連続、連合など、日常でもよく使う「連(れん)」。「連」は1文字でも、他の漢字と組み合わせても使える、名付けの有力候補でもあります。赤ちゃんに人とかぶらない名前を付けたいけれど、あまり奇抜な名前はちょっと…という方にもおすすめです。
今回は漢字の由来や、名付けではどんな意味を持つのか、「連」の意外な歴史などを徹底解説。また「連」を使ったおすすめの名前候補もご紹介します。
「連」の由来
連れる、連なるなど現代でもよく使われる「連」ですが、実は古代日本の時代から重要な役職に名付けられていた漢字でもあります。
「連」の成り立ち
しんにょうは十字路と足の形をあらわした、「行く」という意味の象形文字。「車」は人が並んで車を引くさまをあらわした象形文字。2つの象形文字が組み合わさり、「連」は道を人が引いた車が行く様子をあらわす漢字となりました。
音読みでは「れん」、訓読みは「連れる(つれる)」「連なる(つらなる)」「連りに(しきりに)」などと呼びます。また変わった読み方では「むらじ」「まさ」「やす」などがあります。
「連」の意味
「連」は人が近い距離で並んだり、列を作ったりする様子や、物がつながっているさまをあらわす漢字です。
これが長じて人との関わりや、人や動物を同行する行為、また同行者そのものを指す言葉となりました。一連、二連のようにつながった物のひとまとまりを指す言葉でもあります。
「連」は神の末裔に与えられていた名前だった!
684年に、天武天皇によって皇族とは違う神を祖とする豪族に与えられたのが「連(むらじ)」の姓。ヤマト政権下の古代日本で数々の改革を行った天武天皇の政策の1つ、八色の姓(やくさのかばね)では、豪族たちに地位をあらわす姓がそれぞれ与えられています。
「連(むらじ)」は8つの内、7番目の姓で、軍事に携わる特に位の高い氏族は「大連(おおむらじ)」となりました。
名前の「連」はどんな意味?
きりっとした響きの「連」は、名前においては人との良縁や、良い物事と結びつく人生への願いを込めることができます。
人や物が連なるさまから長じて、人間関係や良い事との縁を意味づけられ、良い事が連なる(つながって続いていく)意味を込められるのです。
名付けのポイント
赤ちゃんの名付けの際には、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。名付けのポイントをまとめてみました。
字画を調べる
名付けられた人の運勢を左右する姓名の字画。名付ける前に調べて、幸運を呼ぶ名前にしましょう。姓名判断を行うWebサイトでは、名前の吉兆を簡単に調べることができます。また専門家の意見を聞いて本格的に検討したい方は、姓名判断を行う神社やお寺に出向き相談してみましょう。
言葉の響きを考える
名前は口に出して呼び合うもの。子どもがその名前で呼ばれる様子を想像し、イメージをつかみましょう。名前候補を口に出してみて、名字とのバランスなどを耳で聞いてみることが大切です。
言葉の意味を考える
名付けでは、どんな人になってほしいか、どんな人生を歩んでほしいかを考え、その願いに意味が通じる名前を考えてみましょう。憧れの人や、家族や親戚の名前から1文字を頂いても◎。
「連」を使ったおすすめの名前
1文字でも名前として十分、良い漢字ですが、「連」を使った2文字以上の名前はどのようなものがあるのでしょうか。
連之(まさゆき)
「之」は「の」「ゆき」「これ」などの読みを持つ、古くから人名によく使われる漢字です。3画のシンプルな文字ですが、元々は「止」と「一」の字が合わさってできたもので、停止線の前で立ち止まる足をあらわしています。このことから「之」は、行く、進むという意味を持ちます。
連之という名前には、夢や希望に向かって、人と助け合いながら進むという意味を込められるのです。
明連(あれん)
「明」は古くは窓から月の光が差し込むさまをあらわした漢字で、明るいさまをあらわしています。名前における「明」は、人柄の明るさや、物事をはっきりと見定める力と関連づけられる文字です。
明連という名前には、明るい性格で人との縁がつながるようにという願いを込められます。
栄連(えれん)
火の燃え盛るたいまつをあらわした「栄」は、輝きや名誉、物事が勢いよく繁栄することを指す漢字です。
生命力にあふれた「栄」は、名付けでも好まれています。栄連は、繁栄が長く続く人生になるようにという願いが込められる名前です。
理連(りつ)
物事の区別や法則、整えることなどを意味する「理」。「り」や「ことわり」とも読むこの文字は、元々は宝飾品の玉の表面を磨き整えるさまをあらわす漢字でした。
名付けでは賢さや義理人情に厚い人柄を願って使われる「理」と物事の繋がりをあらわす「連」を組み合わせれば、しっかりと筋の通った人柄や人間関係を生み出せる人、という意味が込められます。
連一(れんいち)
漢数字の「一」は物の数を示すだけでなく、物事の始まりや最高をあらわす漢字でもあります。名前に使う時は、最高の人生や唯一無二の存在の意味を込めて使われる事が多い文字です。
連一には、良いご縁の始まりをつかむことができるようにという願いや、良い状態が続くようにという願いを込めることができるでしょう。
連成(れんせい)
元々は「戈(ほこ)」を作る最後に飾りを付けたことからできた「成」の字は、長じて仕上げる、一人前になる、育つなどの意味を持つようになりました。
名前では、物事を最後まで成し遂げる力や取り組みが成功することを願って使われます。連成の名前には、物事に我慢強く、努力を続けて成功に導く力を願うことができます。
連那(れんな)
字面や響きが優しい印象の「那(な)」は古くはひげや毛が豊かにゆったりと垂れているさまをあらわし、長じて豊かさや、しなやかな美しさを意味するようになりました。
名前においても同様に、美しさやしなやかさの意味が込められます。
連那という名前には、豊かさや美しさ、しなやかさをいつまでも持ち続ける人という意味が込められるでしょう。
連華(れんか)
咲き誇る花々をあらわす「華」は、名前に使えば美しく華やかな印象を持たせることができる漢字です。
外見ばかりでなく、内面の豊かさや美しさを願って使われる「華」と「連」の字を合わせた連華という名前には、美しさや華やかさを失わずにいられるようにという願いを込めることができます。
花連(かれん)
「はな」という読みの漢字の中では最も一般的な「花」は植物の花だけでなく、美しさや人や物事が栄える様子をあらわす文字でもあります。また、「花を持たせる」という例えのように名誉や成果も意味し、名前にも同様の意味が込められます。
花連の名前には、美しさを持ち続けるようにという願いや、万事が良い方向に運ぶ人生になるように、という願いが込められるでしょう。
連心(れみ)
心臓の象形文字である「心」は、人の気持ちを意味する他に、物事の最も重要な事柄をあらわす漢字です。
連心という名前には、人と気持ちが繋がる、深い関わりを作ることができる人という意味や、大切なものを持ち続けられますように、という願いを込めることができます。
奥深い「連」の字を名付け候補に!
歴史の中でも重んじられてきた「連」の字は、1文字でも他の漢字と組み合わせても映え、また人や幸せとの縁につなげてくれる漢字です。
慣れ親しんだ漢字でありながら、実は奥深い漢字の「連」を、名付け候補に是非加えてみてくださいね。
文・構成/HugKum編集部