【小学校の先生に緊急アンケート】コロナ禍の夏休み、先生が困っていることは?

長い休校から怒涛の授業再開を経ての夏休み。先生たちは今、何を思う?

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、学校は3か月近い休校を余儀なくされました。その影響は夏休みの短縮という形で現れています。小学校教員のための教育情報サイト『みんなの教育技術』の協力のもと、全国の小学校の先生方104名に緊急アンケート。休校から授業再開を経て迎えた夏休み、先生たちが困っていることや保護者に望むことなどを調査しました。

2020年の夏休みは短い?

例年では30〜40日間ほどある夏休み。【今年の夏休みの日数はどのくらいですか?】とのアンケートには、「16日間」と「23日間」が16%と同率で首位に。続いて「14日間」が11%、「10日間」と「17日間」が10%という結果に。

自治体によって日数はバラバラですが、短いところでは9日間、長いところでも23日程度と例年に比べ大幅に短くなっているようです。

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先生たちは夏休み期間中、何をしているの?

「研修」「行事の準備」「次学期授業準備」に大忙し

子どもたちが夏休みの間、先生たちも全ての期間が休みというわけではありません。

【夏休み期間、先生たちは何をしているの?】という問いには、ほとんどの先生が「研修」・「行事の準備」・「次学期授業準備」と答えていました。また、先生には夏休み期間中「日直」の仕事が持ち回りであります。「畑の管理」「生き物の世話」をするという答えも。

「個人面談」や「成績処理」に追われる先生も

夏休み期間中に「個人面談」を行う学校もあります。二学期制の学校は9月のはじめに成績一覧表を提出するようで、夏休みは「成績処理」に追われるという先生も。

「教員免許更新講習」や「教員採用試験の面接練習」という答えもありました。授業がない分、事務処理や研修など多岐にわたる仕事が山積みのようです。

先生たちが今、困っていることは?

新型コロナウイルス感染症の不安を抱えながらの授業の再開。平常時でも先生たちの過重労働が問題視されている中、感染症対策や、休校中の授業の遅れの調整、子どもたちの心のケアなど、さらに先生たちの負担が増えているのが現状です。

「ウィズコロナ」時代の今、先生たちがどんなことに頭を悩ませているのかを聞いてみました。

コロナ対策の多さに疲弊している

感染症対策のため掃除や給食の配膳なども担任の先生の仕事になっている学校もあるよう。朝の健康チェックや手洗い指導、放課後の教室の消毒など、コロナ対策のあまりの多さに疲れている先生も多数。

とにかくコロナ対策への疲労がすごいです。配布物は教師が全て配る。トイレそうじ。毎時間手洗い。制限がある中での授業。(30代・女性/小5担任)

給食配膳を全て担任1人でこなし、放課後の消毒など教師の負担が多くてつらい。(30代・男性/小1担任)

給食は、準備やおかわりなど、ほとんど担任がすることになり、かなり仕事が増えた。(40代・女性/小1担任)

グループワークができない

文部科学省が全国の教育委員会などに通知した「学校の新しい生活様式」によると、感染リスクの高い学習活動には、対面形式のグループワーク、合唱や管楽器演奏、調理実習、児童生徒が密集する運動が挙げられています。そのためグループワークが思うようにできないと言ったお悩みが多く寄せられました。

参照:学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~

グループワークができないため、授業作りが難しい(40代・女性/小3担任)

三年生ですが、図工がグループ学習の内容が多く、コロナ感染予防対策のため、実施できない(40代・女性/小3担任)

学校生活で密にならないことの難しさ。体育や音楽の評価。(40代・男性/小4学年主任)

授業日数が減って、時間が足りない

長い休校期間による授業の遅れは、保護者にとっても不安に感じる部分。どこの自治体でも、学習指導要領で定められた教育課程を今年度中に終わらせるため、夏休みの短縮や土曜日授業も実施したりと対策に追われています。授業も通常よりペースアップしなければならず、子どもたちの理解が追いついているか不安を感じている先生も。

授業時数がきつきつで授業を進めることに一所懸命ですが、子ども達はきつきつの時数でかわいそう。休み時間が短く、コロナ禍の週時程がこれから続くと教師も児童も潰れてしまいます(30代・女性/小3担任)

年間の学習内容を終わらせないといけない焦り(40代・女性/特別支援級担任)

怒涛の1学期で基礎基本が定着できていない。「生活」の単元をどうするか。町探検や生き物の飼育など。(30代・男性/小2担任)

なかには、「学習の遅れを取り戻せるように、カリキュラムを変更したり、自宅学習と並行したりしているので心配しないでほしいです(20代・女性/小6担任)」という心強いメッセージもありました。

とにかく研修が多い

通常の夏休みでも研修や次学期の準備に追われている先生。夏休み期間が短くなるということは、その分研修や研究に費やす時間が減ってしまうということ。どの先生方も今年の夏は本当に忙しそうです。

いままで40日間ほどあった夏休み中に研修や資料作成があったのだが、20日ほどでそれをしなくてはいけない。オンデマンド研修と言いながら、研修がある。(50代・男性/小4担任)

夏休みが短く、研修、研究の時間がとれないこと。(30代・女性/小1担任)

コロナ対策や遅れた授業を効率よく取り戻すための授業研究が大変であるにも関わらず、管理職は、残業を減らせ、休暇を取れと言う。結局、家での仕事が増えるだけで、忙しさは増している!(50代・女性/小1学年主任)

先生が保護者へお願いしたいこと

感染リスクの軽減のため、また、授業の遅れを家庭学習で補うため、今まで以上に学校と家庭の連携が重要になっている今、先生方が保護者へお願いしたいことはどんなことでしょうか?

体温チェック表は忘れずに記入して欲しい!

朝バタバタしていて、つい記入し忘れてしまった!という保護者は多いのでは? 我々のうっかりミスで、先生たちにそんなにも負担をかけていたとは…。申し訳ない気持ちでいっぱいです。家庭での健康チェックは感染拡大防止に重要なこと。先生の朝の仕事を減らすためにも、忘れずに検温しチェック表を持参させましょう。

毎日検温カードをチェックしていますが、検温忘れの児童がいると、保健室ではかることになっています。全員の健康が確認できないと一日をスタートすることができないので、検温の声かけは保護者も一緒にしていただけるとありがたいです。(20代・女性/小4担任)

朝は検温チェックして、検温を忘れた子がいれば、検温しているのが大変。(日によっては5、6人いて困る)(40代・女性/小1担任)

健康観察カード正確な記入、提出を義務付けているが、遵守されにくい。(30代・男性/小2学年主任)

家庭学習のサポート

今年は特に家庭学習の協力が必要と考える先生が多数。授業時間数が少なくなってしまった分、授業進度が早く、ひとりひとりをしっかりフォローできないというのが現状のよう。家庭学習を通して、子どもの苦手の発見と克服を保護者にもお願いしたいという声が。

授業時間数が少なくなった分、苦手分野を強化できる余裕がないので、家庭でしっかり見てほしい。短縮されたとしても夏休みは苦手分野を克服するのに大切な時期だから。(個人面談でも伝える予定)(40代・男性/小5担任)

今年度は、特に、家庭学習の協力が必要。学校での学習は、休業期間の埋め合わせのため、あまり余裕がない。(40代・女性/小6担任)

家庭学習のサポートをして欲しい。宿題の丸つけなど必ずしてくれるとかなり違う(50代・女性/小4担任)

がんばっている子どもたちにポジティブな声かけ

子どもたちも日々いろんな制限がある中で、がんばって学校生活を送っています。これまでの努力を認めて、夏休みは思う存分リフレッシュさせてあげましょう。

夏休み中に、2学期を迎えるにあたり意欲を高める声かけ、ポジティブな声かけをお願いしたい。(30代・女性/小2担任)

感染防止をしつつ、生活リズムを崩さないようにしてほしい。子供とたくさん関わってあげてほしい。(30代・女性/小1担任)

マスクのせいで子どもたちが思いっきり遊べない。いろいろな規制の中がんばって学校にきています。ということを知ってほしい。(40代・女性/小4学年主任)

子供たちはとってもよく頑張っていますのでご家庭でも励ましてほしいです。(20代・女性/小4担任)

学校と家庭の連携は不可欠

先生も保護者も子どもたちを守りたいという思いは一緒。お互い気づいたことや気になっていることを話し合ったり、自分たちにできること協力して行い、コロナ禍を明るく乗り切っていきたいですね!

授業のことや生活指導のこと、学校としての取り組みなどについて、保護者が感じることはどんどん言ってほしいです。ノークレームでは、学校も教師も改善していかないし、同僚同士で変えるのが難しいこともあります。外部からの率直な意見は貴重です。「こんなことぐらいで」と思わず、「こんなこと」で済ませられるうちに、担任か管理職へ言ってほしいと思います。(30代・女性/個別支援級担任)

みんななんらかの形でコロナの影響を受け、我慢したり生活を見直したりしている。そんな非常事態でもできることを協力してやっていきましょう。(50代・女性/小6算数主任)

子どもも保護者も先生も、みんな頑張っている。みんなで、今を工夫して、楽しみましょう。(30代・男性/小2学年主任)

子どもが学校へ行きたくないと言ったときは?

大人でさえ、先の見えない不安感に押し潰されそうになる現在。子どもたちも不安やストレスを多く抱えています。長く続いた休校からの怒涛の授業再開に、心と体がついていけないという子も。「学校に行きたくない」と子どもが言い出したら、親はどのような対応をすればいいのでしょうか?

コロナ不安で学校に来られない子がいます。ゆっくりしていいよと伝えたい。学校に行きたくなかったら行かなくていいということ。(40代・女性/理科専科)

子どもが学校にいきたくないと言っても慌てないでください。『学校が始まる。楽しみ。』となっているときに出鼻をくじかれた感じになり、マスクはしなきゃいけないし、友達とは手も繋げない…そんなんだったら家にいた方が気が楽…となるのはあたりまえなのだから。ドンと構えていれば、大丈夫です。(50代・女性/小1担任)

慌てずに、まずは子どもの気持ちを受け止めて、寄り添ってあげるのがいちばん大切のようですね。

先生と保護者が協力し、子どもたちの笑顔を守ろう!

平常時でも忙しい先生たちは、新型コロナの影響でさらに負担が増していることがわかりました。先生や学校に任せっきりにするのではなく、家庭での健康チェックや家庭学習のフォローなど、我々保護者ができることはしっかりと協力し、大切な子どもたちの笑顔と健康を守っていきたいですね。

日々がんばってくださる先生方に感謝しつつ、夏休みを親子共々楽しく過ごしましょう!

 

文・構成/HugKum編集部

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