子どもの想像力を鍛える方法は? おすすめの遊びと親にできること

子ども時代に鍛えられた想像力が、一生の財産となることを、私たち大人はよく知っているはずです。子どもの想像力を育み、鍛えるために、親は何をするべきでしょうか。想像力を鍛える遊びや、親の接し方を紹介します。

そもそも想像力とは?

想像力とは、具体的にどのような力を指すのでしょうか。同音異義語「創造力」との違いも合わせて解説します。

目に見えないものをイメージする力

想像とは、目に見えないものをイメージすることです。目に見えないものには、未経験の事柄以外にも、実在しないものや未来の姿など、誰も見たことがない事柄も含まれます。

例えば、竜やカッパは昔の人が想像した伝説上の生き物です。初めて行く場所の様子を思い描いたり、100年後の世界がどうなっているのかを予想したりするのも想像です。

創造力との違い

「創造力」は、独自の方法を用いて新しい何かを創り出す力です。想像は心の中でするものですが、創造したものは形となって残ります。

新しい何かを創るためには、想像力が欠かせません。また、創造する過程でさまざまな体験を重ねることにより、元々持っている想像力がさらに大きくなることもあります。

想像力と創造力とは、密接なかかわりがあるといえるでしょう。

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子どもの想像力を伸ばす方法

子どもの想像力を伸ばすヒントは、日常生活の中にあります。親が意識しておきたいポイントを見ていきましょう。

いろいろな経験をさせる

人が何かを想像するときは、過去の体験や学んだことを参考にするといわれています。

例えば、雪を触った経験がない人は、雪が冷たいことは知っていても、どの程度冷たいのかまでは分かりません。雪景色を想像するときも、白い風景を思い浮かべる程度で終わるでしょう。

しかし、雪に触れた経験があれば、手がかじかむほど冷たいことや、周囲の気温がとても低いことが分かります。風景だけでなく、雪国の暮らしの大変さや春が待ち遠しい気持ちまで、想像を広げられるのです。

いろいろな経験をさせてあげることで、子どもの想像力はぐんぐん伸ばすことができます。知識を増やすために、さまざまな年代の人と交流するのも有効です。

家族以外の大人や学年の違う友だちと触れあうと、多種多様な情報が自然に入ってきます。公園や児童館、地域のイベントなどに積極的に出かけるだけでも、想像力のトレーニングになります。

遊びを通して想像力を養う

子どもは遊ぶのが仕事といわれるほど、幼い頃の遊びは大切です。子どもは遊びを通して、さまざまな力を身に付けます。想像力も例外ではありません。

砂をご飯にしたり、動物を家族に見立てたりと、大人から見ればおかしな遊びをしているときも、子どもの心の中では想像力が養われています。

砂のご飯を持ってきた子どもに対して、大人が「砂は食べられないよ」と言ってはいけません。「じゃあ、お箸はどこかな?」と新たな問いかけをしてみましょう。子どもはどんなものが箸の代わりになるのかを想像し、探してきます。

パパやママにおいしく食べてもらうために、デザートまで用意してくれるかもしれません。このように、子どもが想像した世界を受け止め、さりげなく広げてあげる働きかけが大切なのです。

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想像力を鍛えられるおすすめの遊び

想像力を鍛えられる遊びは、身近にたくさんあります。おすすめの遊びと効果を紹介するので、子どもの成長や好みに合わせて取り入れてみましょう。

絵本の読み聞かせ

絵本には、子どもの想像力や感性を伸ばす力があります。お話を聞きながら、子どもは心の中で登場人物に共感したり、情景を思い浮かべたりと、たくさん想像しています。

話がどんどん進んでいくテレビや映画と違い、絵本の読み聞かせは子どものペースで進められる点もポイントです。分からないことはいつでもパパやママに聞けますし、お気に入りの場面を繰り返し読んでもらうこともできます。

読み終わった後に「この後、どうなったのかな」「あなたならどうする?」などと話し合えば、さらに想像が膨らみ、自分の考えを言葉にする練習にもなります。

お絵かき

手を動かす「お絵かき」は、想像力の他にも創造力や表現力、空間認識力など、さまざまな能力を鍛えられる遊びです。

口に入れても安全なクレヨンや、何度も描いたり消したりできるおもちゃなど、子どものお絵かき用品もたくさんあるため、小さな年齢から手軽に始められます。

お絵かきで想像力を養うポイントは、正解を求めない姿勢です。上手に描くことが目的ではないので、子どもの思うままに、自由に描かせてあげましょう。大人にはとても真似のできない、かわいい芸術作品が見られるかもしれません。

見立て遊びやごっこ遊び

見立て遊びとは、「しゃもじ」をマイクの代わりにして歌ったり、空き箱を電車にして走らせたりなど、身近なものを本物に見立てて遊ぶ様子です。赤ちゃんがひとり遊びを始める1~2歳ごろから、よく見られるようになります。

見立て遊びは成長に伴い、より複雑な「ごっこ遊び」へと発展します。ごっこ遊びの代表的な例が、おままごとやヒーローごっこです。

「夕飯を準備するお母さん」「悪者をやっつけにきたヒーロー」のように、シチュエーションや役割まで想像しながら遊びます。

自分が見聞きしたものを身近なもので見立てたり、真似したりする行為は、想像力が養われている証拠です。見立て遊びもごっこ遊びも、子どもの想像力が大いに発揮される遊びといえるでしょう。

そのまま見守るのもよいですが、大人も遊びに参加すると、子どもの想像力はさらに鍛えられます。「パパのお仕事は何にする?」「ヒーローはどこから来たのかな?」のように、考える材料を提供するのも有効です。

お話づくり

お話づくりはその名の通り、ストーリーを創造する遊びです。創造の過程で、自身の経験・知識を元にさまざまな想像を働かせるため、想像力のトレーニングに役立ちます。

お話づくりには難易度によって、さまざまなやり方があります。最も簡単なやり方は、人物や場所などの絵を描いたカードを使う方法です。カードの絵をヒントに次の展開を想像することで、子どもでも簡単にお話をつくれます。

例えば、最初に怒った顔の絵を選んだら、次にその人が怒っている理由や解決策を想像し、それにふさわしいカードを選んで話を組み立てていきます。

カードでのお話づくりに慣れてきたら、一からストーリーを考えさせてみてもよいでしょう。

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子どもの想像力を鍛える親の接し方

どんなに遊びや生活を通して鍛えようとしても、親の何気ない言動が、子どもの想像力の芽を摘みとってしまうケースがあります。自由な発想を妨げないために、子どもとの上手な接し方を見ていきましょう。

自由に遊べる時間と場所を与える

子どもの想像力を鍛えたければ、子どもの「自由」を尊重しましょう。自由に遊べる時間と場所が多いほど、子どもは遊びに集中でき、想像力が大きく育っていきます。

自由は「暇」と言い換えてもよいでしょう。習い事で忙しかったり、テレビばかり見ていたりすると、想像する機会が失われてしまいます。

遊ぶ場所も基本的には子どもに選ばせます。「遊ぶときは子ども部屋で」「遊び終わったおもちゃはすぐ片付ける」などの制限をかけてしまうと、子どもは集中できません。安全な場所であれば、どんなに散らかそうとも、遊び終わるまで見守りましょう。

言動や行動を否定しない

親には子どもが常識的な大人になれるように、間違いを正す務めがあります。しかし、言動を頭ごなしに否定されると、子どもは想像をやめてしまうかもしれません。

例えば、子どもが積木を上に積まず、横に並べて何かの形を作っていたとします。ここで親に「積木は積んで遊ぶものでしょ」と指摘されたら、子どもは自分が間違ったことをしたと思うでしょう。

他のおもちゃでも「正しい遊び方」が気になって、自由な発想ができなくなります。

反対に、「積木を並べるなんて、ママには思いつかなかった。よい考えだね」とほめてあげれば、もっと面白い作品を創ろうとする意欲が湧きます。

とはいえ、積木を投げるような危険な行為をしたときは、きちんと叱る必要があります。このとき、ただ叱るのではなく、「誰かにぶつかったら、どうなると思う?」のように、子どもに想像させるとよいでしょう。

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子どもの想像力は遊びで伸ばそう

想像力は誰もが持っている力ですが、伸ばせるかどうかは、子ども時代の過ごし方にかかっています。小さな子どもは遊びを通してさまざまな知識や経験を獲得し、想像の源にします。

親子で一緒に楽しく遊びながら、子どもの想像力をどんどん伸ばしてあげましょう。

構成・文/HugKum編集部

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