子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)とは?
副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、副鼻腔の粘膜が炎症を起こし、膿をどんどんつくってしまう状態のことです。副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。急性副鼻腔炎の場合は、30日未満で治まるもの、慢性副鼻腔炎は「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれ、90日以上続くものと定義されています。また、慢性副鼻腔炎には、好酸球性副鼻腔炎というのもあります。
子どもの副鼻腔炎は、風邪をひいた結果、急性副鼻腔炎になることが多くみられます。
子どもの副鼻腔炎の特徴
そもそも副鼻腔とは、頰、両目の間、額の下の骨の中にあり、空洞になっている部分で、粘膜でおおわれています。そこと、それぞれの鼻の中がつながっています。副鼻腔炎は、その副鼻腔が炎症を起こす病気です。特徴としては、黄色や緑色のどろりとした鼻汁(びじゅう)が出ます。
子どもの副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎の原因は、ウイルス感染や細菌が原因で起こると言われています。また、慢性副鼻腔炎のひとつ、好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーが原因とされています。
子どもの副鼻腔炎は治らない?
子どもの副鼻腔炎は、成長過程で自然に治るということもあります。しかし、蓄膿がひどい、鼻茸がある、アレルギー性鼻炎がひどい場合は、治りにくいことも。
子どもの副鼻腔炎の体験談
0~12歳のお子さんがいるママやパパに、子供の副鼻腔炎についてアンケート。体験談を教えていただきました。
子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)の症状
副鼻腔炎の症状は、どろりとした鼻汁が出るだけではありません。そのほかにどのような症状が出るのか、お教えします。
鼻汁が出る
最初は、水っぽいさらさらとした鼻汁ですが、副鼻腔に分泌物や膿がたまると、ねばっこくて、黄色や緑色などの色のついた鼻汁がたくさん出ます。
鼻が詰まる
ウイルスに感染して粘膜が腫れたり、鼻汁が貯留することにより、鼻腔とつながっている穴がふさがれて、鼻づまりを起こします。鼻が詰まることで、匂いがわかりにくくなることもあります。
熱が出る
副鼻腔内に細菌が感染すると発熱し、37〜38℃の高熱が出ることもあります。
頭痛がする
頭がぼーっとしたり、頭痛を伴う場合もあります。また、痛いのは頭だけでなく、頰の奥に痛みが出ることもあります。
咳が出る・止まらない
後鼻漏(ごびろう)といって寝てるときなどに膿が喉に落ち、咳やゼロゼロする(痰がからんだような咳)原因となります。この症状は、喘息と見間違われることもあります。
目やにが出る
副鼻腔炎による鼻粘膜の腫れがおきると、涙の回収が不十分になってしまいます。そうすると、涙目や目やにの症状が出ます。
口臭がする
鼻汁が悪臭を放ち、それが口臭の原因となることもあります。
顔が腫れる
合併症で蜂窩織炎(ほうかしきえん)になると、頬や目が腫れることがあります。
子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)の治療法
一般的な薬でもよくならない場合は、以下のような治療法があります。
抗生物質で治療する
慢性副鼻腔炎の場合は、マクロライド系の抗生物質を用いて治療することもあります。この抗生物質には、副鼻腔の炎症をやわらげ、鼻汁や痰を抑えるのに効果があります。
鼻の吸引や洗浄
鼻汁を吸引したり、炎症が起こっている鼻腔を洗浄して膿を取り除き、細菌量を減らします。
ネブライザー
ネブライザーは、薬を細かい霧状にして噴射する装置です。ノズルを鼻に入れて薬を吸入します。この治療法は、薬が直接炎症を起こしている部分に届くのが特徴です。また、内服薬にくらべて薬の量が少なく済みます。そのため、副作用が少ないのもメリットです。
鼻茸を切除する
「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれる鼻の中にポリープがある場合は、手術でその部分を切除します。これは、内視鏡を使って行うので、痛みも出血も少なく、患者への負担が少ない手術です。手術の内容は、鼻茸の切除に加え、炎症によって閉じてしまった副鼻腔と鼻腔を広く開通させます。また、膿や腫れた粘膜を取り除く処置も行われます。
どのタイミングで小児科を受診する?
鼻汁や鼻づまりがあり、よくなる気配がない場合は、なるべく早めに小児科や耳鼻咽喉科で受診するようにしましょう。
副鼻腔炎(蓄膿症)の注意点
副鼻腔炎になったとき、してはいけないこと、気を付けるべきことをご紹介します。
プールは控えめに
膿のような黄色い鼻汁が出ているのであれば、プールに入るのはあまり好ましくはありません。プールの消毒液が鼻やのどの粘膜を傷めてしまう場合もあるので、控えめにしておいたほうが無難です。
風邪をひかないように
風邪をひかないようにすることも大切です。風邪をひくことで、副鼻腔炎を繰り返してしまいます。もし、風邪をひいてしまったら、こまめに鼻をかむようにしましょう。このとき、片方づつ、ゆっくり、やさしく鼻をかみます。強くかむと中耳炎になることがあるので、注意してください。
中耳炎に注意
副鼻腔炎になると、中耳炎が起きやすくなることも。これは、鼻やのどについた菌、ウィルスが耳菅を通って中耳に入ってしまうためです。色のついた鼻汁が出ていたら、中耳炎にも気をつけてください。
長引く鼻水・鼻づまりは病院へ
子どもの副鼻腔炎は、早期発見、治療により、治りやすくなります。この記事に書いてあるような症状がお子さんに認められた場合、すぐに病院へかかりましょう。
記事監修
神奈川県川崎市・北浜こどもクリニック院長。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている
文・構成/HugKum編集部