歩く→走ることもできるようになり、大人のまねも大好き! イヤイヤ期真っただ中の子も多い2歳児。そんな2歳児のママはどんなことに悩んでいるのでしょうか?
Q. お友達におもちゃを貸す・返すができません
A. 無理やりはNG! まずは一言断りを入れて
2歳児は自己コントロール力が未熟なため、今、自分が遊びたい遊具やおもちゃをお友達に譲ることはできません。そのため「どうせ貸せないだろう」とママやパパが判断して、子どもが手にしているおもちゃを取り上げ、「はい、どうぞ」とお友達に返すということもありますよね。
しかし、子どもはそういう大人の行動を吸収し、別のシーンで「お友達からおもちゃを取ってしまう」ということもあるかもしれません。
まずは、必ず言葉で行動を促すようにしましょう。ただ、言葉で促したからと言って、すぐに子どもが行動できるわけではありません。そのため、「こうするのはどうかな?」と、代替案を提案していくのがおすすめです。
声かけ例
- 「〇〇くんはもう帰る時間だから、借りていたおもちゃを返そうね」
- ↓ それでも返さない場合
- 「そうしたら、お母さんと一緒に返しに行くのはどう?」
- ↓ それでも返さない場合
- 「もう返さなくてはいけない時間だから、手からおもちゃを取って返すね」
- 「あと3回やったら〇〇ちゃんに貸そうね。(3回やった後に)3回終わったから〇〇ちゃんにどうぞできる?」
- ↓ それでも貸さない場合
- 「〇〇くんは〇〇ちゃんにこっちを渡してくれるかな?パパはこっちを渡すね」
- ↓ それでも貸さない場合
- 「貸してあげるお約束だったから、パパがおもちゃを〇〇ちゃんに渡させてもらうよ。箱から取るね」
ひと言断りを入れずに大人の身体を使って即制止する場合
- 道に飛び出す、高いところから落ちるなど命の危険がある場合
- はさみなどを振り回す、固いものを投げつけるなど、他者に危険を及ぼす可能性がある場合
声かけだけで返したり、貸したりできる可能性は低いですが、だからと言って、断りもなく勝手に取り上げるのはやめましょう。「どうせ意味がない」と思ってしまうようなことでも、日ごろから習慣的に伝えていると、子どもはちゃんとインプットしていきます。
Q. 朝、着替えを嫌がって準備が進みません
A. 着替えが自分事化できていないのかも!
2歳児には数字の概念がまだないため、時計を使ったコミュニケーションが難しいことが多いです。
着替えのスタートは、洋服を選ぶところから! まずは洋服を置いてある場所や着替える場所の環境を整えてみるのはいかがでしょうか? そして、起きてから着替えまでの行動をルーティーン化するのがおすすめです。
着替えの環境の整え方
①洋服は3着ずつくらいに厳選
あまりたくさん洋服を置いておくと、自分で選べなくなったり、洋服を取り出すたびに引き出しの中が散らかったりします。子どもが洋服を選ぶ場所には上下の洋服と靴下を2~3組くらいを置くようにしましょう。
②低めのいすを準備
2歳児がズボンを履く時、床に座って履こうとすると、足を上げて履かなくてはならず、自分で履くことを諦めてしまうこともあります。そのため、子どもが着替える場所に20㎝以下の高さのいすやスツールなどを置いておくと、着替えやすさがアップ。そのいすを壁につけて設置すると、スムーズにズボンをんを履くことができます。
その日に着るものをママやパパが準備して「着替えて」と言ってしまうことで、子どもにとって着替えが他人事になってしまいます。洋服を自己選択することで、着替えが自分事となり、進んでやるようになります。その際、注意しなくてはいけないのが、子どもが選んだ洋服に対して「それは合わない」「こっちにして」などと言って、子どもの選択を反対すること。それによって子どもは無能感を持ち、選ぶことが嫌になってしまいます。どれを組み合わせてもOKな洋服を置いておくなど、事前に準備しておくといいですね。
Q. 思い通りにならないと泣いて手が付けられません……
A. 3ステップで子どもにかかわりましょう
3歳頃までの子どもは、言語を獲得している真っただ中で、言葉で気持ちを表現することが困難。日々、言語をインプットしているものの、それを適切な言葉としてアウトプットする力が未熟です。そういう時は、以下の3ステップを押さえてかかわるようにしましょう。
ステップ① 子どもの気持ちを受け止める
まずは「まだ遊びたかったんだよね」「お菓子を買って欲しかったんだよね」などと声をかけて、子どもの気持ちを受け止めてあげることが大切です。そうすることで、子どもは「わかってくれた」とどこかで安心することができます。いらだちの原因が分からない場合は「こうしたかったのかな?」と、気持ちを配慮するような声かけがおすすめです。
ステップ② 「してはいけないこと」に線引きをする
①で気持ちを受け止めたら、「でも、大きな声を出すと周りにいる人がびっくりしてしまうからやめようね」「ここに座っていたら邪魔になってしまうから立とうか?」と、してはいけないことやできないことを線引きします。①を省略したり、「だめ」「やめて」と子どもの行動を制したり、感情的に叱ってしまわないよう、ひと呼吸おくようにしましょう。
ステップ③ 子どもが行動を振り返るきっかけ作りを
子どもの気持ちが落ち着いたら、「今日はすべり台で遊べて楽しかったね。また公園に行こうね」「どんなお菓子が食べたかったの?今度見に行ってみよう」などと声かけを。そうすることで、子どもが行動を振り返るきっかけになります。また、泣く・叩くといった行動が見られた場合は、「次は『これがいやだ』って言葉で教えてね」と次につながる声かけを意識しましょう。
子どものフラストレーションの要因はさまざまで、いくつかの要因が絡み合っていることもあります。一概に理由を決めつけず、まずは受け止めることを意識してみましょう。そうすることで、「思い通りにいかずに泣いている」と映っていた子どもの姿が、少し違ったものに見えてくるかもしれません。
イヤイヤ期真っ盛り! 2歳児ママはお悩みもたくさん!
日々、周りを観察してさまざまなことをインプットしている2歳児。1歳の時よりもわかることが増える一方で、うまくアウトプットできないもどかしさも抱えています。「どんなことを伝えたいのかな」「何を嫌だと感じているのかな」など、子どもを観察していると見えてくることはたくさん! なんでもかんでも先回りしてやってあげるのではなく、子どもが困った時や助けを求めた時に、サッと手を差し伸べてあげたいですね。
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記事監修
モンテッソーリ教師あきえ
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。
あきえ先生主宰オンラインスクール「Montessori Parents」
取材/本間綾