。
【3】1時間後に、冷凍用保存袋にまとめて移し替えれば、バラバラのまま冷凍ができます。
解凍方法
解凍は、身の表面が柔らかくなる程度で十分です。
【1】冷凍庫から出した袋のまま、冷蔵庫に入れて解凍します。
【2】または、袋をボウルに入れ、水道水を弱く流して行う流水解凍もできます。
【3】この後、調理前にお酒をまぶしておくと、風味が増して身をふっくらと保てます。
牡蠣のチーズ焼き
バター焼き、炊き込みご飯、冷凍のままで使えます。解凍しないほうが旨味は流れませんよ。
ここでは冷凍のままチーズ焼きにする方法をみていきます。バター焼き、ガーリック焼きなどに応用してください。
材料
冷凍した牡蠣の身 10~15個
チーズ 100g
胡椒 適量
作り方
【1】スキレットにフライパン用アルミホイルを敷き、牡蠣を凍ったまま並べます。
【2】チーズをまんべんなく乗せ、グリルで9分焼いてください。
【3】お好みで胡椒をかけて完成です。
牡蠣をペーストにして冷凍
牡蠣の旨味をそのまま保てる方法としては、ペースト状の冷凍が最適かもしれません。
ペーストの作り方
オリーブオイルでパスタに、ミルクでクラムチャウダー風に、醤油、味噌ならご飯のお供に。なんでも合うペーストです。
材料
牡蠣 300g
酒または白ワイン 大さじ3
作り方
【1】むき身の牡蠣を鍋に並べ、酒を加えて弱火で20分程加熱します。
【2】水分がなくなったところで、火を止めて粗熱を冷まします。
【3】お好みの粗さになるまでフードプロセッサーにかければ完成です。
冷凍方法
適量ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
解凍と使用例
加熱料理に入れる場合は、冷凍のまま使うことができます。
そのままバゲットにつけて食べる時などには、自然解凍か電子レンジでの解凍がおすすめです。
牡蠣は通販もおすすめ
産地直送の通販なら、新鮮な牡蠣を手に入れるのも簡単です。お店によっては、牡蠣ナイフ付きの商品もあり、便利ですよ。
牡蠣は冷凍すれば長く広く味わえる食品
牡蠣はなるべく早く食べなくてはいけないという点に注意が集まり、冷凍保存はご存じなかった方も多いようです。大量にある場合は冷凍しておけば慌てる必要がなくなり、ゆっくりと味わえます。殻の処理は慣れるまで戸惑いますが、家族でワイワイ工程を楽しんでください。牡蠣にしかない旨味ですから、存分に味わいたいですね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)