授乳中の食事、母乳への影響は?
授乳中の食事は母乳の成分に影響するのでしょうか。授乳中の食事についてみていきましょう。
母乳の出方に食べ物や飲み物は影響する?
母体は何を食べても母乳の成分や量を一定に保つ機能が備わっています。母乳にいい特別な食べ物や飲み物はなく、ママが健康でいられる食べ物をバランスよく食べることが重要です。授乳をすると水分が失われるので、こまめに水分補給をすることを心がけましょう。
授乳中に控えたい食べ物や飲み物はある?
母乳を作るにはママの健康な体が必要です。母乳のために食べないほうがいい食べ物や飲み物はありませんが、健康によくないものは控えるようにしましょう。妊娠中だけでなく、授乳中も健康を損なうアルコールや喫煙などは避けましょう。
気になる食べ物・飲み物のQ&A
授乳中に気になる食べ物・飲み物の疑問をQ&Aでお答えします!
・お酒やアルコールは少しならOK?
アルコールは母乳に移行するため、授乳中はアルコールを控えるのがベストです。アルコールは、母乳分泌を促すホルモンである「プロラクチン」の分泌を妨げるため、母乳の量にも影響が出てくるともいわれています。
たまに息抜き程度に少量のアルコールを飲むことは可能ではありますが、妊娠中に続き授乳中もママのアルコール摂取は赤ちゃんにとっていいものではありません。授乳後にアルコールを摂取した場合、30~90分後に母乳中のアルコール濃度が最高値になります。その時間の授乳を避ける、もしくは搾乳して捨てるようにし気を付けるようにしましょう。
・はちみつはダメは本当?
授乳中のママがはちみつを食べでも問題ありません。ママがはちみつを食べたとしても、母乳を通して赤ちゃんにはちみつが移行することはありません。しかし、1歳未満の乳幼児が直接にはちみつを摂取すると乳児ボツリヌス症を引き起こす可能性があります。はちみつ又ははちみつが含まれた食べ物は与えないようにしましょう。
・コーヒーやカフェインはどれくらいまで?
授乳中のカフェインの摂取量は1日300mgまでとされています。目安として、コーヒー約2杯、紅茶約4杯、煎茶約6杯(各250mlのカップ)となります。カフェインを摂取するときは、母乳への影響を考えて授乳後に飲むようにし、なるべく1日の摂取量を超えないように気をつけましょう。
・プロテインは飲んでもいい?
商品によっては授乳中に摂取可能と記載されているものもありますが、ものによっては授乳中は避けるようにと注意書きされているものもあります。プロテインといっても含まれている成分は商品によって異なっています。不安な場合は医師に相談するようにしましょう。特定の栄養を過剰に摂取することは避けるようにし、バランスのよい食事が重要であることを忘れないようにしましょう。
・寿司や刺身、生ものは食べてもいい?
厚生労働省の資料によると、母親の魚介類摂取による母乳への影響について「母乳を介して乳児が摂取する水銀量は低い」と記されています。ただし、生ものを食べて食中毒になってしまうと、母乳への影響はありませんが授乳することがママにとって辛くなります。生魚を食べるときは、過剰に食べるのを避け、新鮮なもので食中毒になりにくい魚介類を選ぶようにするといいでしょう。
授乳中の食べ物についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。
授乳中にダイエットをしてもいい?
妊娠してから増えた体重と変わり果てた体型に悩むママも多いようです。産後ダイエットを始めるのは産褥期を過ぎて体が回復してからがいいとされています。しかし、授乳中のママは健康な体と十分な体力が必要なため、無理なダイエットは禁物です。授乳中のダイエットの注意点についてみていきましょう。
授乳中は自然と体重が落ちる
授乳中は、通常よりも母乳を作るときにエネルギーが余分に消費されやすく、授乳によって体重が減ったと感じるママもなかにはいるようです。しかし、消費エネルギー以上の過剰な食事を摂ると太る場合もあります。授乳で体重が自然に落ちるケースには個人差があり、体重が減っても体型が戻らないとの別の悩みがでてくるケースもあったり。
過度のダイエットは禁物。バランスの良い食事を
体重の変化と食事量のバランスをはかるようにして、極度な食事制限は避けましょう。子育て期のママは十分な体力が必要です。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの「五大栄養素」をバランスよく摂り、1日3食必ず食べるようにしましょう。
ダイエットで食事制限をしたら母乳に影響はある?
授乳中のママは、一般的な女性が1日に必要であるカロリー1800kcalに加えて、350kcal程度プラスして必要であると言われています。ダイエットで食事制限をし、特定の栄養を過剰・過少に摂ってしまうと母乳の質と量に影響を及ぼすこともあります。大切なのはバランスの取れた食事を十分にとることで、1日3食の食事を抜いてしまうことがないように心がけましょう。
産後ダイエットについて詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
授乳中の薬の使用や注意点
授乳中に気をつけておきたいことのひとつが薬との付き合い方です。万が一ママが体調を崩して薬を飲まなくてはならなくなった時、正しい情報をもとに適切に対処する必要があります。授乳中の薬と赤ちゃんへの影響についてみていきましょう。
薬と母乳への影響について
授乳中のママが薬を服用すると、母乳から赤ちゃんに移行します。しかし、抗がん剤や放射性ヨウ素、抗不整脈薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗不安薬、医療用麻薬などの一部の薬を除き、赤ちゃんに及ぼす影響は少ないと考えられています。薬を服用する際は、自己判断することは避け、授乳中であることを医師もしくは薬剤師に伝え、きちんと相談するようにしましょう。
授乳中の薬の飲み方と注意点
薬を服用する際は、授乳中でも服用が可能であるか確認し、用法・容量をきちんと守りましょう。薬を服用した場合、母乳中の薬の濃度は服用後2〜3時間で高くなります。薬を飲む際は、薬の服用直前か直後に授乳するようにし、なるべく赤ちゃんに移行しないよう注意するといいでしょう。
外用薬や湿布は赤ちゃんへ影響しない?
軟膏などの外用薬や湿布は、飲み薬に比べて母乳に移行する薬の量は少なく、基本的に用法・容量を守っていれば授乳中も使用が可能です。ただし、外用薬や湿布薬のなかには医師や薬剤師に相談が必要なものもあります。使用する際は、かかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
授乳中に下の子の妊娠が判明したら
授乳中に妊娠がわかった場合、どのような兆候があるでしょう。気を付ける点とともにみていきましょう。
妊娠の兆候は?
生理前に排卵が起こるため、産後に一度も生理がこなくても妊娠する場合があります。授乳中に妊娠すると、ホルモンバランスの変化により、母乳がでにくくなることもあります。つわりや眠気、においに敏感になったり、食欲が変化したりなど妊娠の初期症状と考えられることがないかチェックしてみましょう。
妊娠の兆候には個人差がみられ、1人目の妊娠の時とは違う兆候であったり、症状も軽かったり重かったりとさまざまです。不安な場合は医師に早めに相談することをおすすめします。
授乳は続けてもいい?リスクはない?
妊娠中の授乳については医師によって意見が分かれています。母乳を与えると乳首への刺激により、子宮を収縮させやすくする作用があるオキシトシンというホルモンが分泌されます。よって、妊娠中の授乳は流産・早産につながる可能性があるのではないかと様々な研究で取り上げられていますが、明確な因果関係はわかっていません。
妊娠の状態によっても医師の判断が変わってくる場合があります。かかりつけの産婦人科で授乳について相談し、自己判断せずに医師に診断してもらうようにしましょう。
授乳中の妊娠について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
授乳中の悩みは自己判断せず医師に相談を
授乳中は妊娠中とはまた違ったさまざまな悩みや不安なことが出てくる時期でもあります。初めてのお子さんの母乳育児はママにとっても初めてのことばかりで不安になるのは当たり前のことです。不安に思ったら自己判断せずに、医師に相談するようにして健やかな授乳期を過ごしましょう。
文・構成/HugKum編集部