世界の植民地支配ってどうして始まったの? きっかけは? 詳しく知るための本も紹介【親子で歴史を学ぶ】

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植民地時代の建築様式が残るマカオの街並み

 

植民地時代(大航海時代ともいう)に行われたことは、現在でも少なくない政治的影響を残す問題です。そこで、世界と日本の植民地支配について、歴史の流れを交えて解説します。子どもが詳しく学ぶのにぴったりの本も紹介しますので、歴史の入門書選びの参考にしましょう。

ヨーロッパ諸国による植民地支配

「植民地」とは、もともと「移民が住み着いた土地」という意味でした。しかし、近代においては「他国から政治的支配を受ける地域」とされています。

まずは、ヨーロッパ諸国による新大陸への進出から始まった、植民地の歴史について見ていきましょう。

始まりはスペインとポルトガルの世界進出

植民地支配が始まったのは、16世紀にスペインとポルトガルが新大陸へ進出したことがきっかけです。当時、両国は「金銀財宝を増やすことで国を強くしよう」と考えていました。この政策を「重商主義」といいます。

国外進出にあたって両国は、現地の人々の意見は全く無視して、勝手に互いの進出範囲を決めてしまいました。1494年に、スペインとポルトガルの間で結ばれたこの約束事が「トルデシーリャス条約」といいます。

この条約にのっとって、スペインはアメリカ新大陸へ、ポルトガルはアフリカ・インド・東南アジアへと進出していったのです。

絶対王政下の重商主義と植民地

ポルトガルの当初の目的は、アジア各国で盛んに生産されていた香辛料を手に入れ、貿易でひともうけすることだったため、政治的支配はあまり行われていませんでした。

一方、鉱物資源を得ることを目的としていたスペインでしたが、次第にタバコ・綿花などの「プランテーション経営」を開始します。ここから、現地の人々を労働力として酷使する植民地支配が幕を開けたのです。

プランテーション農園の綿花畑

 

17世紀に入ると、一歩遅れて国外進出に乗り出したオランダ・イギリス・フランスが、植民地支配の列強国として台頭し始めました。この頃から、自国の植民地を広げようとする各国の争いが激化していったのです。

英国の植民地独占が産業革命に繫がる

オランダは1648年の宗主国スペインからの独立により、さらに強国となり、中継貿易で大きな利益を得るようになっていました。そのオランダを目の敵(かたき)にしていたのがイギリスです。

オランダの中継貿易を阻止して自国の利益を守るため、イギリスは1651年に「航海法」を制定します。これは、「植民地を含むイギリスの領土に輸入品を持ち込めるのは、イギリス船か、その商品の産出国の船に限る」と定めたものです。

航海法に反発したオランダとの戦争を制して、海上権を手にしたイギリスは、その後もフランス・スペインを相手取りつつ、植民地を拡大していきました。

豊富な原料供給地と市場を得たことこそ、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった「イギリス産業革命」の大きな要因となったのです。

蒸気機関の開発により動力源が刷新されたのが産業革命(写真は、現在の蒸気機関車)
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日本における植民地支配

植民地支配は、ヨーロッパの国々だけが行ったものではありません。日本にも、自国の利益のために他国を侵害した歴史があるのです。

台湾・朝鮮の植民地化

1800年代後半、まだ台湾や朝鮮は清(しん)の影響力が強く及び、鎖国していました。そのため、経済進出したいと考えている日本に強く抵抗していたのです。

しかし、1894年に日本が日清(にっしん)戦争に勝利したことで、台湾は日本に譲渡され、以来50年にわたって日本の植民地となります。

一方の朝鮮は、日清戦争後に清の統治下から抜けて完全な独立国となり、ロシアとの仲を深めていきました。ところが、1904年に日本が日露(にちろ)戦争に勝利したため、韓国は日本の保護下に置かれることとなります。

日清戦争では「浪速」の艦長として、日露戦争では連合艦隊司令長官として参戦した東郷平八郎の銅像がある三笠公園(神奈川県横須賀市)

 

その後、日本は韓国から内政権を奪い、1910年の「韓国併合」から35年間、韓国を日本の植民地としてきたのです。

植民地支配を強化した太平洋戦争

1941年、太平洋戦争が開始されると、日本による植民地支配はますます強くなっていきます。朝鮮の人々を強制的に日本で働かせたり、戦争に駆り出したりし始めました。

今でもたびたびニュースで取り上げられる慰安婦問題も、この時代に起きたことです。

戦争により東南アジアに日本の植民地が増えると、各地で日本語の使用を強制し、民族の伝統的文化を禁じるなどの「皇民化政策」を取りました。台湾・朝鮮では「創氏改名」を行い、氏名を日本風に変えさせたのです。いわゆる「植民地教育」のことです。

こうした植民地の支配は、1945年、第二次世界大戦で日本が敗戦するまで続きました。

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植民地について学べるおすすめの本

世界と日本の植民地について分かる、おすすめの本を2冊紹介します。どちらもマンガで描かれているため、子どもが植民地について学ぶための始めの一歩としても使いやすいのではないでしょうか。

マンガで楽しく学ぶ「学研まんが NEW世界の歴史(9)列強の世界植民地化とアジアの民族運動」

「学習まんが 9  列強の世界植民地化とアジアの民族運動」は、全ページフルカラーの仕様となっており、リアリティーのある描写は読み応え抜群です。

専門家による時代考証をした上で解説されているため、歴史の大きな流れの中で正しく植民地問題を捉えられるでしょう。欄外には豆知識や注釈を掲載し、本文中の情報不足を補っています。

歴史の流れをざっくり学ぶ「こども 日本の歴史」


「こども 日本の歴史」は、日本の始まりから年代順に歴史を追うのではなく、近代文明の起点ともいえる明治維新から第二次世界大戦までの話で始まるのが特徴です。

古代の日本から始めるよりも、比較的自分たちの暮らしに近い明治時代から勉強を始めると、歴史に苦手意識を持たずに読み進められるのではないでしょうか。なお、植民地については、1章で解説されています。

小学館版学習まんが 「世界の歴史 12 産業革命とアメリカの独立」

歴史教科書で有名な山川出版社の編集協力を得て誕生した「学習まんが世界の歴史」の、植民地時代に該当する巻です。受験や学校での日々の勉強にも十分役に立つ内容になっています。

小学校高学年に理解できるまんが構成ですが、内容は高校レベル。この第12巻では、17世紀後半~19世紀半ばのイギリスと北アメリカを中心に扱っています。

植民地について学ぼう

現代の感覚からすれば、他国の領土に侵入し、現地の人々を支配するような行いは褒められたものではありません。当時の各国の植民地政策が、その後の国際社会に長く根強い災禍を残すことになりました。

物事を正しく判断するためには、起こった問題だけに焦点を当てるのではなく、原因に目を向けることが必要です。植民地問題を考えるときも、それまでの歴史や各国の力関係も一緒に勉強し、未来の国際社会のあるべき姿について考える力を養いたいものです。

構成・文/HugKum編集部

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