話し手の印象を大きく左右する「言葉遣い」。丁寧な言葉遣いをする人と、汚い言葉を使う人では、どのように印象が変わるのでしょうか?この記事では、アンケート結果をもとに、相手を不快にさせないためのマナーや、子どもの言葉遣いを直すポイントをご紹介します。
言葉遣いは心遣い。話し言葉が与える印象とは
「言葉遣いは心遣い」という格言があります。末岡実氏著『正しい言葉遣い』(阿部出版)という書籍には、言葉遣いがその人の「人となり」をあらわすと書かれています。丁寧な言葉遣いは、優しくて親しみやすい印象を。乱暴な言葉は、冷たく近寄りがたい印象を与えます。
HugKumでは今回、126人のパパママに、「言葉遣いが相手に与える印象」や「子どもの言葉遣い」に関するアンケートを実施しました。
Q.言葉遣いが相手に与える印象は?
丁寧な言葉遣いをする人の印象は、「育ちがよい」、「好印象」、「誠実」、「人柄が良い」、「気遣いができる」などが挙げられました。丁寧できれいな言葉遣いができる人は、相手から信頼されやすいと言えます。
汚い言葉を使う人の印象は、「育ちが悪い」、「関わりたくない」、「粗悪な人柄」、「知的に見えない」といった回答が並びました。汚い言葉遣いは、マイナスな印象を抱かれるだけでなく、相手を不快な気持ちにさせることがわかります。
◆丁寧な言葉遣いをする人の印象
「丁寧な言葉遣いから人柄の良さを感じ取れるので、親しみやすい印象を受ける。」(40代・埼玉県・子ども1人)
「人間的にできた人だから安心感がある」(40代・徳島県・子ども2人)
◆言葉遣いが悪い・汚い言葉を使う人の印象
「汚い言葉は汚い心を持つ人から出てくると思うので、意地悪な印象を受ける。」(40代・埼玉県・子ども1人)
「言葉が悪くても人柄が悪いとは限らないが、非常に怖い人なのかなと不安になるし、親御様はしっかり教育しなかったのかなと、その人が可哀想になる。」(30代・埼玉県・子ども2人)
相手を不快にさせる言葉の例
「バカ」「きもい」などと罵ったり、「頭が悪い」「こんなことも知らないの?」などと相手を馬鹿にする言葉は、言われた本人は当然のこと、周囲をも不快な気持ちにさせます。日常的にこのような言葉を使う人は少ないと思いますが、改めて振り返りたいのは、無意識のうちに身近な人に使っていないかどうかです。たとえば「だめ」のような否定語や、「〇〇しなさい!」のような命令口調も、相手を傷つけます。「自分のことばかり話す」といった行為にも、「人の気持ちを考えていない」という意見がみられました。
・バカだな
・きもい
・頭が悪い
・お前
・こんなことも知らないの?
相手を不快にさせない言葉遣いのマナー
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語があります。
- 尊敬語:話し手が相手や相手の話す内容に敬意を示し、高める表現(おっしゃる、いらっしゃる等)
- 謙譲語:話し手が自分や自分の話す内容を謙遜し、へりくだる表現(申し上げる、うかがう等)
- 丁寧語:上下関係にかかわらず、正しい日本語に美しさや上品さを加えた表現(言います、来ます等)
これらの3つを、正しく使い分けましょう。言葉遣いが丁寧な人になるための、第一歩です。
笑顔で挨拶をする
親しい間柄であっても、「おはよう」「こんにちは」「お邪魔します」などの挨拶は、丁寧に。その際、笑顔も忘れないようにしましょう。上記論文でも示されているように、挨拶の仕方で、人からもたれる印象が大きく変わります。
その場にいない人のことも配慮する
言葉の節々には、相手を気遣う姿勢があらわれます。
会話している相手だけではなく、その場にいない人のことも配慮しましょう。たとえば、「〇〇がこんなことを言っていた」と話すとき、呼び方に気をつけます。配偶者なら「旦那」や「嫁」ではなく、「主人/夫」や「妻」と表現することで、話し手の印象がぐっと良くなります。
相づちの仕方に気を付ける
相手に気持ちよく話してもらうために、相づちは欠かせません。一方で、「はいはい」「なるほどなるほど」「ええ、ええ」のように、相づちを二度繰り返すことで相手を不快にさせる場合があります。つい繰り返したくなっても、「はい」「なるほど」「ええ」と、一度だけ頷くのが好印象です。
子供の言葉遣いが乱れるのはなぜ?
ある日突然変化する、子どもの言葉遣い。そこでパパママに、「子どもの言葉遣いが気になるかどうか」「気になり始めた時期やきっかけ」を聞いてみました。
Q.お子様の言葉遣いが気になることはありますか?
「子どもの言葉遣いが気になる」というパパママは、約8割にも及びました。多くの親が、「子どもに汚い言葉を使ってほしくない」と願っていることがわかります。
では、子どもの言葉遣いが悪くなった時期やきっかけに、共通点はあるのでしょうか?
子供の言葉遣いが乱れたきっかけは?
子どもの言葉遣いが乱れたきっかけは、「小学生になってから」、「友達の影響」、「保育園」、「小学校高学年になってから」、「4歳/5歳」などの回答がみられました。なかには、「学校の先生を呼び捨てにしたり、悪口を言う」「ゲーム中に発する暴言が気になる」といった声も。園や学校のほか、メディアからの影響も大きいようです。
「小学校中学年くらいから機嫌が悪い時などに叱られると、ふいに汚い言葉遣いがでるようになってきた。」(40代・京都府・子ども2人)
「成長するにつれ、友達から影響を受けたり、メディアに影響を受けたりする。」(40代・広島県・子ども2人)
「保育園に行き出した時に偉そうな言葉遣いになった (30代・大阪府・子ども2人)
「高学年になり、ゲーム中に発する暴言が気になる。 『ザコ』『クソ』など」(40代・兵庫県・子ども2人)
「4歳過ぎから『うるさい』とか使うようになった。親のせいだと反省している」(30代・埼玉県・子ども2人)
子供の言葉遣いを直すポイント
すでに悪くなってしまった子どもの言葉遣いを、直す方法はあるのでしょうか?対処法をご紹介します。
大人も言葉遣いに気をつける
園や学校での影響は防ぎようがないものの、パパママ自身が乱暴な言葉を使っていないかどうか、いま一度振り返ってみましょう。子どもは、大人の言葉をよく聞いています。子どもへの言葉だけではなく、大人同士の会話で「うざい」「きもい」などの言葉を使わないよう、気を付けたいですね。
善悪をはっきり伝える
上記回答にも多かった「5歳前後」は、物事の善悪をはっきりさせるために、パパママの反応を試す時期なのだそうです。子どもが、わざと親の顔を見ながら、汚い言葉を使うことはありませんか?それが「うんこ」「おしり」のような下ネタで、周囲に迷惑をかけていないようなら、聞き流しましょう。「死ね」「あっちへ行け」など、人を傷つける言葉なら、声のトーンを変えて叱ります。そのとき、「パパに言いつけるからね」のような言葉は、その場しのぎにしかなりません。はっきりと「いけないことは、いけない!」と伝える努力が必要です。
子どもの変化に気付いてあげる
子どもの言葉遣いが乱暴になったとき、言葉以外のことにも目を向けてみてください。とくに、小学校中学年以降は、ストレスが言葉遣いにあらわれるケースもあるようです。周囲の保護者に連絡し、情報収集をしてみる。「最近急に言葉が乱暴になったけれど、なにか嫌なことがあった?」のように、パパママが心配している気持ちを伝えてみる。たとえ原因がわからなくても、親に気遣ってもらえたことで、子どもの気持ちが落ち着くかもしれません。
言葉遣いは「人となり」をあらわす
言葉遣いは、話し手の「人となり」をあらわします。それを理解しているからこそ、わが子の言葉遣いも気になってしまいますよね。幼児期に発する汚い言葉や流行語は、一過性であることが多いため、気にしすぎる必要はありません。一方で、人を傷つける言葉は、断固とした態度で「使ってはいけない」と伝え続けましょう。
文・構成/下谷内由希奈