新生児が笑っているのはなぜ?
赤ちゃんはいつから笑うようになるのでしょう。生まれて間もない赤ちゃんも笑うことはあるのでしょうか。赤ちゃんの笑いについてみていきましょう。
新生児微笑(生理的微笑)とは?
生後間もなくして睡眠中(特にレム睡眠中)に口角があがり笑っているように見えることを、「新生児微笑」または「生理的微笑」といわれています。このような微笑は生理的なほほ笑みとされていおり、赤ちゃんがママの胎内にいるころからはじまっていると推測されているそうです。
乳幼児の微笑について研究する専門家らの意見はさまざまであり、個人差もありますが、だいたい生後2~3ヶ月を過ぎたころから新生児微笑は減少していくという研究報告があります。
社会的微笑とは?
一方、外部からの何らかの刺激によって生じる笑いを「外発的・社会的微笑」とよびます。視覚刺激による微笑は生後1~2ヶ月ではじまるとされ、生後3ヶ月を過ぎたころから人の顔や顔のようなものに対して微笑するようになります。
そして次第に赤ちゃんが微笑む相手に対し、微笑み返すということもするように。このような段階的な発達過程を経たのちに、ママやパパなど特定の人の顔を見て笑うようになるといわれています。
参考:
乳児の自発的微笑と外発的・社会的微笑の質的な違い: 生後1年間における1事例の縦断的観察を通して(2018-7)笑い学研究25/池田正人
新生児微笑の特徴
かわいい赤ちゃんの微笑みに思わずうっとり! 新生児微笑の特徴について詳しくみていきましょう。

言葉が通じないのになぜ? 赤ちゃんが笑っている理由とは
先述のとおり、赤ちゃんは新生児のとき、反射的に口角があがりほほ笑んでいるように見えることがあり、感情とは関係なく笑うこともあるようです。
赤ちゃんが人の目を見つめてほほ笑むのは生後1ヶ月半ころからともいわれており、そのころの赤ちゃんにとって、笑うことはコミュニケーションの一部でもあります。泣いたり、笑ったり、声を出したりすることで、赤ちゃんはママやパパと意思疎通をはかっているようですね。
新生児が声を出して笑うこともある?
赤ちゃんが声を出して笑うことができるようになるには、新生児時期にまだ未熟であった喉の発達にも関係しているようです。ある研究によると、「生後8週間以降、微笑時に声を出したり、笑い声を伴うことが増えた」と報告されています(池田, 2018)。
赤ちゃんが外からの刺激で笑う社会的微笑が増えるのは生後2ヶ月ごろから。同時期ごろから声を出して笑うことも徐々に増え、生後5,6ヶ月ぐらいを過ぎると、ゲラゲラと声をあげて笑うことが増えるようにもなるともいわれています。
赤ちゃんによっては、生後2ヶ月未満でも寝ているときにまるで笑っているかのようなひき笑いをすることもあるよう。乳児期の心身の発達は著しく、日に日に成長する赤ちゃんの姿をみるのが楽しみですね。
新生児微笑が多い子と少ない子に違いはある?
新生児の時期に、あまり笑わないことで病気や発達障害なのではと心配するママパパも少なくないようです。
発達のスピードはそれぞれの赤ちゃんで異なり、外発的・社会的微笑と呼ばれる赤ちゃんの笑いに関しても時期に個人差がみられます。あまり笑わないということはめずらしいことではないようですが、心配であれば定期健診のときなどに、かかりつけの小児科の医師に相談してみるのもいいでしょう。
新生児のころに赤ちゃんは笑った? 【ママパパの体験談】
今回、0~1歳のお子さんをもつ120人のママパパを対象に赤ちゃんの笑いについてアンケートを実施しました。
Q.赤ちゃんは新生児期によく笑っていましたか?

今回のアンケート結果によると、68.3%(82人)のママパパが「新生児のころ、赤ちゃんが笑っていた」と回答し、13.3%(16人)のママパパが「笑わなかった」と回答しました。では、それぞれの体験談もご紹介します。
笑った
「新生児微笑でしたら、 眠っているときがいちばん多かったです」(30代・北海道・子ども5人)
「新生児期は、突然笑っていた。寝ているとき、おっぱい を飲み終わったとき」(30代・愛知県・子ども1人)
笑わなかった
「あまり笑わなかった。目で追うが笑ったりはしない」(30代・埼玉県・子ども1人)
「新生児のときはまだ笑わなかった」(20代・兵庫県・子ども1人)
赤ちゃんを笑わせる方法はある?

赤ちゃんを笑わせる効果的な方法も教えてもらいました。ママパパたちが実際に試した方法を参考にいろいろ試してみてください!
くすぐる、スキンシップをする
くすぐって赤ちゃんを笑わせる方法がアンケートで一番多い回答でした。
一般的に、生後約半年を過ぎたころから赤ちゃんもくすぐったいと感じるようになるといわれており、親子でくすぐり遊びをしながらスキンシップもはかれるのでおすすめです。声を出してゲラゲラ笑う赤ちゃんもいるようですね。
「体をくすぐったり、声を出してたくさん話しかけたりする」(30代・東京都・子ども1人)
「いちばんはくすぐる。あとは歌いながら足を動かす体操をするとゲラゲラ笑っていた。足くしゃーいといって足の匂いを嗅いであげるのもすごく笑っていた」(30代・埼玉県・子ども2人)
いないいないばあ
世界中の赤ちゃんが喜んで遊ぶ「いないないばあ」。赤ちゃんの脳を育む効果もあるともいわれ、いないないばあ遊びをテーマにしている絵本なども多くの赤ちゃんに人気です。
リズミカルに話しかけてあげながらのいないないばあは、大好きなママやパパの声と顔を見て聞いて、赤ちゃんも自然と笑顔になりそうですね。
「いないいないばぁをしたり、声色を変えて話しかけたりする」(30代・徳島県・子ども2人)
「あやす場合は縦抱きにしてお部屋をお散歩します。いちばん落ち着きます。 笑わせるときは、いないいないばーは、ばーの前で溜めて溜めて、ばー! でケラケラ笑います。 トントン、タンタンタンのように、リズミカルな声を出しながら笑いかけてあげるとケラケラ喜びます」(30代・北海道・子ども5人)
赤ちゃんの胸やお腹に顔をうずめる
おむつを替えるときやお着替えをするときに、赤ちゃんのお腹にやさしく口でブルブルっとしてあげると、赤ちゃんはくすぐったいのかとても楽しそうです。1歳や2歳になっても「もう一回~!」とスキンシップをはかりながら繰り返し遊べます。
「お腹に、ぶくぶくとなるように息を吐く」(30代・広島県・子ども3人)
「赤ちゃんの胸に顔をうずめて顎で優しくグリグリはかなり笑ってくれました」(20代・熊本県・子ども2人)
ママパパが笑いかける
ママやパパが笑っていると、赤ちゃんも真似っこをして、自然に笑ってくれることもあるようです。
「ニコニコと笑って接する」(40代・茨城県・子ども3人)
「ニコニコしながら身体を触ってあげる」(20代・愛知県・子ども1人)
赤ちゃんが興味を示す音であやす
赤ちゃんはいろいろな音に興味を示します。赤ちゃんのツボにはまる音を探してみるのも楽しそうですね。
「音の鳴るおもちゃであやす」(20代・静岡県・子ども1人)
「ぱっと唇で面白い音を出したりしてました」(30代・東京都・子ども1人)
発達過程を通して増える赤ちゃんの笑い
生まれて間もない赤ちゃんのほほ笑みは生理的現象であり、聴覚や視覚への刺激によって生じる笑いは生後数ヶ月で現れてくるケースが多いようです。
しかしアンケート結果からもわかるように、新生児のころあまり笑わなかった赤ちゃんもいるようです。発達には個人差があり、よく笑う、笑わないもそれぞれの赤ちゃんで異なります。ママパパの体験談を参考にして、赤ちゃんの様子をゆったりと見守りましょう。
こちらの記事もおすすめ


記事監修

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために修士課程に進学・修了。親御さん方へのアドバイスを充実させたいと思い、保育士・公認心理師の資格を取得して役立てている。現在は、世界に住む妊婦さんや産後の方向けに、オンラインサービス中心のエミリオット助産院を運営。
文・構成/HugKum編集部