「関節」にも種類いろいろ! 構造とメカニズム、健康に保つための方法をわかりやすく紹介【親子で人体を学ぶ】

関節とは、骨と骨がつながっている部分のこと。肩、ひじ、ひざ、足首、手首など、からだには68もの関節があります。そんな関節にはどんな役割があり、どんなメカニズムで動くのでしょうか? 関節を守るために気を付けるべきこととあわせてご紹介します。

関節とは?

まず、関節とはどんなもので、どんな役割があるのか見てみましょう。

関節の基本的な役割

私たちのからだの骨格を作っているのが骨です。人間のからだは約206個もの骨が組み合わさって支えられています。そして、それらの骨と骨をつなぐ必要があります。その連結方法には2つあります。

1つは、骨と骨がしっかり直接連結する「不動結合」と呼ばれるもの。頭蓋骨や恥骨などがこの連結方法にあてはまります。

そしもう1つの連結方法が、関節です。間接の場合は、骨と骨の間に小さな隙間があります。そんな間接があるからこそ、バラバラの骨同士をつなぎ、私たちはからだを動かすことができるのです。

関節を構成する部位とその機能

関節腔(青い部分)を満たしているのが滑液。
関節腔(青い部分)を満たしているのが滑液。

関節にある骨と骨の間にはわずかな隙間があるとご紹介しました。この隙間を「関節腔(かんせつこう)」と呼び、「滑液(かつえき)」という少量の液体で満たされています。

そして、それを「靭帯(じんたい)」と呼ばれる筋で補強しているのです。靭帯はコラーゲンと弾性繊維でできている、伸び縮みする組織で、滑液が潤滑油のように動きをなめらかにする働きがあり、これらのおかげで、なめらかな動きが可能になるのです。

さまざまな関節の種類と特徴

人間のからだにある関節は68個。それだけの数の「骨と骨のつなぎ部分」があるということです。では、主な関節の種類と特徴について見てみましょう。

ヒンジ関節:肘や膝のような動き

前から見た膝間接。
前から見た膝関節。

ひじ、ひざの関節は、ヒンジ関節と呼ばれます。英語の「ヒンジ(hinge)」とは、ちょうつがいのこと。片方の骨がへこんでいて、そのくぼみ部分に、もう片方の骨のでっぱっている部分がフィットするようにできています。

ドアについたちょうつがいをイメージするとわかりやすいのですが、骨は一方向にのみ動きます。ひじとひざは、内側には折り曲げられますが、外側には曲がらないのはそのような理由です。

球状関節:肩や股関節の自由な動き

前から見た肩関節。
前から見た肩関節。

肩や股関節は、「球状関節」または「球関節」と呼ばれるタイプです。

例えば肩の関節について見てみると、肩の関節には上腕骨(腕の骨)と肩甲骨、鎖骨の3つからできています。上腕骨の先端は球状になっていて、その骨頭(こっとう)と呼ばれる部分が肩甲骨のくぼみにはまっている構造です。

肩は、ひじやひざの関節に比べて動かせる範囲が広く、様々な方向に動かせます。その分だけ複雑な構造の関節と言えます。

平関節:手首や足首のスライドするような動き

内側から見た足関節。
内側から見た足関節。

手首や足首は「平関節」や「平面関節」と呼ばれます。間接部分が平面のようになっていて、前後、左右の運動が可能です。

車軸関節:回転できる関節

お箸2本があり、1本だけが回転できるようなイメージにあたるのが、「車軸関節」と呼ばれるタイプです。前腕の橈尺関節や首の第一頚椎と第二頚椎の関節がこのタイプ。

くぼみのある骨と、それにフィットする丸みを帯びた骨の組み合わせでできています。

関節が動くメカニズム

関節がどのようなものかわかってきたところで、次は関節がどうやって動くのか、動きのメカニズムについて見てみましょう。

関節軟骨の重要性

ブルーの部分が関節軟骨。なめらかな動きを助ける役割をしている。
ブルーの部分が関節軟骨。なめらかな動きを助ける役割をしている。

骨の関節面は、「関節軟骨」と呼ばれる軟骨で覆われています。間接軟骨は、約70%が水分でできていて、その他にはコラーゲン、グルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチンなどでできています。

間接軟骨はとても薄い構造ですが、腕を曲げたり、脚を曲げて走ったり、さまざまな動きをするときに、関節における摩擦を防いでなめらかに動くように機能しています。

関節液が果たす役割

関節には、関節液または滑液と呼ばれる水分もあります。この水分は、透明で少し粘りがある液体で、ヒアルロン酸やたんぱく質を含んでいます。滑膜(かつまく)と呼ばれる部分で産生されていて、潤滑油のようにスムーズな動きができるような役割を果たしています。

また、関節液(滑液)には、関節の中が傷ついたりダメージを受けたりしたときに、それを修復する役割もあります。他の部位なら、血液にのって修復に必要な栄養が届けられますが、関節には血管がないので、血流でそのような栄養が届けられません。そこで関節液(滑液)で修復に必要な栄養を届けているのです。

よく「ひざに水がたまっている」と耳にしたことはありませんか? この「水」の正体が、関節液(滑液)のこと。ひざになんらかの炎症が起こって、関節液(滑液)が異常に出てしまう症状が起きているのです。

筋肉と関節の連携

関節を動かすための筋が多く見られるヒジ関節の筋。
関節を動かすための筋が多く見られるヒジ関節の筋。

私たちがからだを動かすとき、筋肉が収縮してからだを動かすちからが生まれます。そしてその力は、腱によって骨に伝わり、骨が関節を軸に回転して動かせるようになるのです。

つまり、筋肉で生まれた力が骨に伝わって、関節が基軸となってその動きを支えているのです。私たちが何気なく動かしている、腕、手、脚などは、そんな筋肉と関節の連携プレーがあってこそなんです。

関節を守るための生活習慣

「ひざの関節が痛い」「肩の関節の調子がおかしい」などと、関節は異変を感じやすい部位かもしれません。間接が正しく機能しないと、私たちは自由にからだを動かすこともできませんよね。そこで、関節を守るために気を付けるべきことはないでしょうか?

正しい運動の取り入れ方

いきなりハードな運動はNG。まずはストレッチから
いきなりハードな運動はNG。まずはストレッチから

健康のためには、適度な運動を取り入れていきたいもの。そしてそんな運動は、関節の周囲の筋肉を強くして、関節を守ることにつながります。

ただ、いきなりハードな運動を始めるのは絶対にやめて。まずからだをほぐして固まった筋肉を動きやすくして、ひざ、首、肩などの関節をまわして、からだを慣らしていきましょう。

食事で関節を健康に保つ方法

カルシウム、たんぱく質など、バランスの良い食事が大切。
カルシウム、たんぱく質など、バランスの良い食事が大切。

健康的な関節を作っていくためには、栄養バランスのいい食事が大切です。

まずは、骨を構成するカルシウムを多く摂取できる小魚、牛乳、乳製品、ひじき、海藻などをとりましょう。また骨を構成するたんぱく質も欠かせませんから、納豆、豆腐などの大豆製品といった植物性たんぱく質、肉、魚などの動物性たんぱく質もぜひ組み合わせましょう。

さらに、山芋、里芋などに多く含まれるコンドロイチン、青魚に多いオメガ3脂肪酸、干しエビ、オクラ、キノコ類に多いグルコサミンなどもおすすめです。

関節トラブルのサインと対処法

からだの関節になにか異変を感じたら、重症化する前に対処したいものです。間接でトラブルが多いのが、ひざでしょう。ひざはからだ全体を支え、姿勢や動作にも関わる部位。でも他の関節に比べると、骨と骨が接する部分の面積が小さいため、そのままでは不安定になりやすいのです。

ひざの関節が痛くなる原因として考えられるのは、ひざに負担のかかる体勢が多い、加齢や運動不足によって脚の筋肉が衰えることなど。

もしひざの関節が痛いと感じたら、ひざのまわりを触って炎症が起きていないかチェックしてみて。周囲が熱くなっているなら冷やして炎症を抑えましょう。

炎症が起きていないなら、カイロや蒸しタオルなどを使って温めると、血行が良くなって痛みの原因物質が流れて、痛みが軽減する可能性があります。いずれにしても、専門医を受診して早めに相談するといいでしょう。

からだの動きを支える「関節」

関節はからだのあちこちに存在する、骨と骨のつなぎ部分。ひじを曲げたり、手首をくるくるとまわしたり。そんな何気なく行っている動作のひとつひとつに、関節は関わっているのですね。

関節はすぐに痛みを感じやすくなる部位ですから、健康的な状態をキープできるように、ふだんからのケアにあらためて注目してみてはいかがですか?

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