「賞金3億、賞金総額32億」のW杯で友人の息子くんが2位!
ついにバルセロナから日本へ本帰国。
息子の時差ボケ深夜ハイテンションもようやく治ってきて、今後の生活のための地道な準備を始めました。でも日本の湿気にはくらくらする毎日です。ふうう、やれやれ…。
そんなことより、今回のテーマは「ゲーム」と「YouTube」。
このタイミングなら、これしかないでしょう!
なぜなら先月末、NYにて、ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」の初のワールドカップが開催されたから。各部門の優勝者には300万ドル、大会賞金総額は3000万ドル。ゲーム大会の賞金額としては過去最高。13歳から出場権利があり、各部門の優勝者は15.16歳が多かったとか。テレビやネットニュースで大々的に報じられたので、その大会の規模や賞金に驚いた人も多いのではないでしょうか?
もちろん私もその1人です。だって、驚くよね!?10代の少年たちがゲームに勝ったら賞金3億って!日本人の平均年収、いま400万円ちょっとなんだよ…。ああ、書いててせつないなあ…。
そして私が驚いた理由がもうひとつ。実は、この大会には友人の息子くんが出場していて、クリエイティブ部門でなんと2位を勝ち取ったのです。しかも1位とは僅差だったそう。ひょえ〜!
彼はイギリス&日本ハーフのトム(TOMOYA)くん、日本語でゲーム実況をする大人気YOUTUBERの顔も持つ、21歳。YouTubeチャンネル名は「トムの実況チャンネル」。
そのママである日本人が私の友人で、バルセロナ在住の6人の子のママ(!)であり、私のかつてのフラメンコ友達であり、トムくんの双子の妹たちは日本人学校時代に息子の同級生でもありました。私は彼女のご家庭を取材させてもらったこともあり、ご自宅のクリスマスパーティに呼んでもらったり、公私に渡って家族ぐるみで仲良くさせてもらっていたのです。なので、今回の大会前からこのワールドカップについて彼女から情報を聞いていました。
さらには、なんとその彼女本人もYouTuberで、今回の大会は家族で観戦にも行って現地からYouTube配信をしてました。その動画のひとつがこちら。これを見ると、大会の様子がよ〜くわかるよ!
トムくんが出場したクリエイティブ部門は、フォートナイトの開発元であり、この大会の主宰であるエピックゲームズによって招待された有名プレイヤー(多くはYOUTUBERなどのインフルエンサー)をリーダーにしたチーム戦。アジア代表リーダーとして選ばれたトムくんは、自ら予選をオンラインで開催し、大会前に上位者3人(フランス人、トルコ人、スウェーデン人)とチームを結成したそう。ちなみに、このチームメイトにはNYへのビジネスクラス・フライトチケット&5000ドルが支払われるシステムだとか。どこまでも太っ腹〜。
惜しくも優勝は逃したものの、予想を越える大活躍をしたトムくん。
観戦した友人の感想は、
「ワールドカップ、本当にすごかった!!賞金額の高さに関しては疑問に思うところがなくはないのだけど…。でも、優勝した子たちの多くが15歳16歳のゲームオタクで、賞金にあんまり興味なさそうな人ばっかなのは笑えた。賞金を何に使いたい?って質問されても、さあ?みたいなかんじなの」
ああ、お金目当てで始めたわけじゃないけど、ひたすらに「好き」を追求したら自然に大金が入って来るようになってきちゃった系。どんなジャンルでもトップに上り詰めるのってこのタイプなんだよね。
実際に、トムくんもゲームがただ好きで、その流れで実況を始めたら人気が出て、今やビックリするほどの額をYOUTUBEで稼ぎ出し、さらにワールドカップまで出場してしまった人。その収入たるや、聞いたときは「はあああああああ!?」と声が出てしまったほど。とはいえ、彼はこの状態が永遠に続くわけではないだろう、という冷静な目線もちゃんと持ち合わせているそう(そういう賢さも、トップレベルになった理由のひとつなんだろうなあ…)。
ゲーム自体が、昔とは全く違う
ちなみに、我が家のゲーム事情は、このトムくんの影響を多大に受けてるのです。
うちにはいまだにニンテンドースイッチなどの専用ゲーム機は買っておらず、息子がやっているゲームは、アプリで無料で入手したものばかり。
唯一、有料で買ったのが「マインクラフト(Minecraft)」で、現時点では「世界歴代売り上げゲームランキング」の一位に輝くドメジャーなゲーム。わかりやすくいうと3Dレゴみたいな世界観で、敵と戦ったりもできるけど、ゲームの本題は自由に街や建物を作れること。かつて人気だった「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」は誰がやっても同じ楽しみ方だったけど、このゲームはプレイヤーの自由度とクリエイティブ要素が高いので、ひたすらにマイワールドを突き詰めることができるのです。ひとことで建物を建てるといっても、木を切ったり資材を集めるところから始めるから、ある程度は根気のいる作業も必要。
上で書いたトムくんはこのマインクラフトのゲーム実況もやっていて、私はその影響でマインクラフトを知ったのです。そして、息子はレゴ大好きなので、このゲームは絶対に好きだろうし教育的にもよさげなゲームやないの、と息子と一緒にネットでチェックしてみたという経緯。
でも、その時点では「有料だしな〜」と私がしばらく導入を渋っていたら(といってもスマホ&ipad版は840円なんだけど笑)、息子はせっせと皿洗いなどのお手伝いをして、お金を貯めて購入。そしてあっという間にYouTubeでやり方を学習し、ガンガン建築を作るようになりました。私も夫もやり方がわからないので全く手伝いはしてないのですが、凝った緻密な建物をすごいスピードで作るようになり、こんどは私がビックリさせられたのでした。
(↑息子の作ったマイクラ内建築。FCバルセロナのスタジアムの息子オリジナルバージョンだそう。ちなみに画面がやたら汚かったりひび割れをしてるのは、夫の使わなくなった古いipad miniを息子に貸してるからです笑。息子6歳のとき作)
そんなとき、通っていたブリティッシュスクールの授業でスピーチコンテストがあったのです。そのときのテーマは「自分にインスパイアを与えた人」。うちは夫が建築設計の仕事をしているため、
「パパにインスパイアされている。だから将来は建築家になりたい。今はマインクラフトで建築を作っている」
という内容のスピーチをすることに息子は決めました。
そのとき私がアドバイスしたのは、「スピーチやプレゼンではわかりやすさとインパクトが大事。マインクラフトで作ってる建築を印刷して持って行って、スピーチしながら見せるといいんじゃない?」でした。息子の英語はまだまだ他の子に比べてヘタだったので、ビジュアルで補っちゃおう作戦です。
すると驚いたことに、息子はクラスの代表に選ばれて、校内のスピーチ発表会に出ることになったのです。えええ、あの英語力でスピーチの代表!?
発表会は保護者も見学できるので見に行ってみると、やっぱり息子のスピーチはかな〜りグダグダ(笑)。どうも本当にマインクラフト・ビジュアル効果は高かったらしく、いろんな意味で感心しました。だって、それってある意味、学校でも「ゲームの価値」を認めているということだから。
実際に、マインクラフトはなかなかに奥深いゲームだなと思うのです。
最近は世界的にプログラミング教育が人気になっていますが、プログラミング教室でマインクラフトを授業に取り入れているところもあります。息子は今、東京で公立の学童と民間の学童のふたつをお試し中なのですが、民間学童のほうは理系教育に力を入れているのが売りのスクールで、そこでもマインクラフトを特集したイベントがありました。
ちなみに、ワールドカップが行われたフォートナイトも、クリエイティブ発想や建築が大事な要素になっているゲーム。つまり、ゲームの内容そのものが、昔とはだいぶ変わって来ているので、「ゲーム=ただの遊び」では必ずしもないのです。
さらにいまどきのゲームがすごいところは、オンライン上で友達といっしょにゲームができること。大昔なら、友人宅に集まっていっしょにひとつのゲームをしてたのに、今は見た目的には1人で遊んでいるようでも、実は友人といっしょに遊んでたりする。ゲームの世界で知り合って、海外に新たな友達ができる可能性もあるそう。
最近の息子は「ロブロックス(Roblocks)」というゲームもお気に入り。このゲーム内で息子はバルセロナの友達何人かとつながっているよう。なんと、日本とスペインと別れた今も、タイミングをあわせればいっしょにゲームもできるし、チャットでメッセージ交換もできるんだとか。ゲームがこんな形で国を越えたコミュニケーションツールになるなんて、想像もしなかった…!
(↑そのチャット画面を見せてもらったら、思いのほかやりとりがかわいかった笑。😭の絵文字は別れを惜しんでいたっぽい)
大人気YouTuberが生まれるまでのバトル
最近では小学生の夢として「YouTuberになる」が増えてきているそうで、それを積極的に応援する親の話もたまに聞きます。
人気Youtuberの話を聞いたり、ワールドカップみたいなビッグニュースががあれば、そう思うのも当然だよなあ…と思います。トムくんの話を聞いても、いつも感心&驚くばかり。
ただ、このトムくんの場合は、最初から家族がYouTuberになることに賛成していたわけじゃないそう。むしろ、ママである私の友人も、イギリス人のパパもかつてはゲームをやることにも猛反対してたんだとか。
トムくんは長男だったこともあり、幼いときから教育にはかなり力を入れて厳しく育てていたそう。ゲーム機を買ったのも中学すぎてからで、買ってからも週末のみ数時間と厳しく制限していたとか。常に学業第一だったので、中学生のときにYouTuberを始めたときも猛反対。毎日が親子バトル状態で、一時期はパパがそのとき単身赴任中だったマドリードに彼のコンピューターを持っていって強制的に隔離させた時期もあったとか。でもそうやって反対すればするほど反抗する。ケンカになる。狙いに反して、勉強もますますしなくなる。
夫婦共にどうしていいかわからなくなり、ついには家庭教師の先生に「どうにか息子を説得してほしい」と頼んで2人で話し合ってもらったところ、逆にその先生に「お父さん、お母さん、彼はすごい。結果も出してるし、才能があるから続けさせたほうがいいですよ!」と説得されて、ついに諦めて、解禁になったとか。
ちなみに、今大会の別の上位入賞の少年の母親も、同じようなバトル時代を告白しているそうです。
そして今、友人はこんなふうに言っています。
「以前は親としての理解が全然足りてなかった。ゲームっていうだけでくだらないと決めつけていたけど、そんなことはなかった。ゲーム漬けにするのはよくないけど、厳しく制限しすぎないほうがかえって勉強もする。私は昔の反省を生かして、下の子たちには柔軟に対応してるから、あの頃みたいなバトルもない。ゲームもやりつつ、それ以外の大事なことを学ぶ大切さを教えていれば、子どものほうから学ぶようになると思うよ。知り合いで、母親にゲーム制限を厳しくされすぎて、親のいない日は一睡もしないでゲームをやり続けたり、嘘をつくようになった子も知ってるしね…。制限しすぎると反動が出るよ」
そんな経緯を経て、今や彼女まで息子の影響を受けてYoutuberになってしまったんだから、子育てって何が起こるかわからない…!!かつては親子でバトルしまくったというのに、今や彼女のSNSやYouTubeにも息子さんがしょっちゅう登場する仲良しぶりです。
さらに今ではトムくんの3人の弟たちもYouTuber。彼女は息子さんたちにYouTubeやゲームの最新情報を教えてもらっているので、その年代にしては詳しいほうだと思います。6人の子のママとは思えぬ若々しさと美しさと元気に満ちた彼女は、私が尊敬する先輩ママのひとり。その秘訣は、6人の子どもたちからの刺激を受けまくっているという理由もあるんだろなあ、なんて私は思っているです。
「やるかやらないか」ではなく「何をどうやらせるか」
さらに、最近のゲームには教育に特化したものもたくさんあります。
プログラミング要素が入ったゲーム、漢字や算数や英語の勉強になるゲーム、時計の読み方や歯磨きの仕方を憶えるゲームなどなど。息子が通っていたブリティッシュインターでは、ゲームをうまく学習に取り入れていて、オンライン算数ゲームは宿題にもなっていました。
YouTubeだって内容がすばらしいものがたくさんあり、語学の学習にもうってつけ。私が息子に見せるもので気に入っているのはミュージックビデオで、息子と2人家ごはんのときは、たまに「順番ミュージックビデオ」をしながら食べています。MVは最高の総合芸術だし、1本の時間も短い。ある程度の年齢になると、音楽だと食べる手も止まらない。お互いの好きな曲を順番にかけると、情報交換にもなって楽しい。けっこう話が弾みます。
(↑こちら、息子が好きそうだな〜と教えたらみごとにはまったOKGOのMV。こちらは無重力空間で撮影したもの。彼らのビデオは凝りに凝りまくっていて、大人のピタゴラスイッチみたいな世界なのです)
私が一時期、クイーンをよく見せてたら息子がはまり、映画「ボヘミアン・ラプソディ」をいっしょに観に行けたのは嬉しかったなあ。息子は、学校の音楽の授業で習った曲のMVを教えてくれたりもしました。いつもは授業について聞いても全然答えてくれない息子だから、思わぬ収獲でした。
そんなわけで、私が思ういまどきの親に必要なことは、ゲームやYotubeや子どもに「やらせるかどうか」ではなくて「何をどれくらいやらせるか」。
内容や時間を制限するアプリや機器もたくさん検索すればでてきます。
前述の友人ママも
「時間や内容の制限は絶対に必要。特に小さいうちは」
と言い、今はipadペアレンタルコントロールを使って、子どもむけじゃないアプリやコンテンツを見れない設定にしたり、アプリごとの時間制限をつけたりもしてるそう。ゲームも種類によってはスタート時期を制限してるとか。
「とはいえ、中学生以降になると通ってるインターではPCで宿題をすることもあって、管理はさらに難しくなる。時間制限をどれくらいにするかは私もいまだに悩ましいところ。夫婦で意見が割れたりもする。これは全世界共通の親の悩みだよねえ」
と、いまだに試行錯誤しているようです。
うちも「ゲームとYoutubeあわせて1日1時間」としてますが、日によっては時間をのばしちゃったり、どうもまだルールを詰めきれていません。セキュリティ方面もベストなやり方を研究中。なんとかうまいバランスをとって、ゲームとYouTubeのいい部分は積極的に取り入れていきたいな〜と考える今日このごろなのです。
ところで、息子は最近、「ママもマインクラフトをやろう、いっしょに2人で建築を作ろう!」としつこく誘ってくるのです。
ええええそう来たか!
わ、私もいまどきのゲームデビューしてみるかね!?
息子の制限どころか、私のほうがはまったりしてね。
ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月より〜2019年7月までスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。7歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを発信中。
■第1回目・ハラユキファミリーのバルセロナ暮らしの概要はこちら
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