【医師監修】赤ちゃんのあせもの原因は?顔・首・背中などの症状と予防・対策法から、治らなかったときの治療法まで

汗をかく季節の「あせも」は気になる肌トラブルのひとつですね。赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、家庭でのケアが重要になります。赤ちゃんのあせもは何が原因で起こるのでしょうか。また、どのような症状があらわれるのでしょうか。

当記事では、赤ちゃんのあせもの原因や症状など、冬にもあらわれるあせもについて、よしクリニック院長の中野貴光先生に教えていただきました。さらに、赤ちゃんのあせもの予防法・対策法・治し方を始め、あせもに効果的な保湿法や、市販薬・ベビーパウダーの使用、あせもが治らなかったときの治療法について解説いただきます。

赤ちゃんのあせもの原因

赤ちゃんのあせもの原因
赤ちゃんのあせもの原因

赤ちゃんの肌はデリケートで皮膚のバリア機能もまだ弱く、トラブルには注意が必要です。赤ちゃんのあせもの原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

赤ちゃんがあせもになりやすいのはなぜ?

あせもは、汗の通り道である汗管(かんかん)が詰まってしまい、汗が出にくくなることによって起こります。また、汗には尿酸やアンモニアなどの成分が含まれており、汗が肌を刺激することで痒くなって掻いてしまい、炎症を引き起こしてしまうこともあります。特に赤ちゃんは汗腺の密度が高く、新陳代謝が活発で汗をかきやすいため、あせもができやすい傾向にあります。あせもは、汗をかきやすく、汗が蒸発しにくい首周りや、ひじの内側やひざの裏側、おむつで締め付けられているお腹周りなどにできやすくなります。

赤ちゃんのあせもの症状

赤ちゃんのあせもの症状には、どのようなものがあるのでしょうか。できやすい体の箇所別に症状と原因を説明します。

顔のあせも

赤ちゃんの顔にできるあせもの症状には、口の周りが赤くなったりガサガサしたり、かゆみを伴うことがあります。これは、汗だけではなく、よだれや母乳、離乳食の食べこぼしなどが刺激となっている場合もあります。また、汚れを落とすためにガーゼなどで拭くことによって、肌をこすって傷つけてしまうことにもつながり、肌を炎症させてしまう原因になるとも考えられます。

首のあせも

赤ちゃんの首はしわが多いため、汗をかきやすいうえに、汗を拭きにくく、清潔に保つのが難しい箇所でもあります。首はかゆみを感じやすく、手も届きやすいため、掻いてしまうことでさらに悪化するというリスクもあります。

頭のあせも

赤ちゃんの頭にできるあせもは、赤いぶつぶつと強いかゆみが特徴です。小さな赤ちゃんの頭皮には、大人と同じ数の汗腺があります。髪の毛や帽子を被ったりすると汗をかきやすくなり、頭全体にあせもが広がる場合もあるかもしれません。

背中のあせも

赤ちゃんが寝返りを打てないうちは、通気性が悪い背中もあせもができやすい場所です。さらに、ベビーカーやチャイルドシートに長時間乗せることによるあせもは、気になる肌トラブルのひとつですよね。

冬でも赤ちゃんがあせもになるのはなぜ?

冬でも赤ちゃんがあせもになるのはなぜ?
冬でも赤ちゃんがあせもになるのはなぜ?

あせもは、暑く汗をかきやすい夏に起こりがちな肌トラブルですが、冬でも赤ちゃんにあせもができる場合があります。最近は、断熱効果の高い住宅や、高機能な暖房器具、さらに暖かい肌着などの影響で寒い時期でも暖かく過ごせるため、汗をかきやすくなっています。さらに、風邪を心配してついつい赤ちゃんに厚着をさせてしまうことも、あせもになりやすい原因といわれています。

赤ちゃんのあせもの予防法・対策法・治し方

赤ちゃんのあせもはどのように予防すればよいのでしょうか。また、できてしまったときの対策法と治し方を紹介していきます。

赤ちゃんのあせもは清潔第一

赤ちゃんのあせもの予防法は、まず肌を清潔に保つことが基本です。肌を清潔に保つために、日常生活では以下のような対策を行ってみましょう。

汗はこまめに拭き取る

まずは、汗をかいたらこまめに拭き取りましょう。その際、乾いたガーゼやタオルでゴシゴシこするのではなく、やさしくふき取りましょう。濡れたタオルで汗をぬぐうのは、肌にやさしくおすすめです。外出時などは、すぐに汗を拭くことができるウエットティッシュの携帯が便利です。

汗をかいたら着替える

汗で濡れた衣類をそのまま着続けることも、あせもの原因につながります。赤ちゃんの体を触り、汗をかいたなと思ったらこまめに着替えさせてあげてください。外出の際も、着替えを用意しておくと安心です。また、赤ちゃんの肌着などは、吸汗速乾性能のあるものや、べたつきにくい素材を選ぶといいでしょう。

入浴で汗を洗い流す

かいた汗は、すぐに洗い流すことがいちばんいい方法です。外出から帰ったときや、大量に汗をかいたときは、早めに入浴して汗を流しましょう。その際、石鹸などを使って皮脂や汚れをきちんと取り除くことが重要です。

赤ちゃんのあせもには保湿がマスト

肌のバリア機能が弱い赤ちゃんの肌は、保湿をすることでダメージを予防できます。保湿をするときは、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

まずは清潔にしてから

保湿をするときは、まずは肌の汚れを取り除くことが大切です。汗には皮脂が多く含まれているので、石鹸などを使ってきれいに洗い流しましょう。赤いぶつぶつがあったり、炎症を起こしたりしている場合は、38~40度のぬるめお湯での入浴やシャワーがおすすめです。

ローションやクリームを使って

保湿剤には、ローションやミルク、クリーム、オイル、ワセリンなどの種類があります。入浴やシャワーで清潔にしたあとは、ローションタイプの保湿剤を使って、水分を与えながらしっかりと保湿をしましょう。また、ワセリンなどはむしろ汗腺をふさぐことであせもが悪化する場合があります。

こまめに保湿する

汚れを拭き取ったり、入浴やシャワーを浴びたりしたあとには、こまめに保湿を行いましょう。一日に何度も保湿を行うので、塗り直しが簡単なミルクタイプの使用もおすすめです。

赤ちゃんのあせも、市販薬やベビーパウダーの使用は医師と相談を

あせもには、市販薬で対処することもできますが、その場合はどのような商品を選ぶといいのでしょうか。

市販薬の選び方

あせもの治療には、軟膏やクリームなどの外用薬の塗布が基本です。外用薬に入っている主な成分は、ジフェンヒドラミン、リドカインなどのかゆみを抑える効果のあるもの、酸化亜鉛などジュクジュクしがちな患部を乾燥させるもの、グリチルリチン酸二カリウムなど炎症を鎮める作用があるものなどあります。市販薬を使うことで悪化してしまう場合もあるので、医師と相談してから使用しましょう。

ベビーパウダーは予防

ベビーパウダーは汗を吸い取って肌をさらさらに保つ作用があり、あせもから肌を守ってくれます。おむつの中のおしりなど、蒸れやすい部分の蒸れ予防におすすめです。ただし、ベビーパウダーは毛穴や汗腺をふさいでしまうこともあるので、肌の様子を見ながら、場合によっては医師に相談のもと、注意して使用しましょう。

赤ちゃんのあせもが治らなかったら…

市販薬を使っても赤ちゃんのあせもが治らない場合は、早めに病院を受診してください。あせもの場合、何科をどのタイミングで受診すればよいのでしょうか。

病院は何科へ?行くタイミングは?

発疹が出る、肌が炎症するなど、肌にのみ症状があらわれている場合は、小児科か皮膚科を受診しましょう。激しくかゆがる、発熱や機嫌が悪いなど他の症状がある場合は、小児科を受診してください。判断に迷ってしまう場合は、まず小児科を受診してください。あせもは、掻きむしると肌バリアが崩れ、そこから細菌に感染する場合があるので、気になる症状がある場合は早めに病院で診てもらってください。

病院での治療法

病院でのあせもの治療法は薬物療法になります。外用薬を使って患部を直接治療する方法が基本ですが、症状がひどく外用薬だけでは改善しない場合は、抗アレルギー薬や抗生物質などの内服薬を使用することもあります。

病院で処方される薬

病院では、部位と症状に合わせた強さのステロイド外用薬や、抗ヒスタミン薬、保湿剤などを処方します。

ステロイド剤の使用については、正しい使い方をすれば副作用の心配はほとんどありません。使用回数や期間、用量や用法など、医師の説明をしっかり聞いて正しく使いましょう。

赤ちゃんのあせもには、正しい予防とケアを

あせもは、肌を清潔に保ち、保湿を心がけることで予防や改善をすることができます。適切なケアを行って、デリケートな赤ちゃん肌を守りましょう。

記事監修

よしクリニック 院長
中野貴光 先生

練馬駅徒歩2分、形成外科・皮膚科・美容皮膚科「よしクリニック」院長。平成9年、筑波大学医学専門学群卒業。東京女子医科大学の形成外科学教室に入局。東京大学医学部形成外科への国内留学、日本大学医学部形成外科でのオープニングスタッフとしての赴任等を経て、2年間アメリカのテキサス大学に留学。帰国後、医学博士を取得。2019年6月に練馬で「よしクリニック」を開業。
【所属学会】日本形成外科学会、日本美容外科学会、日本熱傷学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本抗加齢医学会
【資格】日本形成外科学会形成外科専門医、日本熱傷学会熱傷専門医、日本レーザー医学会レーザー専門医、日本手外科学会手外科専門医、日本形成外科学会小児形成外科分野指導医、医学博士
よしクリニック

文・構成/HugKum編集部

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