宿題の量は学力に関係ない⁉ ショッキングな研究結果から考える、効果的な宿題のやり方とは

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タブレット教材を展開する RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者である今木智隆さんは、ビッグデータをひもとくことで見えてくる「効果的な学習」の法則があると語ります。
今回は「宿題」の取り組み方について。そもそも宿題は学力にどう影響するのか、どんな取り組み方が学力やモチベーションを上げるのか、データに基づいたアドバイスをいただきました。

学校から帰ってきて、遊びに出かけようとしていたり、ゲームをしていたり、おやつが食べたいと言ってきた時、

「そんなことより、宿題はもう終わったの?」

ついついこんな言葉を投げかけていないでしょうか。

学校の成績やしつけなどを考えると、せめて「宿題」はやらせなければならない、という「親の務め」を意識されているからこそだと思います。

しかし、実はいくつかの統計によると「宿題をしても学力が上がらない」だけではなく「宿題は学力にマイナスの影響を及ぼす可能性がある」とさえ言われています。

そこで今回は、なかなか宿題をやらない、宿題嫌いなお子さんに対して、親御さんが気をつけるべきことついてお伝えします。

小学生にとって宿題とは?

宿題の効果はない⁉

宿題について、このような研究結果があります。

米国のレテンドル教授とベーカー教授の研究チームが40~50カ国の小学4年生、中学2年生、高校3年生を対象に、1994年と1999年の2回にわたって行った調査結果を分析しました。その結果、明らかになったのは、

「宿題の量と学力には、相関関係がない」

ということでした。つまり、宿題をたくさんやったからといって、子どもの学力には関係なかった、というわけです。

2016年、宿題の研究においての第一人者である、アメリカ・デューク大学のクーパー氏も同様の調査を行っています。

「宿題が学力向上に効果を与えるのは高校生以上であり、小学生や中学生においては、宿題をどれだけやっても成績が向上するという証拠は見つかっていません。」

高校生になってようやく宿題によって効果が出たとしても、1日2時間が限度で、それ以上宿題に時間をかけると、効果は下がってしまうようです。

宿題は真面目な子ほど学力を低下させてしまう

宿題の多くは、その日に学校で習ったことが出題されます。

しかし、お子さんがもしもその日の授業で習ったことを理解できていなかったとしたら…宿題が出来るはずがありませんね。

その場合は、宿題をやらなくてはいけないことは理解していても自分の力ではどうにもならず、教えてくれる先生もいません。

困っているところに、親から

「早く宿題をやってしまいなさい」
「どうしてわからないの?今日学校で習ったんでしょ!」

と畳みかけられてしまいます。やろうという意思はあるのに、宿題をやっていないと言われ怒られてしまう。

こんな状況が続けば、宿題だけでなく、勉強に対するモチベーションが下がってしまって当然です。そしてモチベーションの低下と共に、学力も下がっていってしまいます。これは真面目な子ほど強い傾向にあります。

また、もし宿題がすいすい解けるのであれば、その単元の理解は十分ということになります。十分に理解しているのなら、敢えて時間をかけて復習をする必要はありませんね。

宿題は、先生側が学んだことを理解できているかどうかを確認するのには有効かもしれませんが、わかっている子どもにとっては空欄を埋めるための作業になってしまいます。こちらも学びへのモチベーションを低下させてしまいます。

宿題は、理解していない子どもだけでなく、理解している子どもにとってもモチベーション低下の可能性を含んでいるのです。

それなら宿題はやらなくてもいい?

ここまで読むと、では宿題はやらなくてもいいの?と思われるかもしれません。

しかし、先生との約束事であったり、学校の成績にも関係してくるものですから、さすがにお子さんに宿題はやらなくてもいい、とは言えないでしょう。

理解している、または理解できていない単元の宿題はモチベーション低下の危険があるものの、漢字などの暗記項目において、宿題は一定の効果を発揮します。

また、毎日のように出る宿題をやることにより、学習習慣の定着が図れるというメリットもあります。

宿題は避けることはできないものですが、やり方に工夫をしてみましょう。

効果的な宿題のやり方は?

宿題は多くの場合、「子どもだけですること」になっていると思います。ですが、これからは子ども一人だけでやらせずに、是非親御さんも手伝ってあげてください。

宿題をする我が子を見守り、わからないことは一緒に考える

前述のように今日の学校での内容が理解できていない子は、宿題の空欄を埋めることが出来ません。空欄を埋めなければ、宿題が終わらず親に怒られてしまいますから、適当な回答を記載して、空欄を埋めることになります。

そうなってしまうと、宿題は適当に終わらせる、という悪い癖がついてしまいます。その上、先生から間違いだらけの宿題について注意されるわけですから、自尊心がどんどん傷つけられてしまいます。

そうならないためには、宿題は一人でやらせないことです。

例え、食事の準備をしている間に宿題をやるとしても、近くにいてあげて、わからないことがあればすぐに質問を受けることができるようにしましょう。教えることが出来なくても構いません。一緒に考えてあげてください。

そして理解できていない単元があることがわかったら、理解することができるまで、先生の力も借りながら寄り添ってあげてください。

「宿題嫌い」から「勉強嫌い」にならないようにサポート

宿題は、子どもたちができないことを無理やりやらせる側面を持っています。できないことを無理やりやらされたら、勉強に限らず嫌いになってしまうでしょう。それは子どもたちだけでなく大人でも同様です。

「宿題が嫌い」が「勉強が嫌い」にならないように、親御さんがサポートしてあげてください。

例えば国語の宿題の定番である音読。私の知人に、読み書き障害(ディスレクシア)のお子さんをお持ちの方がいます。この方の場合、親が音読し、子どもに聞かせることで宿題ができた、としています。

子どもの宿題だからと、できないことを無理やりやらせればこの子は「音読が嫌い」から「国語も嫌い」になってしまうかもしれません。

「宿題が嫌い」を「勉強が嫌い」にしないことが一番大切なのです。

まとめ:「宿題をやりなさい!」から「宿題一緒にやろう」に変えてみましょう

学校で勉強して帰って来た子どもにとっては宿題は嫌なもの。心配するあまり「宿題はやった⁉」と強く言えば、「今やろうとしてたんだよ!!」と喧嘩になりがちです。

しかし、宿題は親御さんのサポートなくしては進みません。子ども一人ではやらせず、一緒にやってあげるようにしてください。

そうは言っても忙しく働き、家でも家事をする生活の中では、「毎日忙しくて大変なのに、子どもの宿題まで見ていられない」とも思いますよね。しかし、それなら子どもが宿題をやらないことをとやかく言えないのではないでしょうか。大人が面倒だと思うことは子どもも面倒と思って当然、強要することはできないですね。

これからは是非「宿題をやりなさい!」の口癖を「宿題一緒にやろう」や「宿題手伝うよ」に変えてみましょう。それだけでもお子さんのモチベーションは変わるはずです。

記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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構成/HugKum編集部

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