『おむすびころりん』はどんなお話? あらすじや教訓を紹介【大人なら知っておきたい昔話】

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『おむすびころりん』は、「おむすびころりんすっとんとん」のリズミカルなフレーズが有名な日本昔話の一つ。ストーリーを小さい頃に聞いたことはあっても、どんなお話なのか鮮明に覚えてる人は少ないのではないでしょうか? ここでは『おむすびころりん』のあらすじや、お話から学べる教訓を紹介します。

『おむすびころりん』とは

『おむすびころりん』は「おむすびころりんすっとんとん」のフレーズがおなじみの、日本昔話の一つ。アニメ化もされていたり、数多くの絵本も存在するメジャーな昔話なので、馴染み深い方も多いのではないでしょうか。

お話の内容は、白いネズミと優しいおじいさんの楽しい踊りのやり取りや、隣の意地悪なおじいさんとの対比など、単にストーリーが面白いだけでなく、「欲張りすぎると痛い目を見る」といった教訓も込められているお話です。

成立は室町時代?

『おむすびころりん』は、室町時代に成立したとされる短編の物語集『御伽草子(おとぎぞうし)』の内の一つと言われてます。

仏教的な要素を色濃く表現した内容のお話で、穴の中に落ちてしまったおじいさんが体験したのはねずみたちの世界でした。おじいさんが落ちた穴は「浄土への入り口」だったと言われている説もあります。

『おむすびころりん』の話は、本によっては若干ストーリーが異なる部分もあります。「意地悪なおじいさんは、最後モグラになって穴を永遠に掘り続けた」「意地悪なおじいさんは、出口を見つけられずに穴に閉じ込められた」という話や、「お土産はつづらではなく、お米が増えるしゃもじだった」など、伝承によりお話が若干異なる部分もあります。

登場人物

ここでは、『おむすびころりん』の登場人物を紹介します。

おじいさん

心優しい、働き者のおじいさん。

おばあさん

おじいさんと一緒に住んでいる、心優しいおばあさん。

白いネズミ

穴の中で暮らしているネズミ。おじいさんと一緒に餅つきを楽しんだ。

ネズミの親分

おじいさんにお土産をあげたネズミの親分。

隣人のおじいさん

優しいおじいさんの隣に住んでいる、強欲なおじいさん。

あらすじ

あるところに、心優しいおじいさんとおばあさんが仲良く暮らしていました。おじいさんが、山へしば刈りに行くというので、おばあさんはおむすびを作って渡しました。

お昼になり、お腹が減ったおじいさんは、おむすびを食べることに。ところが、包みを開いたとたん、おむすびがコロコロと地面を転がっていきました。慌てて追いかけますが、間に合わずにおむすびは穴の中に転がり落ちてしまったのです。

するとどこからか、「おむずびころりんすっとんとん」と楽しい声が聞こえてきました。穴の中から声がしていると気づいたおじいさんは、試しにもう一つおむすびを穴に落としました。

また楽しい歌が聞こえてきましたが、いつのまにか声がやんだので、穴の中が気になったおじいさんは、中を覗き込もうとしたところ、穴に転げ落ちてしまったのです。

穴の中には白いネズミが

おじいさんが落ちた穴の中には、白いネズミがたくさん暮らしていました。ネズミたちは、おじいさんの落としたおむすびで、お餅つきをしていたのです。「おむすびころりんすっとんとん、おじいさんも一緒にすっとんとん」。その光景を見たおじいさんは楽しくなり、一緒に歌ったり、踊ったりして楽しみました。

やがて餅つきが終わると、ネズミの親分が出てきて、おじいさんに「おむすびのお礼に、大きいつづらと小さいつづら、どちらか好きな方をお土産にお持ち帰りください」といい、おじいさんは小さいつづらを持ち帰りました。

おばあさんの待つ家に帰り、つづらを開けてみると、中身はなんとたくさんの宝物。優しいおじいさんとおばあさんは、お金持ちになりました。

強欲なおじいさんもおむすびを…

欲のない優しいおじいさんは、隣に住む強欲なおじいさんに「貧乏人だったのに、なぜお金持ちになれたのか」と尋ねられたので、全ての経緯を教えてあげました。すると、意地悪なおじいさんは、自分もネズミから宝物をもらおうと、おばあさんにおむすびを作らせて、わざとネズミの穴の中に落としたのです。

そして自ら穴の中に飛び込んだおじいさん。早速「おむすびころりんすっとんとん」と可愛らしい歌が聞こえてきましたが、餅つきが終わるまで待ちきれなかったおじいさんは、「早くつづらをよこせ」とネズミたちを怒鳴りつけると、穴の中は、しーんと静まり返りました。

ネズミの親分がおむすびのお礼を伝え、「大きいつづらと小さいつづら、どちらか好きな方をお取りください」と言いましたが、強欲なおじいさんは両方欲しくなったので、ネズミの苦手な猫の鳴きまねをして「にゃー」と叫んだのです。

驚いたネズミたちは大慌てで逃げていくと、穴の中は突然真っ暗に。欲張りなおじいさんはどんなに出口を探しても見つけられず、つづらをもらうどころか、家に帰ることができなくなったのです。

『おむすびころりん』を読むならこちら

読み聞かせや、子どもの読書として『おむすびころりん』を絵本で読みたい時に、おすすめの本を紹介します。絵の雰囲気や、言葉遣い、ストーリーも若干異なる部分もあるので、お好みのものを探してみてくださいね。

おむすびころりん (はじめてのめいさくえほん)岩崎書店

文・絵/いもとようこ

絵本作家いもとようこさんの、ほっこりした可愛らしいイラストが魅力の一冊。

おむすびころりん (日本名作おはなし絵本)小学館

文/富安陽子 絵/しらかたみお

昔の言葉が取り入れられた、昔話にピッタリのイラストの雰囲気。『おむすびころりん』の世界観に没入できる一冊です。

ココロが育つよみきかせ絵本日本の昔ばなし 名作50選 東京書店

文/小川こころ 絵/水野ぷりん 監修/田島信元

『おむすびころりん』だけでなく、他にも親子で楽しめる日本昔話がたくさん収録されています。

『おむずびころりん』から学ぶ教訓とは

『おむずびころりん』は、自分のしたことが良くも悪くも結果として全て自分に返ってくるという「因果応報」がわかりやすく描かれた作品です。

日本の昔話には『おむずびころりん』のように、「正直で優しい者が幸せになり、欲深い者が痛い目を見る」というパターンのお話が数多く存在します。このようなタイプのお話は、今も昔も共通認識の「優しい人に良いことがおこり、意地悪な人には良いことは起こらない、そんな世の中であって欲しい」という人々の願いを垣間見ることができますね。

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構成・文/吉川沙織(京都メディアライン)

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