世界で5番目に小さい国・サンマリノ。3つの塔やロープウェイなど、世界最古の共和国の実態【HugKum世界紀行】

国土の周りをすべてイタリアに囲まれた小さな国「サンマリノ」。面積は東京・世田谷区と同じくらいしかありません。本記事では、サンマリノの基本情報から、見どころや有名なものまでご紹介します。

サンマリノってどんな国?

サンマリノは、周りをすべてイタリアに囲まれた、世界で5番目に小さい国です。世界最古の共和国とされています。人口は3万人程度ですが、ユネスコの世界遺産に登録されるほどの美しい街並みが特徴で、1700年間、一度も戦争をしたことがないと言われています。

これからサンマリノについて、詳しく見ていきましょう。

サンマリノ基本情報

まずはサンマリノの基本情報からご紹介します。

国名

サンマリノ共和国

首都

サンマリノ

場所

イタリアに囲まれている非常に小さな国です。

サン・マリノの周辺地図

日本との時差

8時間(日本のほうが8時間進んでいる)

面積

61.2平方km

日本の面積の約6200分の1しかありません。日本の総面積は378,000平方km。

エリア

サンマリノは9つのカステッロ(城)に分かれています。しかし首都は「市」で表記される場合が多いため、8つのカステッロと1つの市で構成されていることになります。

人口

33,614人(2022年1月時点)

言語・公用語

イタリア語

通貨

ユーロ

1ユーロ=約142円(2023年3月14日時点)

宗教

カトリック教

サンマリノの国旗。白はティターノ山の雪と純粋さ、水色は空とアドリア海を表しているといわれる。 中央の国章は、盾の中に3つの丘と3つの塔。国の標語であるラテン語「LIBERTAS(自由)」の文字も。
サンマリノの国旗。白はティターノ山の雪と純粋さ、水色は空とアドリア海を表しているといわれる。 中央の国章は、盾の中に3つの丘と3つの塔。国の標語であるラテン語「LIBERTAS(自由)」の文字も。

歴史

・4世紀初頭、マリーノという石工がキリスト教の信徒を集めて共同体を作ったことが建国の伝説とされている。
・1600年、憲法制定。
・1631年、ローマ教皇から独立的地位を認められる。
・1862年、イタリアとの有効善隣条約を結び、独立を果たす。
・1988年、欧州評議会に加盟。
・1992年、国際連盟に加盟。

天気・気候

サンマリノは地中海性気候に属し、温暖で降水量の多い気候が特徴です。夏季は気温が上がり乾燥し、冬は比較的温暖で降水量が多くなります。また、海からの影響を受けて湿度が高くなる時期もあります。

サンマリノの治安・住みやすさ

サン・マリノの横断歩道は国旗と同じ青と白。
サン・マリノの横断歩道は国旗と同じ青と白。

気になるのはやはり治安や住みやすさです。詳しく見ていきましょう。

治安はいい

外務省からの危険情報が発表されておらず、治安が安定しているといえます。テロや誘拐事件も発生していません。市街地や旧市街では、警察官による巡回も行われています。

しかし治安がいいとしても油断は禁物です。窃盗やスリ、置き引きが発生する可能性があるため、自身の荷物管理はきっちり行っておきましょう。

住みやすさもいい

治安がいいうえに生活環境が優れていることから、たいへん住みやすいといえます。国自体の経済成長率が高いため、失業率が低く、温厚な人が多いのです。医療機器や設備が整っており、国民の平均寿命は高めとなっています。

物価は、人気の観光地のためやや高めです。しかしそれほど日本の物価と大差がなく、倹約を意識すれば大きな問題はないでしょう。

サンマリノの見どころ・観光

サンマリノの見どころや観光スポットを見ていきましょう。

グアイタの塔

サンマリノの国旗には3つの塔が描かれていますが、その中の1つがグアイタの塔です。3つの塔がティターノ山に山道でつながっており、最初に辿り着くのがこの塔です。かつて要塞として建てられたもので、とくに17世紀の「マラテスタ家」との争いにてサンマリノの防衛で重宝しました。

グアイタの塔

ここでは小さい独房を見学できるほか、美術展が開催されていることもあります。ティターノ山の頂上にあることから絶景も望めます。

チェスタの塔

3つある砦の中央に位置するのがチェスタの塔です。別名、第2の塔と呼ばれています。チェスタの塔の入り口付近には、紋章が石に彫られています。

塔を登ると、暖炉や武具などの展示があります。さらに急な階段を登ると、グアイタの塔や街並みを見下ろせる展望スペースが現れます。天気がよければ海も見えるため、観光する際には晴天の日を選ぶことをおすすめします。

チェスタの塔

モンターレの塔

3つある塔の中で最も小さな塔の「モンターレの塔」。別名、第3の塔と呼ばれています。モンターレの塔は、かつて刑務所として使われていました。

入口は高さ7mあたりにあり、中を見学することはできません。塔の内部は深さ8mの底になっており、そこに刑務所があります。要塞の中では小さいですが、重要な役割を果たしていたのです。

リベルタ広場

ティターノ山の頂上部で、旧市街の中心部にリベルタ広場があります。

リベルタ広場には「自由の女神」が建てられています。自由の女神といえば、アメリカにあるものを思い浮かべるでしょう。しかしリベルタ広場にある自由の女神像は、アメリカのものより古い時代に建てられており、「元祖」自由の女神といえます。クリスマスの時期になると、青いイルミネーションで装飾されるのも特徴的です。

共和国の議会場であるサンマリノ政庁も、リベルタ広場のランドマーク

サンマリノ大聖堂

「聖マリノ」が祀られた大聖堂です。1873年に建てられた建造物で、サンマリノの象徴となっています。

外見から内部まで白を基調としたシンプルな見た目で、「神聖な場所」だと認識させられます。ここでは、国家元首にあたる執政の就任儀式も行われます。

サンマリノ大聖堂

ロープウェイ

サンマリノではロープウェイに乗って、ティターノ山の旧市街地を目指せます。移動中にロープウェイから見える街並みは、たいへん美しいものです。オレンジの屋根の住宅と木々の緑がコントラストになっており、絶景を望めます。サンマリノを訪れたら、ぜひロープウェイを利用してみましょう。

1959年に開業したロープウェイ。観光客のほか、市民の交通手段としても使われる。
1959年に開業したロープウェイ。観光客のほか、市民の交通手段としても使われる。

サンマリノの特徴・有名なもの

ここではサンマリノの特徴や有名なものをご紹介します。

ワインとオリーブオイル

サンマリノでは、ワインやオリーブオイル、ハチミツの生産や消費量が多くなっています。ワイン造りの歴史は非常に古く、国が誕生する前から製造されていたとされます。サンマリノで独自にぶどうの品種改良が行われているのも特徴です。

オリーブオイルの生産も盛んです。国民ひとりあたりの年間消費量が約22kgと、世界で最も多いのが特徴的です。

コレクターから大人気の記念切手

サンマリノの記念切手は美しいことで世界的に有名です。有名人の「生誕〇周年切手」や「美術品を題材にした切手」が販売されています。コレクターにとって喉から手が出るほど人気の切手も存在します。産業の少ないサンマリノにとって、記念切手はいい収入源となっています。

消費税がかからない国

ヨーロッパ諸国では、消費税が20%以上かかることがほとんどです。そんな中、サンマリノは消費税がかからないため、ヨーロッパ各地の国を中心に、国外から多くの観光客が買い物に訪れます。

パスタ・エ・チェーチ

パスタ・エ・チェーチはサンマリノの郷土料理で、ひよこ豆を使ったパスタ料理です。キリスト教の教えに、鳥獣の肉を金曜日には食べないというものがあります。サンマリノはキリスト教の三大宗派に数えられる「カトリック教」を信仰する国民が多いため、肉を使わないパスタ・エ・チェーチが浸透していると考えられています。

ひよこ豆がふんだんに使われているため、十分タンパク質を補給でき、ボリューミーなので満足感も高めです。

旧市街の街並み

世界最古の共和国「サンマリノ」

サンマリノは歴史ある国です。観光が国の重要な産業となっており、多くの観光客が訪れています。消費税もかからないため、お土産をたくさん買えることも旅行先として魅力的でしょう。興味が湧いた方は、さらに詳しく調べてみてくださいね。

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文・構成/HugKum編集部

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