子どもの着替え手洗い、片付けなど自分でできる子になる3ステップ!【保育士監修】

着替えや手洗い、片づけなど、基本的な生活習慣を身につけ、言わなくてもやれる子になってほしい! そのためには、幼児期の「親の関わり方」が大切なんだとか。自分でできる!自らやる!をめざす生活習慣の身につけ方をキャリア30年のベテラン保育士・須貝美香先生にうかがいました。

幼くても目的を伝えましょう

基本的な生活習慣を身につけて「自分で」「自ら」できるようになるためには、幼いころからその目的を日常的に伝えていくことが大切です。

着替えや歯みがき、お片づけなどをやる際に、「まだ幼いから」「言葉がわからないから」とおうちの人が無言で淡々とやるのではなく、たとえば「むし歯さんが来ないように、歯ブラシで歯をキレイにしようね」「お外行くから、カッコいいお洋服に着替えようか」「お片づけしたら気持ちいいね」など、目的を言葉にして伝えましょう。

社会性は「わが家のハウスルール」から!

そもそもなぜ生活習慣を身につける必要があるのでしょうか。今は幼いお子さんも、いつか社会に出ます。「帰ったら手を洗う」「朝起きたら着替える」「使ったら片づける」など、おうちで決めたルールを守ることを習慣づけることが、成長に伴って社会でのルールを守ることにつながっていくからです。

「社会性」を身につけるための第一歩が、家庭での「ハウスルール」なのです。

生活習慣を身につけるための3ステップ

ステップ1 「見せる」

まずは親がやっている様子を見せます。やりながら「やっていること」と「その目的」を伝えることを忘れずに、1歳代は「ステップ1」だけでもOK

ステップ2 「一緒に」

親がやっている様子を見ていると「自分も!」とやりたがるようになります。そのときに「一緒にやろうか」と声をかけて、楽しくできようにやってみます。

ステップ3 「自分で」

「一緒に」が上手にできるようになってきたら、自分でできるよう促してみましょう。このとき、失敗しても手と口を出しすぎないこと!

 

1歳代は「見せる」2歳代は「一緒に」3歳代は「自分で」の目安でステップアップを。また、初めてすることは3歳でもこの順番でステップアップしていくよう心がけるといいでしょう。

 

着替えの大切さと楽しさを教える

着替えは社会生活の基本

着替えは、「家の中」と「社会」は別であるという社会性を身につけるためにとても重要な生活習慣です。

着替えで「内」と「外」を切り替えることで、「公共の場では大声を出さない」「外には社会のルールがある」ということを学んでいくのです。

テクニック① 前日の夜から声をかけておく

朝起きていきなり着替えさせるのではなく、前夜に「明日は何を着る?」と声をかけて一緒に選びます。

その際に、「明日は暑いみたいだから半袖がいいかもね」「明日は〇〇ちゃんに会うからこっちのTシャツはどう?」など、天気やTPOに合わせた服選びも意識できるといいですね。忙しくてそんな時間はない、と思うかもしれませんが、このひと手間が朝のイヤイヤ軽減につながります。

テクニック② ボタン練習はまずママ・パパの服で

子どもの服のボタンは小さいものが多いので、いきなりお子さん自身の服でボタンの練習を始めるのは難しいでしょう。

おすすめは、大人のジャケット。ボタンが大きく生地もやわらかいので、練習にぴったりです。ママやパパがジャケットを羽織って練習すると、スキンシップにもなりますね。

このときも、「見せる」→「一緒に」→「自分で」の3ステップをお忘れなく!

 

お片づけは分類する能力を育てる

片づけとは本来気持ちいいもの

人間の脳は散らかっている状態よりきれいな状態を好みます。お片づけは、本来気持ちいい状態にするための行為です。

自分で完全に片づけられるようになるのは小学校高学年くらい。そこを目標に習慣づけていきましょう。

テクニック① お片づけも遊びの延長に

スムーズに習慣づけるには、遊びの延長で片づけるといいでしょう。例えば、「片づけて!」ではなく、カゴを渡して「お買いものごっこしよう!」と声をかけます。散らかっているブロックを野菜などに見立てて「お野菜買ってきてくださーい!」とブロックを拾い集めるように伝えると、喜んで集めてくるはずです。

ポイントは、終わらせたい15分前に声をかけること。計画性が大切です。

テクニック② 4つのカテゴリで分類を

「お片づけ」といっても、「大きなカゴに全部入れる」というのはNG。分類する能力が育ちません。

幼児期は、4つのカゴを用意して、「動くもの」「食べるもの」「読むもの」「顔があるもの」などとおもちゃを分類して片づけるといいでしょう。

「ひとつ出したらひとつしまう」はNG。おもちゃを組み合わせて遊ぶことで想像力が鍛えられます。かといって散らかりすぎもよくないので、歩いても踏まない程度に、それを超えたら一度片づけましょう。

 

歯みがきは身繕いの基本

目的をきちんと伝える

歯みがきは「むし歯にならないため」という目的が子どもにもわかりやすい生活習慣です。

むし歯を題材にした絵本を読むなど、日ごろからきちんと伝えるといいでしょう。

テクニック① 鏡の前で一緒に歯みがき

鏡の前に並んで立ち、おうちの方が歯みがきする様子を見せます。歯がはえる前や本数が少ないうちは、見ているだけでも十分予習になります。

親が楽しそうに歯みがきしているのを見ていたら、自分でもやりたがるようになるでしょう。そうしたら子ども用歯ブラシを持たせて、並んで一緒にみがきます。これがステップ2の「一緒にやる」です。

 

テクニック② 仕上げみがきは歌いながらリズムよく

幼い子にとって「ずっと口を開けておく」というのは大変なこと。そこで、仕上げみがきをする際に水の入ったコップを用意して、10秒ほどみがいたら、一旦、歯ブラシを口から出し、コップの水ですすぐ、を繰り返します。すすいでいる間、子どもは口を閉じていられますし、歯ブラシがきれいになるので、再度口に入れたときの不快感も減ります。

歌などを歌いながらリズムよく、楽しい雰囲気でやりましょう。

 

手洗い・うがいで自己管理の基本を

想像力が広がるよう言葉にして伝える

手洗い・うがいも体調を守るための生活習慣。

幼いころから「この泡でバイキンさんやっつけるんだよ」「うがいでペッてしたら、〇〇ちゃんの体の中にバイキンさん入らないね」と言葉にして伝えましょう。

子どもは想像力が豊かなので、イメージを広げていきます。

テクニック① 見せながら五感でわかる言葉がけを

手洗いも、まずは親がやっている様子を見せることから。その際に、「お水冷たいな」「泡がフワフワして気持ちいい」「石けんのいい香りがする!」など、五感でわかる言葉をかけるとより伝わりやすいでしょう。

一緒に洗うステップ2では、「手洗い歌」などを取り入れるのもいいですね。わかりやすく、楽しみながら習慣化できます。

 

テクニック② うがいはお風呂で練習

はじめは上手にできずダーッとこぼれ出てしまうでしょう。洋服も床も濡れて大変なことになってしまうので、濡れても大丈夫なところ=お風呂で練習するといいでしょう。

うがいには、口の中をすすぐ「ブクブクうがい」と喉をすすぐ「ガラガラうがい」があります。それぞれ使い分けるよう目的を伝えましょう。

記事監修

保育士、NPO法人家庭的保育支援協会代表理事
須貝  美香先生

(保育士、NPO法人家庭的保育支援協会代表理事。現在は5つの保育園を経営し、自ら保育の現場に立つ傍ら、講演活動も行う。著書に『保育士が教える「子育て」の正解』など。)

 

文/洪 愛舜 構成/童夢 イラスト/河合美波
出典:『ベビーブック』2019年9月号

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