【助産師監修】新生児に適切なミルクの量はどれくらい?1日のトータル量から週ごとの量まで解説

赤ちゃんの成長に関わることだけに、多くのママが心配になってしまうことのひとつが「授乳」。今回は、待ったなしでやってくる新生児の赤ちゃんの授乳量についてリサーチしました。

新生児のミルクの量はどれくらい?

生後1年未満の乳児期は、1年間で体重が約3倍に成長し、人生で最も発育する時期。

発育の程度は個人差があるため、母乳・ミルクの量が不足しているかどうかについては、 子どもの状態や個性や体質などを見て総合的に判断する必要があります。

特に、初めての子どもの場合は、ママ・パパの知識もままならない状態からスタートする育児なので、事前に育児書などで学習しておくことが必要です。

新生児のミルクの量の目安

まず、気になるのが新生児のミルクの量についてですが、そもそも新生児とはいつのことを言うのか、また授乳量の目安があるのかということから解説します。

新生児の定義

新生児とは、産まれて0日〜28日未満の赤ちゃんのことを言います。まだまだ体が未熟なので、1ヶ月健診を終えるまでは基本的に外出せずに過ごす時期と言われています。

新生児の授乳の計算方法

まったなしで始まる新生児の授乳には悩みがつきがち。授乳については産んだ病院で指導があることがほとんどですが、助産師さんなどに相談しながらスタートしても。

新生児期の授乳については、具体的な計算方法があります。

目安は「生後日数×10ml(+10ml)」が基本になります。(+10ml)となっているのは、少し多めに飲む赤ちゃんもいるからです。

体重による授乳量の目安

一般的に最初の1ヶ月は、赤ちゃんの体重が1日当たり約20~30gずつ増えるのが理想と言われています。授乳量がきちんと足りているかどうか分からない場合には、赤ちゃん用のスケールで飲む前と飲んだ後の体重を計るという手もあります。

新生児~生後1か月のミルクの量

産まれたばかりの赤ちゃんへの授乳で、特に不安が大きいのが、授乳量。

赤ちゃんの成長に欠かせないこともあり、きちんと知っておきたいというママも多いですよね。悩めるママを救うべく、目安となる量をまとめてみました。しかし、授乳量は個人差が大きいため、これはあくまで目安と考えてくださいね。

新生児の母乳・ミルクの量はどのくらい?

 

生後0日~1週間

この時期はまだ産院に入院していることがほとんどなので、助産師さんに相談しながら決めていきましょう。また、退院後についてもしっかり聞いておくと安心できますよ。

母乳だけの場合

ママの体力が一番きつい時ですが、授乳の目安は1日8~12回 、間隔は2〜3時間おき(個人差あり)母乳は赤ちゃんが欲しがるだけあげてOK。そうすることでママの母乳量もだんだんと増えていきます。

ミルクだけの場合

ミルクは1日10mlずつ増やしていく計算なので、生後0日の場合は5~10ml、生後7日の場合は、70ml(+10ml)で、70~80mlとなります。ただし、個人差があります。

混合の場合

混合栄養の場合、おっぱいを飲んだあとに、まだ欲しがるようであればミルクを飲ませてあげましょう。混合栄養の場合、ミルクより先に母乳をあげます。母乳は赤ちゃんが欲しがるだけあげて大丈夫です。

生後1週間~2週間

この時期の赤ちゃんは体重も少しずつ増えてきて、一度に飲める量が増えてきます。

母乳だけの場合

1日の授乳間隔は個人差がありますが2~4時間で、1日の授乳回数目安は7~8回が目安になります。目安なので、赤ちゃんが欲しがるだけ与えてOK。ただ、一度の授乳が1時間近くになるようなら、母子ともに疲れてしまうので、そこでストップしましょう。

ミルクだけの場合

産院から退院し、里帰り先や自宅で過ごす頃。使っているミルク缶に記載された規定量を目安に、多少の増減は気にしすぎなくてOK。1回に与える目安は約80mlになります。

混合の場合

この時期の混合も母乳を飲んだあと、まだ欲しがるようであれば、赤ちゃんの様子を見てミルクをあげてOK。量は、母乳をどれだけ飲んだかによるため、退院したときのアドバイスを参考に与えましょう。しっかりおなかがいっぱいになると、ぐっすり寝る可能性が高いです。

生後2週間~3週間

赤ちゃんが母乳や哺乳瓶でミルクを飲むのに慣れてくる頃。どちらも試しておくことで、ママが病気になり薬を飲んで母乳があげられない時も、ほかの人が授乳でき安心です。

母乳だけの場合

1日の授乳間隔の目安は、1日2~4時間で、1日の授乳回数目安:7~8回になります。

ミルクだけの場合

個人差が大きいですが、生後半月の赤ちゃんに1回に与えるミルクの量は100ml前後になります。

混合の場合

今までと同じく、母乳のあとに欲しがるようであげてOK。もちろん目安を下回っていても、これ以上飲まないという場合には無理して飲ませなくて大丈夫です。

生後3週間~4週間

新生児、最後の4週目。なかなか母乳もミルクも飲んでくれないなんていう場合には体重を計ってみても。体重増加は個人差が大きいので、必要な分が増えているかどうかわからない場合は、産院に相談してみてくださいね。

母乳だけの場合

目安は、80~120mlを1日7回。飲む量がぐっと増える時期。ママの母乳がしっかり出るようであれば完全母乳でもOKかもしれませんが、母乳にこだわらずミルクも合わせてあげると安心かも。

ミルクだけの場合

約120mlと、生まれたての時期に比べると量もたっぷりする時期。成長の度合いも大きく変わってくるので、ミルク缶の量を目安に飲ませてあげましょう。

混合の場合

混合の場合には、母乳を与えて、足りない分をしっかりミルクで補ってあげましょう。

生後1ヶ月~2ヶ月ごろ

新生児を過ぎた頃になると、だんだん体つきもしっかりしてきますよね。ミルクを飲むことにも慣れて、哺乳瓶を自分で抱えて飲むなんていう可愛いらしい姿が見られることも。成長を感じるころでしょう。

母乳だけ場合

母乳の場合、1日の授乳間隔目安は3~4時間で、1日の授乳回数目安は6~7回になります。

ミルクだけの場合

1回に与える量は120~160ml程です。これまでの哺乳量に沿って、少しずつ増やしていくとよいでしょう。

混合の場合

もし、保育園の入園などで卒乳を考えている場合には、昼間の母乳をミルクにかえて、夜だけ母乳を与える(または夜もミルクにかえるなど)ように調整していくとスムーズに移行できます。

新生児の授乳量が足りているサイン

まだまだ量が足りているかよく分からない、母乳やミルクがきちんと飲めているかどうか不安、ということもありますよね。そんな時には、授乳量が足りているかをチェックする方法があります。

元気な様子

顔の血色がよく、機嫌がいい、肌の張りがいいのは、しっかり母乳やミルクが飲めているサイン。

体重が増えている

発育には差があるので、その子なりに体重が増えていればOK。ただし、もともと軽い体重で生まれた赤ちゃんや早産で生まれた赤ちゃん、その他の赤ちゃんでも体重をチェックするようにアドバイスを受けている場合は、そのとおりにしましょう。

しっかりおしっこが出ている

おしっこが1日6回以上出ていれば、しっかり授乳できている証拠です。しかし、飲めていないのではないかと心配な場合は、医師や助産師に相談しましょう。

新生児の授乳量が足りないサイン

育児用ミルクの授乳では、1日の目安量に達しな くても子どもが元気で、体重が増えているならば心配はありませんが、見た目に足りなさがわかることもあるので、しっかり観察してあげましょう。

体重が増えていない

目安の量よりも思うように体重が増えない場合には、授乳量を増やしてみるなど調整をしてみましょう。

激しく吐いて、体重が減る

ミルクを飲みすぎると吐いてしまうイメージがありますが、足りない場合にも吐いてしまうことがあります。さらに体重が減っているようなら要注意。

おしっこが1日6回以上出ていない

水分がしっかり摂れていれば、おしっこの量も増えるもの。おしっこが1日6回未満の場合には、授乳量を増やしてあげましょう。

授乳後、すぐにミルクを欲しがる

新生児期の赤ちゃんは、母乳なら欲しがるだけあげてOK。ミルクの場合、これまでの量を参考に少しずつ増やしてあげると良いでしょう。

新生児の飲み過ぎたサイン

新生児の時期は頻繁に飲みたいと泣かれることも多いものの、あまり考えずに飲ませてしまうと、飲み過ぎてしまうことも。そんな時の困ったサインをご紹介。

ミルクをよく吐く

ミルクをよく吐きもどす。

おなかが張っていて苦しそうに泣く

ぐずってしまうときに、おなかが張っていそうなときには要注意。

口からダラダラとミルクをこぼす

飲みながら、ダラダラとミルクをこぼしている時には、惰性で飲んでいる可能性が。すぐに授乳を終わらせてあげましょう。

具合が悪い時

赤ちゃんの具合が悪いときには、これまで飲めていた量が飲みきれなくなるときもあります。熱が出ていないか、機嫌が悪くぐったりしていないかなどもみてあげて、母乳やミルクを受けつけないようであれば小児科を受診しましょう。

神経質になりすぎずに目安を参考にして

初めての授乳だと、どのくらいあげればいいのか、足りてる?足りてない?と不安になってしまうものですよね。でも、赤ちゃんの成長には大きな違いがあるもの。あくまで月齢ごとの目安と考えて、神経質になりすぎないように、授乳タイムを楽しいものにしてくださいね。

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参考:厚労省 授乳・離乳の支援ガイド

参考:明治 混合栄養にする時には

記事監修

河井恵美|助産師・看護師

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

文/松川麗 構成/HugKum編集部

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