「群雄割拠」ってどんな状況? 正確な意味や語源、類語、対義語、英語表現までをまるっと解説!

ビジネスシーンや選挙時に使われるほか、カードゲームのモチーフになっていたり歴史漫画などにも頻出したりと、大人だけでなく子どもの目に触れる機会も意外と多い『群雄割拠』という四字熟語。しかしながら、「なんとなくイメージはつくけれど、詳しい意味は知らない」という方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、そんな『群雄割拠』の意味や語源、使い方、関連語までを一挙にご紹介していきます。

「群雄割拠」とは?

まずは、この言葉の読み方と意味、そして語源を押さえておきましょう。

読み方と意味

この言葉は、『群雄割拠』と書いて「ぐんゆうかっきょ」と読みます。

「多くの英雄」を指す『群雄』と「権力者がそれぞれ拠点を持ち、勢力をふるうこと」を指す『割拠』の2語が組み合わせられた言葉で、「英雄たち(優れた者たち)が勢力を張って対立し合うこと」を意味します。

由来・語源

この言葉の由来・語源は、正確には明らかになっていません。しかし、戦国時代に権力のある武将同士が各地で対立し合い、勢力争いを起こしていた様子が『群雄割拠』と表されたことから、戦国時代に生まれた言葉とする説が有力のようです。

ビジネスシーンや選挙においても使われる言葉

『群雄割拠』は、その意味からも、戦国時代を描いた歴史小説や漫画の中でよく見かける言葉ですが、一方で、現代のビジネスシーンや選挙において使われることも珍しくありません。

ビジネスシーンでは、たとえば、同時代に多くの競合他社が同じ業界内に存在することを「群雄割拠の時代」と表現したり、ポジションなどの奪い合いを避けたい場合に「群雄割拠を避けるべく」と言ったりすることがあります。

また、選挙戦のような、さまざまな党や事務所を拠点とした候補者たちが当選の席を奪い合う状況も、『群雄割拠』と表現されることがあります。

使い方を例文でチェック!

そんな『群雄割拠』は、実際にはどのような文脈で使われるのでしょうか。ここでは、例文を通して『群雄割拠』の具体的な使い方をチェックしていきましょう。

1:これまでは弊社が業界ナンバーワンとして独走していたが、最近ではIT関連のベンチャー企業が増えて【群雄割拠】の時代となった。

こちらはビジネスシーンにおいて使用した例文。同じ業界内でナンバーワンを競う同業他社が多い状況などを、このように『群雄割拠』と言い表すことができます。

2:今回の都知事選にも多様な候補者が乱立し、まさに【群雄割拠】の有様だった。

選挙の様子を『群雄割拠』と言い表した例文です。「まさに群雄割拠の有様」といった使い方のほか、選挙の時期になると、新聞などでは「群雄割拠の都知事選」「都知事選は群雄割拠へ」といった見出しもよく見かけます。

3:この大学にはテニスサークルがいくつもある。【群雄割拠】を避けるためには、他にはないレクリエーションやイベントごとを行って独自性を培うことが大切だ。

こちらの例文は、同じジャンルのサークルが複数存在し、対立を避けるための案についてを述べているもの。このように、もちろんビジネスや選挙の場面だけでなく、学校生活などにおいても『群雄割拠』は使うことができます。

類語や言い換え表現は?

では、『群雄割拠』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょうか。『群雄割拠』の類語を見ていきましょう。

1:竜闘虎争(りゅうとうこそう)

『竜闘虎争』とは、「竜と虎が争うこと」が転じて、「互角の力がある者同士が競い戦うこと」を意味する言葉です。優れた者同士が対立し合うことを意味している点において『群雄割拠』の類語と言えます。

ただし、3人以上の複数人が争う『群雄割拠』に対して、『竜闘虎争』は2人きりの対立を表現する際に使う点が異なります。

2:狂瀾怒濤(きょうらんどとう)

『狂瀾怒濤』とは、「世の中の秩序が非常に乱れている様子」を「大波が荒れ狂う様子」にたとえた四字熟語です。「狂瀾怒濤の時代」のように「時代」と組み合わせて使うことが多く、多くの対立が生じた厳しい状況を言い表したい場合は「群雄割拠の時代」の言い換えとしても使うことができそうです。

ただし、『狂瀾怒濤』は、直接的には『群雄割拠』が持つ「英雄たち(優れたもの)同士の」や「対立」の意味は持ちません。あくまでも、対立が生じた「厳しい状況」「乱れた様子」を指せる言葉であることを念頭に置き、注意して用いましょう。

3:どんぐりの背比べ(どんぐりのせいくらべ)

『どんぐりの背比べ』とは、「程度が同じくらいで比べる甲斐がない者同士が競い合っていること」を意味することわざです。同じレベルのもの同士が対立し合うことを表現している点においては似た言葉と言えそうです。

ただし、『群雄割拠』は英雄たち(優れた者たち)についてを言い表し、『どんぐりの背比べ』は優れていない者についてを言い表します。後者は『群雄割拠』の下位互換的な言葉として覚えておきましょう。

対義語は?

『群雄割拠』には明確に対となる対義語は存在しません。そのため、ここには『群雄割拠』の反対に近い意味を持つ言葉を集めてみました。

1:共存共栄(きょうぞんきょうえい)

『共存共栄』とは、「2つ以上のものが敵対することなく共存し、互いに助け合ってともに繁栄すること」を意味する四字熟語です。複数のものが対立して覇権争いをするニュアンスを持つ『群雄割拠』とは、反対の言葉として用いることができます。

2:寡占(かせん)

『寡占』という言葉は、「少数の企業や供給者が市場を支配している状態」を言い表すことができます。こちらもまた、複数の実力者が乱立して対立した状態を表す『群雄割拠』とは反対の意味を持つ言葉として使えそうです。少数企業に寡占された市場のことを「寡占市場」とも言います。

英語表現は?

では、『群雄割拠』を英語で言い表したい場合はどのような表現が適しているのでしょうか。最後に、『群雄割拠』に近い意味を持つ英語表現をチェックしておきましょう。

1:rivalry of warlords

“rivalry of warlords”とは「将軍たちの敵対」と直訳でき、『群雄割拠』の英語訳として用いられることが多い英語表現です。

“of”を“between(〜の間に)”に替えた“rivalry between warlords(将軍たちの間の敵対)”が使われる場合もあります。

2:opposition of heroes

“opposition of heroes”とは、「英雄たちの敵対」と訳せる言葉です。『群雄割拠』の直訳的な表現で、バリエーションのひとつとしては覚えておいてOK。ただし、“rivalry of warlords”に比べると、広く使われる表現ではないので要注意です。

類語・対義語とともに覚えて語彙力を強化しよう!

今回は『群雄割拠』の意味や語源から、使い方、類語、対義語、英語表現までを一挙にお伝えしてきました。使う機会の少ない言葉かもしれませんが、意味を覚えておくと、突然見かけた際にも困りません。ぜひ、類語や対義語とともに覚えて語彙力を強化してくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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