2種類の化石について知識を深めよう
化石について子どもに質問されたとき、どのように答えれば、よいのでしょうか。化石の定義と種類を見ていきましょう。
そもそも化石とは
化石とは、昔の生物の体や生活の跡が、土に埋もれて保存され、現在まで残っている状態のものです。化石を観察すれば、過去に、どのような生物が地球に暮らしていたのかがよく分かります。
恐竜やサンヨウチュウなど、現存しない生物が過去にいたことが分かったのも、骨や殻(から)が化石となって残っていたおかげです。
また、化石が埋まっている地層を調べれば、その生物が暮らしていた場所の環境も推測できます。化石は昔の地球の様子を現在に伝えてくれる、貴重な資料なのです。
地層ができた時代が分かる「示準化石」
資料として用いられる化石には「示準化石(しじゅんかせき)」と「示相(しそう)化石」の2種類があります。
示準化石は、その化石を含む地層ができた時代の特定に役立つ化石です。例えば、ある地層から一定の期間のみ存在した生物の化石が見つかった場合、「この地層はその生物が存在していた時代にできた」と分かります。
一つの地層の年代が分かれば、その上下の地層についても、堆積時期を推測できるのです。
当時の環境が分かる「示相化石」
一方の示相化石からは、その生物が生きていた当時の環境が分かります。示相化石の代表は、サンゴやシジミ、ブナの葉などです。
サンゴは温暖で浅い海に暮らす生物なので、地上でサンゴの化石を含む地層が見つかった場合、その地域は当時、温暖な浅い海だったと推測できます。
海水と淡水が混ざる場所を好むシジミや、温帯のやや寒冷な地域に生えるブナも、サンゴ同様に当時の環境を現在に伝えてくれます。
示準化石には、どんなものがある?
地層の年代を特定できる示準化石となったのは、どのような生物なのでしょうか。示準化石に選ばれる条件と、時代別の代表的な化石を見ていきましょう。
三つの地質時代に注目
「地質時代」は、地球に地殻(ちかく)が形成されてから現在までの「時代区分」を指します。古い順に大きく、「先カンブリア時代」「古生代」「中生代」「新生代」の四つに分かれています。
先カンブリア時代より後の3時代を分ける基準となったのが、示準化石です。三つの時代それぞれに、示準化石が定められ、地層の年代推測に役立っています。
示準化石になれる化石の条件は二つ
「示準化石」になるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・ある時期だけ繁栄し、一気に絶滅した
・広い範囲に生息していた
長い間存続した生物では、化石が埋まっていても地層の堆積年代を特定できません。また、生息範囲が狭いと特定の場所でしか発見できず、他の地域との比較が困難です。
このため、地球全体で一気に増えて、ある時期を境に一気にいなくなった生物が、示準化石として選ばれています。
古生代、中生代、新生代の代表的な示準化石
3時代の代表的な示準化石は、以下の通りです。
・古生代:サンヨウチュウ、フズリナ
・中生代:アンモナイト、恐竜、トリゴニア
・新生代:ビカリア、ナウマンゾウ、マンモス
この中には、日本で見つかったものも多く、博物館や科学館などに展示されています。
示準化石の覚え方
時代毎の示準化石を覚えておくと、子どもに聞かれても、すぐに教えてあげられます。新しい化石発見のニュースも、楽しく見聞きできるでしょう。
示準化石は語呂合わせで覚えよう
示準化石はテストに出やすい項目なので、覚えるための語呂合わせが、いくつか考案されています。主な例を紹介するので、チャレンジしてみましょう。
時代名と化石の名前を順番に覚えたいときは、次の二つがおすすめです。
・「古い財布空き地でしなびた」:古い(古生代)財布(サンヨウチュウ、フズリナ)空き地で(アンモナイト、恐竜、中生代)しなびた(新生代、ナウマンゾウ、ビカリア)
・「新ナビちあきの夫婦さん」:新(新生代)ナビ(ナウマンゾウ、ビカリア)ち(中生代)あき(アンモナイト、恐竜)の夫(古生代)婦さん(フズリナ、サンヨウチュウ)
化石名だけを覚えるなら、こちらも分かりやすいでしょう。
・「不況で貧乏、三食アンマン」:不(フズリナ)況(恐竜)で貧乏(ビカリア)三食(サンヨウチュウ)アン(アンモナイト)マン(マンモス)
示準化石は地層の時代を知る手がかり
同じように見える化石でも、元となる生物の種類によって、まったく異なる情報を持っています。特に示準化石は、地層ができた時代を知る手がかりとして、大変重要です。
子どもと一緒に化石を通して、数万年前の地球の様子を想像してみると、面白い発見があったり、豊かな想像力が養えたりするかもしれませんね。
化石についてもっと知るための参考図書
小学館 ドラえもん科学ワールド「生命進化と化石の不思議」
小学館の図鑑NEO「岩石・鉱物・化石」
小学館の図鑑NEO 新版「恐竜(DVDつき)」
草思社「楽しい地層図鑑」
構成・文/HugKum編集部