「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子どもの学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。今回のテーマは、学校で漢字学習始まった今から、家庭でできる学習についご紹介します。
家庭学習から始める「漢字の脳」の作り方
2学期がスタートすると、国語ではいよいよ漢字を習い始めます。今月号の別冊付録「学習漢字1006の本」や本誌とじこみ付録「一年生のかん字80字ポスター」を活用して、家庭でもぜひ漢字の学習に取り組んでください。別冊付録の「まいにちドリル」でも次号から漢字の学習が始まります。
学校で漢字を習う前に、少しずつ家庭で学習を始めてみましょう
学校では10月頃から3学期の終わりにかけて、1年生で習う80字の漢字を、教科書に出てくる順に1字ずつ練習することになります。しかしこれだけでは反復練習が足りず、秋に習った漢字を冬には忘れてしまう、ということになりがちです。
そこで、学校で漢字指導が始まる少し前のタイミング=今の時期から、少しずつ家庭で漢字の学習を始めることをおすすめします。そうすれば授業で習うときには「この漢字は見たことがある」「書いたことがある」と、反復学習の機会になり、定着率がぐんと向上するのです。
家庭での漢字の学習は、1日10分ぐらいで十分。しかも、1日に3文字を各3回ずつ書くだけです。3日間で9文字書いたら、4日目は9文字の復習。これをワンセットとして順番に練習していくのです。
ただし1年生ですから、親が教科書を見て80字を半分の40字ずつに分けてやるといった量的配慮は必要です。1か月あまりで40文字をひと通り練習したら、また最初の漢字から「2周目」の練習。「2周目」が終われば「3周目」へ。
はじめの1か月ぐらいは、復習のときにはほとんどの漢字を覚えていないかもしれません。しかし、1か月半ぐらい続けると、半分ぐらい覚えているという状態に変わってきて、ある日突然、すらすらと読んだり書いたりできるようになります。これは子ども達に 「漢字の脳」ともいうべき発達現象が起きるのではないかと私は考えています。
かっこいい字が書けると嬉しい、という感覚を養う
家庭で漢字学習をするときは、十字ますの入ったノートを使いましょう。十字ますがあることで一画一画のバランスが取りやすいからです。「バランスのいい、かっこいい字が書けると嬉しい」という感覚を養うことも、漢字習得のうえで非常に大切です。
また、1年生で習う漢字の多くは成り立ちがわかりやすいものです。例えば「川」を練習する際に、川の絵を描いて「川の流れの様子から、川という漢字ができたんだね」という語りかけをしておくと印象に残ります。
そして、書き順は特にしっかり見てあげてください。字がきれいな子は例外なく書き順が正しい子です。書き順がいいかげんな子は、乱れた字体を身に付けがちです。そして字がきれいな子に低学力の子はいないということを、最後に付け加えておきます。
隂山 英男:
かげやまひでお。子ども達の生活習慣改善と「読み書き計算」を主とする徹底した反復学習に取り組み、その指導理論が「隂山メソッド」として多くの学校・家庭で成果をあげている。
編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 撮影/奥田珠貴 出典/『小学一年生』