「性教育」というと、私たち親の世代は小学5~6年の頃に男女別々の教室に集められ、生理などの話を保健の先生から聞かされた、という記憶のある人も多いと思います。
自分にとっての「性教育」はそんな遠くて淡い過去のことですが、子どもが生まれると親である私たちは容赦なくその件の責任者に据え置かれ、思っている以上に早いタイミングで責任者としての役割を果たすことが求められています。
目次
性教育を広げる活動を行う医師夫婦“アクロストン”による『赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A』
大切なわが子の体と心が健全に育まれるよう、きちんと正しい知識をつけてあげたい。そう願う親は多いはずです。でもそれが自分自身の言葉で子どもに伝えるとなると、何から話し始めていいのか、どこまで話すものなのか、そしてどんな風に伝えればよいのか頭を悩ませてしまいます。
そこで今回ご紹介したい、性教育を広げる活動を行う医師夫婦“アクロストン”による著書「赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A」には、性教育の始めどきはいつからか、小さいころから始めると性教育がラクになると書かれていますが、一体それはどういう意味なのでしょうか。
思っている以上に早くやってくるその日のために、この本でお子さんに伝えるための準備を始めてみてはいかがでしょうか。
記事監修
妻のみさとは産業医、夫のたかおは病理医をしながら、2018年に「アクロストン」としての活動をスタート。公立の小学校の授業や企業主催のイベントなど、日本各地で性にまつわるワークショップを行う。『3~9歳ではじめるアクロストン式「赤ちゃんってどうやってできるの?」いま、子どもに伝えたい性のQ&A』(主婦の友社)、『思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになっているなんて!』(主婦の友社)、『10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック(ほるぷ出版)』が発売中。
子どもの性の疑問にあいまいに答えてはいませんか?
Q赤ちゃんってどうやってできるの?
A赤ちゃんのもとどうしがくっつくと、赤ちゃんになるんだよ
Q赤ちゃんってどこから生まれてくるの?
Aおまたの穴から生まれるよ
話し方は3~4歳くらいの子どもでも理解できるような易しい言い方ですが、本の中では答えの後に明快な説明が続きます。精子や卵子、受精、その後子宮の中で赤ちゃんが育ち、誕生するまでを図を使って分かりやすく説明しています。
親が気になる、だけど聞けない悩みや疑問にお答えします!
Q性器いじりをやめさせるべき?
Aやめさせる必要はありません
Q異性の親とのお風呂っていつまで入っていい?
A親か子、どちらかが違和感を持ったらやめましょう
性教育は子どもからの質問ばかりでなく、親が普段何気なくしている行為が気になり始めて、それで子どもに伝えたいと思う場合もあります。男の子のこと、女の子のこと、それぞれが持つ性器の違いや機能など、子どもに教えるためだけでなく、私たち親もいままであやふやに覚えてしまっていたことを、正しい情報にアップデートすることができるようになっています。
今の時代の「性」をごまかさずに伝えよう
Q性暴力にあわないためにどうしたらいい?
A親子で何でも話せる環境づくりを
Qエロ動画を見た履歴を発見。どうしたらいい?
A本当の話ではないことを伝えましょう
たくさんの情報があふれた今の時代を生きる子どもたちに、正しい性を知ってもらうため、これから起こり得ること、聞かれそうなことがまとめられています。知ってもらいたい事だけでなく、子どもの恋愛や、多様性についても書かれているので、性を伝えるということは、人として生きる道を示すことなのだと教えてくれています。
子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!
「赤ちゃんってどうやってできるの?いま、子どもに伝えたい性のQ&A」が未就学児~思春期までの性の入門書だとすると、「子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」は思春期以降の子どもが抱える性、主にセックスについての話がまとめられています。
性器の大きさや形、生理痛、低用量ピル、勃起・射精などなど、大人である私たちにとっては細かすぎるジャンル分けに感じられるこれらのことも、思春期の子どもにとっては一つ一つ切実な悩みであることも。だからこそとても丁寧にしっかりと、思春期の子どもの体に起こる変化について説明されています。
セックスのこと
思春期の子どもの性で、子どもだけでなく親も気になるのはセックスについてではないでしょうか。
●やろうと思ってすぐにできるものですか?(15歳女子)
●やり方を知りたい!(14歳男子)
●初めてだとむずかしい?(15歳男子)
●準備しておくことってあるのかな。(15歳女子)
といった子どもたちからの質問や疑問が並びます。
それらについて著者は、「知識を持つことで初体験は遅くなる」と言います。他人を傷つけない、望まない妊娠をしないためのセックスをするには、まずは正しい情報を子どもと共有し、親と子が何でも話しあえる関係であることが望まれます。
その他、SNS、AV・ポルノコンテンツ、デートDV、性暴力など、ここ数年の間に登場したものから、昔から問題になっているものの未だなくならない犯罪など、性にまつわる問題も紹介されています。種類はさまざまですが、思春期の子どもたちの周りにはこういったたくさんの性の問題が存在しています。
これらのことを、自分のところは大丈夫という思いを捨て、まずはしっかりとした知識を親自身がつけておくことがとても大切で、それがわが子を性の問題や悩みから守る最初の一歩で、最大の一手であることは間違いありません。
文・構成/HugKum編集部