いちばん楽しい学校行事「多文化の日」
マルチカルチュアル・デイ(multicultural day)。
つまりは「多文化の日」で、これは息子の通うブリティッシュスクールでいちばん私が好きな学校行事です。内容的には、ワールド・フード・フェス。
息子の通うブリティッシュスクールには数十カ国の家族が通っているので、それぞれの国の味を持ち寄りシェアするというイベントです。もともと私は、代々木公園で行われるようなワールドフェス大好きな食いしん坊なので、これはもうたまらない!!下が今年のポスターです。
ちなみに、今年は雨天で一度延期、でもそれもお知らせが来てまた延期になりました。2度目の延期理由は「その日はラマダン(イスラム教の断食日)だったので」とのこと。なるほど、多国籍の人がいる学校ならでは!
そんな延期を繰り替えして最近行われ、我が家の参加は今年で2回目。今回はそんなマルチカルチュアル・デイについて今回は紹介します。
予告しますが、読んだら、よだれ出るよ〜!
日本の人気は寿司とハイチュウ
このイベントのシステムはシンプル。
それぞれの家庭で自国の料理かデザートを手作りし、学校に持参して国ごとに並べるだけ。生徒たちは、先生に連れられて会場に食べにきます。料金は取りません。他の学校では、値段をつけて販売し、売り上げ金をどこかに寄付したり、学校の備品購入にあてるところもあるようですが、うちは新設校でPTA的なものがしっかりしてないせいか、完全無料です。
参加にあたり、学校から出されるルールはふたつだけ。アレルギー対策として(1)材料は明記する(2)ナッツは絶対に使わない(ナッツアレルギーの子が多いらしく、普段からナッツに関しては厳しい)。
ただし、参加するかしないかは自由。参加するにしても特に申し込みも必要なく、ただ当日、料理を持っていくだけです。私は楽しそうなので参加することにしました。学校にはもう一組日本人家族がいるので、そのママと軽く事前に相談し、それぞれ何のメニューを作るかを決定。日本チーム、去年はこんなかんじでした。
もうひとりのママがのり巻き、私が焼き鳥と大学芋。私は趣味の手ぬぐいコレクションの中から日本ぽいのを持って敷き、メニューも書きました(こういう手描き文字描くの楽し〜い!)。焼き鳥は欧米人に人気の照り焼き味だし、子どもが好きなウズラ卵もつければ間違いなく人気だろう!と思ったけど、寿司人気には全然かなわなかった。野外で暑い時期だから生魚を使わない寿司なのだけど、もう一瞬でサッとなくなった。
その結果を受け、今年は唐揚げにすることに(あの日本風の唐揚げは、日本料理屋の定番人気メニュー)。ちなみに今年は私は仕事が忙しかったので、うちは夫が調理(夫の作る唐揚げは美味しいのです)。もうひとりのママは今年ものり巻き、さらに、そのダンナさんが日本出張のときに購入してきたハイチュウを並べてました。
結果、今年も完敗!唐揚げもちゃんとなくなったけど、のり巻きとハイチュウの人気たるやものすごかった。一瞬で消えた。このママ、イギリス在住経験もあるママだけに、「は〜、さすが外国人親子ウケをわかってる〜!!」と感心。
ちなみに、バルセロナで知名度と人気が高い日本料理としては、寿司(やっぱダントツ)、ラーメン、唐揚げ、照り焼き、焼き餃子(それって中国じゃ!?と思うけど、本場中国は蒸し餃子や水餃子が多く、焼き餃子は日本の方がよく食べられているので、日本料理枠に入れられてるっぽい。日本料理屋には絶対にある)、焼き鳥、味噌汁、枝豆、たこ焼き、うどん、焼きそば(なぜかおいしい店でも安っぽい麺と味多し…。謎)、というラインナップです。
さてさて、日本以外のメニューは?
対して、日本以外の国のメニューはこんなでした。いや〜、どれもこれもおいしくて、見せ方も凝っていて、レベル高かった。レストランみたいな味もいっぱいあった。ざざーっと紹介していきますよ〜!
韓国。なるほど〜、ミニ紙コップに入れるっていいアイデア!これならごはんものも食べやすい。ちらし寿司をこの形で出す手もあったなあ…。味もとてもおいしかった!
ロシア。パンの上にクリームチーズとイクラ。バルセロナでは、イクラは小さい瓶詰めでもけっこう高いのに、ここここんなにたっぷり…!!バルセロナにはお金持ちロシア人がいっぱいいると聞いたことあるけど、それはあなたたちなの!?イクラ好きの息子が大喜び。
スウェーデンのロールケーキ。かわいいし、お皿も素敵で北欧っぽ〜い!
春巻きはいちばん多かったメニュー。中国、フィリピン、そして写真のはパキスタン。各国バージョンの食べ比べができるなんて、揚げ春巻き好きとしてはたまらない!
イランのサフランライスケーキ、タフチン。こういうかんじで国旗をたててる人多し(みんなミニ国旗どこで仕入れてるの?自国から持参してんの?)。
ああ、これどこの国だったか忘れてしまった…!ロシアかウズベキスタン。ケーキみたいなザクロサラダ。美しい!こんなかんじの見たこともない料理ももりだくさん。
中国。このイベント、学校側とPTA役員的なママたちでだいたいの地域ごとに場所を分けてくれてたんだけど、中国はアジア人生徒の中で最多なせいか「CHINA」でちゃんと場所が用意されていた。私たち日本人は「ASIA」スペースでマレーシアやらの人々と場所を分けあったのでした。ああ中国、ブリティッシュスクールでも強し…!
スペインのトルティージャ(ジャガイモ入りの卵焼き)。スペインチームは、地元だけあって、お店で買ったできあいも混じってたらしい(笑)。
アメリカ。そっか〜ウインナーロールか!!
ところで、ブリティッシュスクールなのになぜかイギリス料理が見当たらなかった。なぜに…?え〜と、自由参加だから、イギリス人、やっぱり美食に興味がなくて参加してないとか…?それとも見落としたのかしら…。
全体の雰囲気としてはこんなかんじでした。
あ、私が唯一このイベントで不満なのは、お酒の販売がないことです。エスニックも多いのにビールないのつらい…。ちなみにスポーツデイとか他の行事でもお酒はない。バルセロナなら出そうなかんじなのにな〜。聞いたところによると、ドイツの小学校イベントではビールがばんばん出るそうです。さすがビールは水がわりのビール王国。羨ましい!!
もしこのイベントを日本でやるとしたら?
さてさて、去年も今年もとても楽しかったこのイベント。料理を通じて、他のママパパとも交流できるし、お互いの文化が知れるし、子どもにとっても食文化の多様性を学べて本当にすばらしい…!
そこで思ったのは、日本の小学校でもこのイベントをやったら楽しいんじゃないかな?ということ。
もちろん、日本の小学校には、インター以外だとここまで外国人はいません。でも日本は世界に誇る食いしん坊王国。各地に多種多様な料理があるではないですか。(海外に住んでより一層実感したけど、日本の食文化は世界に誇れるすばらしいものだよ!)だからたとえば、
◯いろんなルーツの人が集まる都市の学校→出身地方の料理
◯ルーツがだいたい同じ人が集まる学校→「私の得意料理」「我が家の伝統料理」とか?
もちろん外国人家族がいる場合は自国の料理で。
小学校に入ると、送り迎えもなくなり、PTA以外では親同士が絡むことは少ないとよく聞きます。でもこういう行事があれば、交流にもなって面白くないですかね…?
で、さらに妄想先走って、もし日本でやる場合はここに注意すべきじゃないかなというおせっかいポイントをあげておきます。なぜかといえば、日本人は、真面目&キッチリ、それゆえにイベントに仕事やストレスを無駄に増やしてしまう、つまりは「真面目という名のヒモで他人の首を締めがち民族」。フードイベントという楽しさ目的のイベントが、親や先生の負担になっては元も子もない。息子の学校の例を参考に揚げつつ、ポイントを最後に紹介しておきます。
【もし日本の小学校でフードイベントやるならポイント】
(1)自由参加にする
楽しげなイベントも、強制参加にしたら一気に楽しくなくなります。もし参加者が少なかったとしても、それはそれでいいじゃないですか。少人数宴会みたいで。
(2)参加ルールを決めすぎない
たとえば料理の種類や量、並べ方。日本人は平等精神と親切心ゆえに、ついこういうことに細かいルールを設定しがちですが、それでは管理者が大変です。そしてルールが多すぎるとクリエイティブ魂は死んでしまい、面白い料理も盛りつけも登場しません。子どもたちが腹ぺこじゃない時間に開催すれば、量が足りないなんてこともおきません。マルチカルチュアル・デイでも、今年はごはんよりデザート多すぎだな〜!とかありましたが、まあそれはそれで、くらいで。完璧を求めちゃいけません。
(3)プログラムを作らない
日本人は気遣いが得意&プリント大好きな民族です。この手のイベントでは、つい参加チーム紹介や細かいルールやタイムスケジュールを書いたプリントを作成しがち。それをやってしまうと作成担当者は大変です。マルチカルチュアル・デイにはプリントは皆無で、事前に開始時間とアレルギー対策についての短いメールが来ただけですが、何の問題もなくまわっています。あと、プリントを見ながらまわるのではなく、自分の嗅覚でおいしいものを探すほうが楽しいし。プログラム作成だ〜いすき!!という奇特な人がいる年以外は、制作する必要はないでしょう。余計なゴミも増えるしね。
(4)場所の区分けをきちんと決めない
参加人数や地域にあわせて、場所配分をあまりにきっちりしようとすると担当者が大変です。そんなのだいたいでいいんです。マルチカルチュアル・デイでは、事前の申し込みすらありません。当日、場所が足りない場合は適当に隣の人に交渉したり、全然違うエリアに混ざってたり、まあなんとかなるもんです。大人なんだから。余談ですが、去年なんて、私たちが料理並べてた横に、どこの国のものか誰が作ったかわからない謎のタッパがありました(笑)。あれ、最後は取りに来たのかなあ…?適当すぎてウケた。
(5)アレルギー対策のみちゃんとやる
ここだけは命に関わることなのできちんと。原材料名表示は大事だなーと思います。あ、日本だと、湿気も多いし、食中毒対策もやったほうがいいかな…。
とにかく、安全だけは確保したらゆるく楽しむ、がコツ。マルチカルチュアル・デイでは、挨拶もなく、いつのまにか始まっていつのまにか終わるくらいの適当さでした。大丈夫大丈夫、ちゃんとまわるから!!くれぐれも自由参加で、余計な仕事は増やさないように!!
以上、私の妄想炸裂によるフードフェスポイント in 小学校ポイントでした。ベルマークをちまちま切るより、これを有料でやって、その売上金で何か備品買ったほうが、1日で終わって、いいもの買えたりしないかなあ…?みんながWINWIN、そんな学校行事、増えるといいなあ。
ああ、それにしても、ごはんワールドは楽しいねえ…!
食文化って、人間が作り出したいちばん幸せな文化だと私は思っています。
今日も、世界中の台所でごはんを作っているすべての人に幸あれ…。
ごちそうさまでした!!
ところで、おしらせ。
実は今週、日本に本帰国することになりました。
2年間のバルセロナ生活についに終止符が…!
ただ、この連載自体は続きます。まだまだ書いてない海外子育て生活話がたくさんあるので、それらと帰国までを書きたいと思っています。
どうぞこれからもよろしくお願いします!
さーて引越し頑張るぞっと。
ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月より〜2019年7月までスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。7歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを英語とスペイン語つきで発信中。
■第1回目・ハラユキファミリーのバルセロナ暮らしの概要はこちら
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